「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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MAGI☆の日記
瀬戸の花嫁 第壱話「極道の妻」
第壱話 極道の妻
夏―瀬戸内
父親の実家がある瀬戸内に帰省していた
満潮永澄
はビーチで泳いでいる最中に両足が攣って溺れてしまう。
「
だ、誰か…!!あ、足が…足が…
」
海中へと沈んでいく
永澄
。
《
苦しい…息が…足が…!!苦しいよ…誰か…!!誰か助けて…
》
助けを求める
永澄
に手を差し伸べたのは、なんと人魚の女の子・
瀬戸燦
だった。
《
人魚…
》
瀬戸に流れて 夕浪小浪
命救われ 中坊永澄
義理を立てりゃあ 道理が引っ込む
笑ってやって下せぇ
青い恋の始まりでございます
「
なぁ、父ちゃん
」
「
ん?
」
「
まだ着かないのかよ。いい加減疲れちまったよ
」
「
何だ、お前は。若いくせに
」
「
落ち着きのない子ね。誰に似たのかしら
」
「
そりゃご両親でしょ
」
「
もう少しだから大人しく座ってろ
」
『
夏休み。俺、満潮永澄は瀬戸内海のばあちゃん家にやって来た
』
一時間にバスが一本しかなく、夕方からは一本もないために驚く
永澄
。
「
俺達にはそれが普通だったんだよ。ま、埼玉の都会っ子には分からねえだろうな
」
「
父ちゃん、テンション高ぇな
」
「
帰るの久しぶりだからね
」
バスに乗ると、さっきまで海辺だったのにも関わらず、山道へと入っていくので驚く
永澄
。
「
海と山が近いだろ。右を見れば海、左を見れば山。それが瀬戸内さ
」
「
道も狭い。落っこちそうだぜ
」
「
永澄が前にここに来た時は小っちゃい時だったもんね
」
「
あぁ…あんまり覚えてねえや
」
祖母の家に着くと、
永澄の母
は台所で料理をしています。
永澄
は
永澄の祖母
と一緒に祖父の仏前に手を合わせています。
「
婆ちゃん、こうか?
」
「
えぇ、えぇ。爺ちゃんも喜んどる
」
「
そ、そっか…
」
永澄の父
はTVを見ています。
「
すまないね、折角帰ってきたのに晩御飯の用意までさせてしもて
」
「
いいんですよ、お義母さん。ホントはね、ちゃんと毎年帰って来られるといいんですけど…
」
「
なかなか休みが取れなくてな
」
「
じゃったら、旦那なんか放っといて永澄と2人きりで帰ってきたらいいんよ
」
←嫁さんは絶対嫌だと思うな
愛想笑いをする
永澄の母
。
「
ひっでぇ。何だよ、それ
」
「
永澄もね、昨日やっと補習授業が終わったんですよ
」
「
そうか、そうか
」
「
嫌なこと思い出させんなよ
」
「
夏休みだっていうのに毎日学校でね
」
「
終わらなかったら、連れて来なかったんだぞ
」
「
ひでぇ、何だよ、それ
」
「
出来の悪い子で
」
「
えぇ、えぇ。あんたの父ちゃんはもっと勉強できんかった。そんでも立派に生きとるわい
」
「
放っといてえや
」
「
ホンマ、こんなええ嫁はんもろて…可愛い息子もおるんじゃ、こんなええことあらへん
」
「
可愛い息子だってよ
」
「
うるさいな
」
「
出来の悪い男じゃけんど、これからも宜しゅう頼みます
」
「
すいません。孫まで出来が悪くなってしまって…
」
「「
こらこら
こらこら
」」
夕食を食べ終わると、
永澄の母
と
永澄の祖母
が食器を洗っています。
「
永澄、明日は晴れだ。泳ぎに行くぞ~!!
」
もう既に海パンを穿いて、浮き輪とゴーグルを装備している
永澄の父
。
「
すぐ脱ぐなよ、父ちゃん。ったく、帰ってきてからテンション高ぇな
」
「
お前は子供の癖にテンション低いぞ!!もっと昭和の子どものように夏休みという刹那な時を鼻を垂らしながら狂喜したらどうなんだ!!
」
「
子どもにどういうイメージ抱いてんだ!?後、因みに俺は平成生まれだろ、父ちゃん
」
「
可愛くねえな。あ、ひょっとしてお前、泳げなかったりして~
」
「
何、言ってんだよ。そんなわけあるかよ
」
海中へと沈んでいく
永澄
。
《
苦しい…死んじゃう…父ちゃん、母ちゃん…誰か…!!
》
助けを求める
永澄
に手を差し伸べたのは、なんと人魚の女の子・
瀬戸燦
だった。
「
永澄、永澄!!どこにもいないと思ったら、こんな所で何寝てるんだ?溺れでもしたのかと思ったぞ
」
「
父ちゃん…
」
「
あぁ、父ちゃんだ。ったく、もう婆ちゃん家に戻るぞ
」
「
父ちゃん、俺…そう、確か溺れて…沖で溺れて…
」
「
溺れた?お前、溺れて岩場の上に流されてきたって言うのか?
」
「
でも、確か…
」
「
もしかしたら、もしかしたらそりゃ、人魚にでも助けられたか?
」
「
人魚!?
」
「
何真に受けてんだ!?寝ぼけてないで帰るぞ。風邪でもひいたらどうする?
」
「
と、父ちゃん、待ってくれよ。実はさっき、俺、溺れちゃって…
」
永澄の祖母
の家に帰ると、スイカを食べる
永澄
。
「
永澄、人魚に助けられたんか?
」
「
マジだって婆ちゃん!!俺、見たんだ
」
「
もう恥ずかしいこと言わないの。全く、誰に似たのかしら
」
永澄の母
に叩かれる
永澄
。
「
埼玉には人魚はおらんのか?
」
「
相手にしないで下さい、お義母さん
」
「
ホントにマジに見たんだって!!
」
「
ここ、瀬戸内でも特にこの辺には昔から人魚伝説があるんじゃけどな
」
「
人魚伝説!?
」
「
もし伝説が本当じゃったら大変なことになるぞ
」
「
大変なこと…?
」
「
母さん、永澄は長すぎる夏休みボケなんだよ
」
「
ボケてねえよ!!
」
「
あの…こんばんは
」
「
そう、この子みたいな…うわぁ!?
」
「
初めまして。私、瀬戸燦と言います
」
「
瀬戸さんですか?永澄の知り合いやろか?
」
「
こっちに友達なんていないと思いますけど…
」
「
永澄、さん…
」
「
はい?
」
「
永澄さん、私…私…私を永澄さんのお嫁さんにして下さい!!あの、突然のことで驚かれたと思うんですが、永澄さんに昼間のことの責任を取って欲しいんです
」
両親に叩かれる
永澄
。
「
夜分遅くに失礼致します
」
玄関先に立っていたのは極道だった。
「
こちらは燦お嬢の身内の者でございます。そういうわけや、すいやせんが親御さん方ちょっとご足労お願い致します。燦お嬢のご両親、家のおやっさんが直接会ってお話をしたいと。ご同行をお願いします
」
「
やっぱりえらいことになってしもうた
」
永澄
達は海へと突き落とされる。
そして、海中へと引きずり込まれ気を失っていく。
「
婿さん、婿さん、大丈夫ですかい?婿さん
」
死んだふりした
永澄
の人工呼吸をする
政
。
「
あ~いけないとは解っていながらも…
」
「
俺のファーストキスの相手は政さんですか!?
」
「
少し羨ましい…
」
「
大分錯乱しているようじゃのぅ、婿さん
」
「
だから、ここは一体!?
」
「
」
「
いや~永澄君、ここは燦ちゃんのお宅だよ、海底の
」
「
人魚のお宅なの
」
「
遠い所よう、来てくれはった。わしは燦の父で瀬戸内魚類連合瀬戸組組長・瀬戸豪三郎じゃ
」
「
その妻・瀬戸蓮でございます
」
「
そちらにご足労願ったのは他でもない、家の娘が今日そちらの息子さんの命を助けたと。よう聞いてくれや、客人。わしら人魚の掟ではのぅ、人間と関わり、正体を知られた人魚は死刑ちゅう決まりになっとるんじゃ!!海の泡と消え去られてしまうんじゃ。こればっかりはどうしようもない話なんじゃ。可哀想な話じゃろうが。己のせいじゃ!!
」
「
だから僕にどうしろと!?
」
「
あんた
」
「
わしは考えた。正体知られて死刑ちゅうんやったら正体知っとるおんどりゃバラしゃしたら問題解決じゃ!!
」
「
お父ちゃん、止めて。そんなことしたら、何で私が助けたか解らんわ。気まぐれで助けたり殺したり、そんなん徒刑の意に反するわ
」
「
しかし、燦…わしら人魚は…
」
「
助けたのは私や、中途半端はせん。筋は通す。さぁ、煮るなり焼くなり好きにして
」
「
燦!!そんなこと言わんと、父ちゃんにあいつバラさせて!!
」
「
すんませんな、家の旦那、頭に血上ってしもうて話にならんで。家の娘も普段は大人しいんじゃけど情の強い子で、じゃけんね、永澄君。うちらで永澄君と燦が両方死なんでええ方法考えたんよ
」
「
言うな、蓮!!
」
「
ねぇ、永澄君、うちの燦と結婚してくれんね
」
「
え!?結婚…?
」
「
燦の正体見たんが、身内やったら何も問題ない。永澄君、人魚の婿に来てくれんね?
」
「
永澄君のご両親、そういうわけじゃ、わしの可愛い可愛い燦と乾坤すれば良し。さもなくば、わしらの正体知ってる者全員亡き者にせなあかん。解るな?ご両親。あんたらもわしらの正体知ってしもうたわけじゃ
」
「
いい話じゃないか、永澄
」
「
良かったわね、あんないい子を
」
「
こっち見て言ってみろよ
」
「
何言ってるんだ。父さんはいつもお前を見守ってるぞ
」
「
伝説の左フックはどうしたんだよ!?
」
「
あれは一日一回の父さんの大技なのよ
」
「
何じゃ、おんどれ。家の娘もらうのに何か不満でもあるんかい!?
」
「
不満とかじゃなくてですね、こここういう気持ちの問題を周りで決めるのは…よくないって…。まだお互い知り合ってもいないのに…
」
「
永澄さん、こうなってしまったからには仕方ありません。一度は亡くした命、どうか大人しく死んでやって下さい
」
逃げる
永澄
だが、玄関の戸が開かない。
戸が開くと海水が入ってきて、
シャーク藤代
という鮫が追いかけてくるも、
燦
に助けられる。
「
ありがとう、燦ちゃんだっけ?
」
「
早ぅ、裏口から逃げるきん!!
」
裏口から海の中へ出て、そのまま地上へと連れて行ってもらう
永澄
。
《
俺、助けられてばっかりだ
》
「
このまま行けば外に逃げられるきん
」
「
燦ちゃんも…
」
人魚の姿の
燦
をお姫様抱っこして逃げる
永澄
。
「
逃げなあかんのは永澄さんじゃけ
」
「
俺がこのまま逃げたら燦ちゃんが死ぬんだろ!?
」
「
そのことは気にせんでええって
」
「
気にするっつうの!!お父さん、まだ追ってくるかな?
」
「
お義父さんって…
」
「
君のお父さんっていう意味でそういう意味でははないんだよ
」
「
でも、私連れとったら、お父ちゃん、地の果てまでも追ってくると思うよ
」
「
しかし、大変なことになっていたな…。ねぇ、なんで君は掟を破ってまで俺を助けてくれたの?
」
「
何で?永澄さん、目の前の困ってる人見捨てた言うたら、それは瀬戸内人魚の名折れじゃきん。任侠と書いて『にんぎょ』と呼ぶきん!!でも、私が勝手にやったことで永澄さんを困らせたないきん。このまま永澄さんだけ逃げてええんよ
」
「
…!?
」
そこに
豪三郎
が追いついてしまう。
「
探したで。逃がす思うたか!!
」
オクトパス中島というタコが
永澄
を
豪三郎
の足下まで殴り飛ばす。
「
ホールインワンじゃ
」
「
お父ちゃん!!
」
「
短い付き合いやったな、覚悟はええか?
」
《
逃げたって問題は解決しない
》
「
そうや、死ぬのは燦やない。お前じゃ、小垂れ!!
」
「
お父さん、娘さんを僕に下さい!!
」
土下座する
永澄
。
《
そうだ、燦ちゃんのいいようにしてあげよう。とりあえず形だけでも結婚して、後は燦ちゃんの好きにさせてあげよう
》
「
あんまり見んで。照れるきん。お父ちゃん、あのそういうわけじゃきん…
」
「
ボーフラ、燦はな、わしの可愛い可愛い娘なんじゃ。一生、嫁にはやら~ん!!
」
「
あんた、本音はそれだけ!?いい加減、子離れしな!!
」
次回、「指輪物語」
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