ブラウンGPのマシンは、ロングランに強い。タイヤの磨耗が少なく、最後まで安定したタイムを重ねることができる。ガソリンが軽くなった瞬間にタイムを刻めないと、ピットストップ作戦を生かすことができない。この瞬間にタイヤが磨耗していては、マシンの操縦性が低下してブラウン戦術が成立しない。すべてを計算に入れて予選と決勝を戦わないと、F1レースを制することができない。予選4位だったバトンは、ブラウン戦術を生かしてトップに躍り出て、そのまま逃げ切り、まったく危なげない勝利を勝ち取っている。ロス・ブラウンはすごい。 予選1位と2位のトヨタは、上位グループの戦いに慣れていない。ガソリンを軽くして、トップと2位を獲得したならば、なんとしても3位以下を抑えないと逆転される。1位を走るマシンはさっさと逃げ、2位は下位を抑えないと勝利を呼び込めない。タイムの遅いハードタイヤを2セット目に選んだのも、トヨタが脱落した原因になった。渋滞の中に飛び込むと、そのまま頭を抑えられてしまい、せっかくの予選1位の速さを生かせなくなる。軽い燃料で速いならば、それを生かす作戦を練っておかないと、渋滞で身動きできなくなる。
腕と度胸で勝負するレッドブルのベッテルは、瞬発力を生かして2位に食い込んでいる。これだけトゥルーリに頭を抑えられていても、焦らずにチャンスを待つ精神力に驚かされる。じわじわと攻め立てて、ピットストップで逆転を狙えるドライバーはそんなにいない。これだけ予選タイム差が接近すると、ドライバーの腕にプラスして、作戦参謀の頭脳が結果を左右してくる。フェラーリで鍛えられたブラウンの経験がこれほど生きるとなれば、バトンの快走はしばらく続くことになる予感がしてくる。