「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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Blazing Ash
第一話「(タイトル未定)―Aパート」
でも、この球は欠けている。映っているものがきれいに光っている。だが、ところどころに穴が空いている。それも、たくさん。
でも、なぜかこの穴たちは、多分自分にとってもっとも大切なものがあった場所だと確信できた。だって、でもなければ、こんなにたくさんの場所が欠けているなんて思えない。
多分、自分は何かを忘れているんだと思う。大切なものというのは分かるけど、忘れている…というよりも、ココロのそこに封じ込めている、一番大切なキオク。でも、何故か自分は「これが一番良い方法なんだ」とわかっている。だって、多分、自分がこの事を思い出したら…思い出したことに向き合ったとしたら――
――悲しみで、ココロが壊れてしまうから。
PURE MELODIES
ー平和を願う天使の唄声ー
第一話「」
起床。今日も既視感にあふれる夢を見た気がするが、いかんせん目の覚め方がよかった所為で、夢の内容は、頭の中からほとんど抜け去ってしまっていた。また眠るのも何か悪い気がしたので、さっさと寝巻きを脱ぎ、制服であるブレザーに着替える。でも、まだ少し眠気が残っていて、若干頭の中にモヤがかかっている気がしないでもない。顔を洗って、鍛錬でもしよう。
冷たい水が顔を打ち、少しずつぼんやりしていた頭がしゃっきりと鮮明になっていくのを感じる。しかし、10月にもなると水に触るのも寒くて仕方がない。乾いてそこそこパサパサになったタオルで顔を拭く。少し硬いくらいが水をふき取りやすいという超個人的見解からだ。自室に一旦戻り、まずは壁にかけてある長くて黒いロングコートを羽織り、勉強机の側面に立てかけてある棒のようなものを片手に、庭へと出て行った。
上着は脱がない。どのような状況下でもベストな戦い方をするための一環であると考えてるからだ。木の棒のようなものの端を左手でつかみ、引き抜くと、鮮やかな銀色の刃がスルリ、と音を立てて抜けてきた。物騒といわれたら返答の仕様がないから困るんだが、学校にも毎日持ち歩いているから、他人から見ればずいぶんと困り者だ。俺の通っている高校はそこまで風紀に厳しくないからいいものの、けっこうその手のことに敏感な学校に入学していた暁には、三日…悪ければ入学初日に補導やら没収やらをされていること間違い無しだろう。護身のために持ち歩いているだけだが、休み時間の時には教室にほっぽって日向ぼっこに出かけるという中途半端さを発揮している。
抜刀した刀を左手で持ち、右手は柄の底に添え、中段の姿勢をとる。昨日のうちに擬似的な的(形状は、戦時中に竹やり訓練をしていたときに用いたものをイメージするのがいいだろう)を4,5個ほど作っておいてある(作り方についてはノーコメント)。まぁ、要は剣の鍛錬をしているのだ。
でも、俺の鍛錬は、他のものとは少し違っている。
唐突だが、超能力を信じられるだろうか。固定概念としては、物を触れずに動かしたり、他人の思考を読んだり、物質を透過したりする系統のものが即座に思い浮かぶだろう。
まぁ、その、何だ。簡単に言えば、自分もその一人なのだ。
擬似的な人型の的を見据え、身を屈める。右足を後ろに下げ、膝を曲げ…右足で、思い切り地面を蹴る。キュッ、という妙な音がした後、刀の刃の部分が漆黒に染まり、俺の体からも同じ色の光の粒が湧き上がってくる。左手のみで持つ刀は、まだまだ淡い朝日に当たり、白と黒の二色の光により、美しく彩られていく。数歩で的の一つの目の前に立つと、右足を力強く踏み込み、体全体で刃を振りぬく。刃は、的に触れたかと思うと、驚くほど滞りを感じさせずに、袈裟切りの軌道で綺麗に的を両断した。切断面に触れる。まだ僅かだが断面にざらついた感触がある。
(まだまだ霊力の集中が甘いな…)
だが、的はまだある。今日はただ振り回すだけでなく、時間をかけた上で一太刀一太刀の威力を底上げするための訓練に徹した方がいいかもしれない。再び霊力を集中させると、完全に結合し切れない霊力が、黒い光の粒子となって刀から少しずつこぼれるように溢れ出す。
「よし……やるか」
朝はまだ長い。
――1時間半程度の鍛錬を終え、家の中に戻る。流石に寒い。随分と手が硬くなったように感じる。庭に出る前に炊飯していた米飯と、事前に材料を準備して、帰ってきた後に調理した味噌汁と鯵の開きを軽く焼いたものを用意し、朝食にする。無論、漬物と煎茶も忘れないようにしておく。
「いただきます」
自分以外に人のいない家の中で、手を合わせて食事に着手する。まずは煎茶を軽く飲む。うむ、体の心から温まる。あとは、それなりにおいしく作ってある(少なくともある程度口に合う努力はしているものと自負している)料理をのんびり味わう。やはり、朝は和食が合うな。味噌汁をすすり終わると、他の料理もちょうど食べ終えた。さっさと後片付けをし、刀を専用の長い袋に入れ、鞄と共に担いで家を出る。
人気の少ない路地を歩く。こういう人の気配が薄い(だからといって、完全に人気が無い場所というのも好きにはなれないというのは、俺の単なるわがままなんだろうか)場所というのは好きで、何よりそれが自分のいる場所や自分の行く場所だと、気兼ねなく歩けるので心地よい。
ふと、傍らを肌寒い風が通り過ぎていった。
「……寒っ」
声が漏れる。昨日のニュースでは、確かに冷え込むとはいっていたが、流石にここまでとは思わなかった。鞄の中から、革の黒い手袋を取り出し、着け…ようとするが、
「んっ…やけに入りにくいぞ、こいつ」
今日に限って何故か入りにくい。その上、手が若干かじかんでいるお陰で、指が精巧な動きをすることが難しいのでなお着けづらい。
(やはり、毛糸にすればよかったかな)
自嘲気味に思いつつ、指を蠢かせながら入れようとする。そのとき俺自身は気がついていなかったが、よくサスペンスもののドラマで、犯人などが手袋を着けるときの動作とそっくりだったのだ。
「傍から見てれば危なく見える手つきね…。もう少しおしとやかにはめなさいよ。無駄に挙動不審な付け方よ、陸」
「たまには遅く起きてくれてもいいじゃない、陸。毎朝毎朝家の前で待たれて朝の予定を前倒しにさせられるのは困るからさぁ…ふわぁ」
横殴りに言いたい放題言われた。俺にここまでなれなれしく話しかけてくる人間を、俺はほかに知らない。
「俺の静かな朝を邪魔するな。凪、来人」
そういってやると、神代 凪(かみしろ なぎ)は顔をゆがめ、こちらに歩いてくる。足を踏み出すたびに揺れるポニーテールがとても可愛らしい。
「何言ってんのよ。あんたが人畜無害なのは誰だって知ってるけど、そのせいで存在感が薄くなりすぎて探すの大変なんだから」
人畜無害って…凪の脳内はけっこう極端な表現が多すぎやしないか。
「俺の性だ。そこまで人気のある場所に行くのが嫌なだけだ」
「あのさ…」
凪があきれた顔でまた口を開こうとすると、渡辺 来人(わたなべ らいと)が凪の頭にポン、と手を置く。凪と来人は頭一つ分くらい身長が違う。あの表情から察するに、凪は、どうやら矛先を俺から来人に向けたようだ。来人は、凪の鋭い視線に気付き、目(とはいっても、来人の左目は前髪で綺麗に隠れている。…両目で見ないと結構不便なんじゃないだろうか)を傍らの少女に向ける。
「なんか、この体勢はものすごく私がなだめられてるように見えるんだけど……上から」
「僕はむしろ、この状態だと凪が可愛く見えるんだけどね。そも、凪を舐めたら後が怖そうだから僕は絶対にやらないね」
「か、かわ――でも、なんだか私の立場が低そうな感じがしたから嫌なのよ」
凪は一瞬顔を赤らめるが、気丈にもすぐにしかめっ面に戻し、なおも噛み付く。しかし、来人も最初のころと比べれば、随分と凪の操縦が手馴れてきたな。段々夫としてのキャラが確立されているようでよかった…とは一概には言えないか。
「そうかな? それは悪かったね。でも、流石に毎朝叩き起こしに来ることくらいは少しくらい謝って欲しいけど」
「来人は陸が心配じゃないの?」
「陸はこれでもしっかりしているから大丈夫だよ」
ところで、この2人が、普段の俺に対してどういう印象を抱いているか非常に知りたくなったんだが。「これでも」というのはどういう意味を込めていったんだろう。俺はそんなに生活力がなさそうに見えるんだろうか。
などと不毛な自問自答を繰り返すうちに、学校が見えてきた。こんな風に話しているうちも足は止めなかったというのは、今更ながらすごいと思う。腕時計を確認してみる。まだ余裕はある。でも、流石に俺ののんびりとした朝のペースが乱れているのをほうっておけないので、抜け駆けを敢行させてもらおう。
「悪い、走っていくわ」
「「え?」」
「じゃなっ!」
「ちょっ…陸!」
凪の言葉に耳を貸さず、俺は全力で走っていく。走るという行為自体は、俺も嫌いではない。走るときに風を切るのを自覚させる涼しさ(流石にこの時期は、涼しさというより寒さといった方が正しいのかもしれないが)を感じることや、どんどん移り変わっていく景色を見ていくことは結構楽しい。息苦しくなる運動はあまり好きにはなれないが、その点さえ除けば走ることは苦にはならない。それに何より…
(今日は、なぜかまだスピードが出る気がする)
そう思った。そういう感じの、何か確信めいた直感を感じると共に、足の進み具合が若干速くなる気がする。
(もっと、もっと速く)
呼吸云々など気に留まりすらしない。今頭の中にあるのは、加速することだけだった。
(もっと速く!)
そのまま、目の前が真っ白になっていって――――
――目をあけると、学校と思わしき建造物の一室の天井だと気付いた。うう…頭痛が痛い。体を覆うこの柔らかい感触は、多分ベッドや布団など、寝具の類。右を見てみると、そこには呆れた顔をしている男が一人。俺が起きたことに気付いたのか、来人は口を開いた。
「まぁ、聞きたい事や言いたいことも多々あるだろうけど、まず一言言わせて貰うよ」
そういった後、来人は前髪をかき上げる。また、面倒なことするなぁ…こいつは。
「お前、アホだろ」
ほら、な。来人の口調が激変する。来人…もとい生人(いくと)は、橙色に煌く左目(でも、やっぱり呆れてるような目つきに見えるのは拭い去れないし、若干視線も痛い…)を向けて、さらりと暴言を吐く。痛い。心が痛いよ。
「全く…呼吸も忘れて走るからそうなるんだ。陸…俺だってスポーツは嫌いじゃない。夢中になるのは分からなくも無いが、あまりに周りが見えなさ過ぎだろうがよ」
その後、生人から事情を説明してもらった。どうやら酸欠状態ということに気付かず学校まで辿り着いた俺は、校門を通過して止まった瞬間、そのまま失神して倒れてしまったらしい。保険医が来人たちの話を聞いておおよその状況をつかんだとき、
「苦労してるわね」
と、苦笑いしながら言ってたとのこと。とりあえず、この話を凪と来人がどういう顔で聞いたか想像してみたとき、俺は何も言えなくなってしまった。
「……面目ない」
生人はいまだこちらを陰湿な目つきで見ている。余談ではあるが、来人が俺の走り出したころに確認した時刻は7時58分で、俺が気絶したときに第一発見者が確認した時刻が8時3分だったそうだ(確か、あのへんと学校でだいたいあと2km半くらいあった気がするんだが…うーむ)。
ふと思い出し、俺はあわてて時計を確認する。とうに授業は始まっていた。俺は生人を見る。
「な、なんで…」
「大丈夫、この部屋には凪もいる」
「だから……」
「あー、もう…ガタガタ抜かすな!」
そういうと、生人は俺を案じ…てくれているんだろう。目が、「今は休め」と言ってきているのを感じる。
「わかったよ。少し休んでから行くから。俺はそこまでやわじゃないこと…知ってるだろう?」
「知ってる。でも、油断はするんじゃないぞ」
そういい、生人は重い腰を上げると、面倒くさそうに右目を覆う髪をかきあげると、今度は逆に、あの彗星のような橙色の目は隠れ、かもし出す雰囲気も若干柔らかくなったように見える。来人がこっちを向く。
「さて…勉学は僕が担当してるんで。じゃ、ゆっくり休んでて。ごめん、凪。待たせた?」
「いいのいいの。さ、早く行きましょ」
「ごめんね、クラスが別なのに…」
「構わないわよ。伊達に好印象振りまいて無いわ。説教程度で許してもらえるわよ」
「流石。学年首位を約半年維持しているだけあるね。でも、やっぱり…」
雑談の声が遠ざかっていく。
「…ふぅ」
どうやら行ったみたいだ。騒がしい奴らがいなくなってようやく落ち着けた気がする。
「しっかし、俺も間が抜けてるな…」
さっきから、自分でも分かるくらいに独り言の数が増えている。でも、悪くはない。幸い、この部屋から人の気配は感じない。保険医も、どうやらあの二人に任せても言いと判断したのだろう。
(ちょうどいい機会だ。目立たない程度に霊力の操作を練習してみるか)
俺は、未だ若干気だるい左腕を動かし、自分の体から霊力を少しずつ、少しずつ開いた手のひらに収束する。想像するのは小さな球体。構成するのは、漆黒の光の粒。伝達するのは見えない脈。
「……はぁぁ…………」
俺の手のひらの上に、鈍く光る光の玉が構築された。さらに念じ、光の玉を遠隔操作するため、それと直に接続されている、俺という霊力の塊から一旦切り離そうとする…が、
――シュパァァァ…ン。
「っ……」
相変わらず、出来ない。日本刀などの物体に流し込んで操作するのは難しく感じないが、霊力の塊そのものを自分とはなれた場所で遠隔的に操作することは苦手だ。それなら、まだ凪や来人の方が向いている。
(でも、だからといって不器用なままにするのもかえって嫌だしな・・・)
そう思い、一旦下ろした腕を再び持ち上げ、訓練を再開する。
(せめて…起きなければならないときまでは、許されてもいいだろう)
そう割り切り、俺は再び光の玉の形成をはじめた。
放課後。一応2コマ分保健室で過ごした俺は、3コマ目から授業に復帰した。この時点では頭痛は治っているが、けだるさは昼まで尾を引いた。
昼は昼食をとった後でいつもの場所で寝、午後の授業を全パスする。この後は基本的に帰りのHRの時点で教室に戻るのが日課である(これが、おそらく俺の通知表をあと一歩の評価に至らしめている最大の要因なんだろうが)。
「じゃ、帰りますか」
「ふわぁぃ」
来人の言葉に、俺は欠伸で返す。来人と俺は同じクラスで、凪は違うクラスだ(それでも凪にはありあまるくらいの人脈があるので、話し相手には困らなそうだが)。凪のクラスはまだHRが長引いてるな。
「暫く待ちますか」
来人の呼びかけに、今度は一回頷いて返す。でも、さっきまで昼寝をしてたお陰だろうか。朝とは違う意味あいで頭の中に靄がかかっている状態だ。
待つこと数分。凪のクラスからガタガタと机や椅子が動く音がしたかと思うと、静かだった部屋に一気に言葉が溢れ、ドアが開いたかと思うと、生徒が教室から決壊したかのように出てきた。ガヤガヤという喧騒を織り交ぜた人の波を見ていた俺を見た来人が苦笑しつつ、
「相当嫌いなんだね」
と言った。俺…そんなに嫌そうな顔をしていたんだろうか。ほどなくして、凪が出てきた…その際に、自然に来人の左腕に絡んだ凪の腕については、微笑ましいので深く突っ込まなくてもいいだろう。
「じゃ、行こっか。陸も嫌そうな顔してるし」
「うん」
やっぱりか。
「ところで、さっきクラスの女子がおしえてくれたんだけどさ」
「何?」
通学路。俺たち3人は、日課として下校をしている。とりあえず、俺は腕を組んで、ある種の結界じみた不可視のエネルギーを発している二人に近寄れず、若干距離を置いている。
「その子、バレー部に所属してるんだけど、夜に部活の後、忘れ物を取りに教室に行ったら、そのときに妙な人影…みたいなのを見たって」
「人影…ねぇ」
腕を組まれても全く動じず、むしろ自分のそばに引き寄せてるようにも見える来人が相槌を打つ。
「影の形状と数については聞いてるか?」
そして、2人から数歩くらい離れた場所で聞く俺が質問する。
「えーと…細長くて長身の影。肩幅は結構広いから男っぽく見えたって言ってたわ。他には…羽の生えたような、ドーベルマンくらいの大きさの、犬のような影。もう一つは、頭がやけにとがってるらしかったけど、ふくろうのような鳥のような影だって。…ところで、陸はなんで私たちから離れてるの?」
「入ったら間違いなくお邪魔とみなされそうだからな。それが嫌だったら、離れてくれると助かる」
来人は今更ながら凪のほうを見、次に俺のほうを向いたかと思うと、今の行動を思い返したのか、顔が紅潮していく。…やはり、今の今まで全く違和感を抱かなかったのか。正直一緒に歩いている俺もかなり恥ずかしかったので、報復といっては何だが冷やかさせてもらう。
「…俺、先に帰ろうか?」
「「いやいや、とんでもない!」」
一言一句同じかつ全くタイミングがズレることなく2人が反論する。しかし、こいつらが一瞬だけ、まんざらでもないような表情をしたように見えたんだが…。
「いや、俺のことは構わず、どうぞイチャついててください」
「い、イチャ……!」
凪が真っ赤な顔で反論しようとするが、目を伏せる。…正直、そんなもどかしそうにしているのを見るくらいなら、まださっきのように自然にくっついてくれたほうが、俺も微笑ましく眼の保養にすることが出来た。なので、割と残念だ。
(まだまだ硬いな)
これ以上責めるのは少し酷なので、そろそろ話題をずらしてやることにした。
「ところで、その話を聞いてみて…凪は、どう思った?」
「えっ! …んー、やっぱり気になるわね。何かありそうな気が…しないわけでもないわ」
「う、うん。調べてみる価値は、あるんじゃないかな」
最初は驚いていた二人だが、すぐに調子を持ち直し、返答してきてくれる。
「よし。じゃあ、今夜捜索してみないか?」
「いい考えなんじゃない? 僕は今日、用事は無いよ」
「私も…ちょっと遅れるかもしれないけど、行けないことは無いわ」
「ああ。俺も元から咎めるような人間は家にはいない。待ち合わせはどこにする?」
俺の質問に、凪は軽く考えた後、すぐに結論を出す。若干せっかちではあるかもしれないが、こうやってはっきりしてくれると、考える側としても非常に助かる。
「そうね。じゃあ、校門前が安直なんじゃないかな。時間は、どうする?」
凪の振った質問に、次いで来人が反応した。
「どうせ明日は休日だ。9時くらいでいいんじゃないかな。引き上げることを考えると」
ある意味、俺もこの二人が同じチームでよかったと思う。何せ2人とも要領がいいから、今手元にある情報を素早く纏め上げ、状況に応じたベター(やはり、個人的にベストというのは少し過大評価かもしれないので、控えさせてもらう)な考えや提案を導き出してくれる。
「じゃ、俺は先に帰らせてもらうわ」
「うん」
「また、夜にね!」
そういい、前を向いて駆け出そうとした矢先、
「道端で走りすぎて倒れるなよー!」
と凪が叫んだ。うるせーやい。
家に帰る。とくに「ただいま」を言う相手もいないので、無言で家に入るのは良くあることだ。自室に戻り、掛けてあったコートを手に取る。俺の体にぴったり合うつくりで、着心地も良いこの上着。
――でも、俺はこのコートを手に入れた経緯を知らない。
正直、「いつのまにか手元にあり、訓練のときなどは欠かさずにつけるように思った」ということだけを俺の頭は明確に意識していて、それ以上にこの上着を手放したくない、ずっと自分のものにし続けなければいけないという思いが俺の中で渦巻いている。俺は腕を伸ばし、コートを広げてまじまじと見る。
俺はそのコートから、何度着ても絶対に消えない、甘く、懐かしく、少し切ない匂いを感じたが気がした。
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