「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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(61~70)
第六十一話 スピードバトル[前編]
・・・・
鈴木「ていうかアリなの?あの歩行者んとこ走っててさ」
芝田「アリだ。別にコースが決まってしまえば何処走ろうが本人の勝手だ」
安部「霜月は少しでも優勢な状態でいたいんだ」
芝田「歩行者んとこ行ったからといって自分もそこへはいけない・・渡部のチャリにはサスペンションがないからな」
鈴木「・・じゃあ劣勢の状態で渡部は勝たなきゃいけないのか」
芝田「・・そうだな」
渡部「ハァ・・」
霜月「はぁ・・はぁ・・」
シャアアアアアア!!
芝田「(劣勢の状態か・・・。まぁ間違いないことではあるけど、そんなこと当たり前のことさ・・。サスペンションがついてるついてないとかじゃなくてインコースを走れる走れないじゃなく、元から渡部にはギアがついてねえんだ・・。劣勢の状態は今に始まったことじゃねえ)」
渡部「・・・」
疲れた体を回復しつつ最後のスパートの期をうかがう霜月。
霜月「(俺はこんなスピードで競うタイプじゃねえけど、渡部がそれでくるならうけてたつぜ)」
渡部「ハァハァ・・・」
霜月と渡部が第二の左コーナーのゾーンを走ってる間に設楽と川見が場所移動していた。
ゴール付近、芝田たちが集まっている場所だ。
設楽「最後のストレートが一番デッドヒートやろ」
川見「あぁ」
設楽「ちょっくら挨拶でもしよか」
芝田たちが設楽に気づく。
安部「あ!!設楽・・!!なんでこんなとこに・・!」
坂井「あ!!」
設楽「久しぶりやなぁ、いろいろあって観戦させてもらっとるわ」
芝田「・・・びっくりだな、こんなとこで設楽に会うなんて」
設楽「おもろい展開になっとるやんか、そっちのアンカーは名前なんていうんや。きついんとちゃうか?」
芝田「うちの大将は渡部だ。渡部光星」
設楽「ほぉ」
芝田「白河に競り勝ったからな。もしこのバトルで霜月に渡部が勝てば、次は設楽だな」
設楽「・・・・」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十二話 スピードバトル[後編]
設楽「次が俺やと・・・?ははは、霜月に勝ったら次は俺なん?」
坂井「・・・・」
設楽「別にこっちはいつでもウェルカムや、圧倒的な実力の差を見せるまでや」
芝田「・・・・」
二人は下り坂に突入していた!!
渡部「・・・!!」
シャアアアアアアア!!
霜月「(仕掛けてくるなら来い・・!!ゼッテー競り勝ってやるぜ)」
渡部「(まだだ、まだとばすには早い・・!!)」
シャアアアアアアア!!
渡部「(インコースをとられてるなんて関係ねえ!とにかく速ければいいんだ・・!!)」
設楽「渡部っちゅうたか・・・。もしバトることが今後あるんなら楽しみやけど、霜月にやられてしまうんならソリャやる気なくすでぇ」
鈴木「・・・・」
設楽「もし俺とやるんやったら・・・・せやなぁ、霜月とスピード勝負して10m以上差をつけてもらわんとなぁ」
芝田「・・・・」
上り坂・・・!!
通過!!
霜月「・・・!!」
渡部「ハァ・・ハァ・・!!」
シャアアアアアアア!!
霜月「・・・・」
ゴール手前のストレート。
渡部の中でなにかが弾き跳んだ。
その感覚は自分でもはっきりとわかるもので今までの経験上これほど興奮することはなかった。
しっかりと理解していた。今ここで目の前にいる敵を倒せば自分はさらなる境地へ到達できるということに。
渡部「・・・!!」
スタート時と同様。爆裂加速が始まった。
霜月「・・・!!」
そしてソレに霜月が触発されバトルは終焉へと走りだした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十三話 スピードで制す!![前編]
渡部「うああああ!!!」
ブラックホース加速!!
霜月「りゃああああ!!」
加速!!全力疾走!!
回転数最大!!
安部「いっきに加速した!!」
坂井「このスパートで決着がつく!!」
芝田「渡部はまだ後ろの位置か、まだまだ抜ける範囲内だ!!」
岩木「抜けねぇっての!!勝つのは霜月だ!!」
岸「そうだ!!勝つのは一里だ!!」
シャアアアアアアア!!
渡部「ハァ・・ハァ・・ハァ・・!!」
ゴールライン通過!!3周目突入!!
霜月「ハァ・・ハァ・・!!」
渡部「うおああああ!!」
徐々に渡部が霜月へ近づいていく!!
渡部のほうがスピードが上!!
霜月「ぐぅ・・!!」
シャアアアアアアア!!!
しかし左コーナーへ突入!!
霜月のインコース!!
霜月「ハアハア・・!!ハア!!」
ここで霜月が渡部から遠ざかる・・!!
渡部「うああああ!!!」
霜月「(いくら頑張ろうと第二のゾーンの左コーナーでは俺には勝てないぜ・・・!!)」
渡部「あああああ・・!!」
霜月「(ここで差をつけて・・・折る!!渡部の心を・・!!)」
川見「ほぼ互角で過ぎていったが、やはり勝敗を決めるのは左コーナーかな」
設楽「・・・どやろなぁ。もし俺が渡部なら、インもアウトも関係あらへん。スピードでブチ抜いたるがなぁ~」
渡部「ハァ・・!!ハァ・・・!!」
霜月「・・ハァハァ」
シャアアアアアアア!!
霜月「・・・(差が、開いてねぇ・・・?)」
渡部「ハァハァハァ・・ハァ!!」
霜月「(んな馬鹿な・・!)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十四話 スピードで制す!![後編]
霜月「(んな馬鹿な・・!)」
シャアアアアアアア!!!
渡部「うおおあああああ!!!」
霜月「(ざけんなよ・・!!そりゃなしだっての!!全力でアウトコースから抜かされちゃ立場がねえっての!!)」
シャアアアアアアアア!!
霜月「(そんなことあってたまるか!!勝つのはオ・・)」
渡部のブラックホースがスピードにのっていく!!
霜月のすぐ隣に並走する!!
渡部「ハア・・!!ハア!!ハア!!」
霜月「(・・・!!どんな神経してんだ一体・・!!もうグッタグッタじゃねえか!!どこに脚を動かす体力があんだ!!)」
左コーナーが徐々に緩やかになっていく!!下り坂へむかうストレートへ変わる!!
霜月「(この日差しの中よくそこまで全力を出せるなあ、感心するぜ・・)」
シャアアアアアアアア!!!
渡部「ハアア・・ハアア・・!!」
ストレートのスピード勝負!!
渡部が前に出て行く!!
霜月「(・・・ク、やられた・・・!!でも、絶対そのスピードはゴール手前で落ちる・・!!)」
渡部「ハア・・!!ハ・・!!ハ・・!!」
霜月「(そこがねらい目・・・!!)」
下り坂、上り坂をクリア!!
渡部の限界は超えていた!!重たい脚をフルスピードで回転させ霜月に逆転の余地を与えさせない!!
霜月からどんどんとリードを広げいく最中渡部は気づく!!
渡部「(そうか、そういうことか・・・!!)」
・・・バトルは驚愕の10mの差をつける渡部の大勝利で幕を閉じたのであった!!
一里ヶ浜メンバーは言葉を失った。
澤西サイドからは歓喜の雄たけび。
ゴールラインをすぎてぶっ倒れた渡部は仰向けになり空を見上げた。
確かな前進の実感が渡部にあった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十五話 六人目
澤西vs一里ヶ浜
>勝者・澤西!!
<練習試合終了後>
霜月「負けたぜ・・・。まさか最後の最後にあんなに差をつけられちまうとはな・・」
渡部「・・・・」
岸「最後はいい走りだったな」
設楽「・・・ほな川見、帰ろか」
川見「あぁ、そうだな」
渡部「(・・・・誰だ?)」
設楽「(渡部光星・・・。平地型選手として一つ楽しみが増えたわ・・・なんやろな、近いうちにまた会う予感がしてならんわ・・・)」
岸「じゃあ、俺らも帰るとするか・・・」
芝田「ありがとうございました」
一里メンバーが澤西高を去っていった・・・。
安部「いや~~渡部すごいなぁ~」
芝田「今日みたいな感じで大会に勝てるといいな」
渡部「あぁ、俺わかったんだ、大会がどんだけ過酷だとしても俺は平地で負けなければいいんだってね。俺は今回の大会で平地型最強を目指す!」
安部「ほぉ・・・」
坂井「すげえな」
芝田「(平地最強・・・)」
時は同じくして土曜日。
<鎌国高校・チャリ部部室>
関尾「アオバ、ドロー表持ってきたぜ」
関尾浩嗣:鎌国高1年・チャリ部選手兼マネージャー
青林「あぁご苦労さん・・・。」
青林和也:鎌国高1年・チャリ部選手通称“アオバ”
関尾「てかなんだよコレ」
部室の中にボコボコにされた先輩が倒れていた。
青林「あぁ?・・・こいつらがただ俺のチャリにぶつかったからだ。なんびとたりとも俺のチャリを傷つけるヤツァ許さねぇ、その場でぶっ殺しだ」
鎌国高校・・・ここは神奈川でも特に有名な、
不良高校であった。
青林「ん?おい俺のブロックに芝田たちと同じ澤西のヤツいんじゃねえか」
関尾「澤西?あぁお前の元中か」
青林「芝田のチームメイトか、ハハハ、俺が予選1回戦でコイツを仕留めてやるぜぇ、ハハハ」
青林和也・・・元九毛中メンバー!!唯一の上り型!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十六話 Kブロック
<月曜日・・・>
芝田「(10月が近くなったな~)」
坂井「お~い!顧問からもらったぞ!」
芝田「なにを?」
坂井「ドロー表!!」
<放課後・・・部室にて>
渡部が土堂高からやってくる。
芝田「来たな、渡部。大会の詳細がきたぞ」
渡部「マジ・・?」
安部「お前のブロックに俺らの元中いたぜ?」
渡部「・・・・?」
渡部光星・Kブロック、芝田次郎・Fブロック、安部晋二・Bブロック
芝田「渡部のブロックに青林ってヤツいんだろ、それが元中」
渡部「へぇ、鎌国って・・・。こわッ」
安部「アオバはけっこう悪さしてたからな」
芝田「まぁそうだけど・・チャリでやりあう相手としては手強いぞ・・・」
渡部「てか五大校の人もいるなぁ・・・」
安部「おいおい俺のブロックなんか盟王の部長いんだぜ?」
芝田「まぁまずは上位10位に入ればいいんだ・・・。予選一回戦突破を目指そうぜ・・・」
渡部「そうだな・・」
渡部たちはいつもどおり走りに行った。坂井は部室に一人残った。
坂井「(芝田は気づいているのかな・・・。このドロー表の奇跡に・・・)」
坂井がドロー表の紙を手に取る。
坂井「(もしもの場合の話だけど。もしも渡部が予選一回戦を突破したら予選二回戦で隣のブロックと合流したとき・・・設楽とぶつかる!設楽はLブロック。設楽なら必ず二回戦にくる・・・!!)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十七話 集結
その頃、鎌国高では・・・
青林はドロー表を眺めていた。
青林「(甲蔭二人に洋政一人、あと翔峰一人。こいつらは勝ち上がるな・・・。他にも五大のヤツらはいるがコイツらはサポートで終わるだろう・・・。あと秀南のコイツも確か春の大会で・・・)」
関尾「おいアオバ、今日は練習しねえのか」
青林「・・・するが、先行っててくれ」
関尾「・・・・」
青林は決して不良であるが練習をサボることはしない。それは青林のチャリに対する情熱だ。
青林「(・・あとこの澤西だな。・・・こんなヤツいたか・・・?)」
時は過ぎていき大会の前日・・・。
PM10:00。
渡部「(明日いよいよ俺は大会デビューか・・・。緊張するな。アメフトの大会とは違って個人戦だからな)」
・・・・
安部「(俺のブロック最悪だったな・・・。五大校の猛者がけっこういるからなぁ・・・。はぁ・・・)」
・・・・
芝田「(・・・。渡部の走りを見ていたいけど。多分場所違うからな・・・。そういえば渡部も俺らも大会デビューなんだよな、春の大会は5人以上いないといけない大会だったからな・・・)」
三人はその後ほぼ同じタイミングで眠りについた。
<次の日>
絵の島。
ここではB・K・Mブロックの予選を行なう。
3ブロック120人が集結した。
渡部「安部と同じ場所で安心したよぉ」
安部「奇跡だな」
渡部「(ここにいるヤツらの中に対戦相手がいるのか・・・。みんな強そうだなぁ)」
むこうから近寄ってくるのに渡部が気づく。
渡部「・・・?」
青林「よお安部、その隣にいるヤツが渡部光星か」
安部「あぁアオバ」
渡部「・・・(青林・・!)」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十八話 強者続々・・・
青林「渡部光星。お前か」
渡部「な、なんだよ」
青林「青林和也だ、よろしく」
渡部「安部と一緒の中学出身なんだよな」
青林「あぁ知ってたか、チャリ部には最近入ったのか?」
渡部「まぁそうだけど、もともとチャリで走ってたから」
青林「ほお。・・・何型だ?」
渡部「平地」
青林「なるほどね、俺は上りだ。せいぜい山で苦戦しないことだな」
青林が去っていった。
渡部「(なんだアレ、すげえ自信)」
大会進行係「えぇそれでは各ブロック毎に所定の位置に集まってください!」
安部「おッどうやらここでお別れらしいな」
渡部「うん。じゃあ」
<Kブロック>
大会進行係「Kブロックのコースは・・・海岸線!!箱根がゴールだ・・!!」
青林「(・・・箱根までか)」
渡部「・・・!!」
長崎「・・・ふん」
長崎 充:甲蔭2年。
伊東「距離的には問題はねえ」
伊東鉄二:甲蔭2年。
清澄「(え、ええぇ・・。そんな長いのぉぉ・・・。俺走れるかぁなぁぁぁ・・)」
清澄千太郎:秀南高1年。
細田「(チッ・・・甲蔭のヤロー・・余裕かましやがって・・!)」
細田祐喜:洋政第二2年。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第六十九話 5分前
・・・・。
Kブロック出場メンバーは大会進行係の指示に従いスタートラインへと並び始めた。
赤木「はいどおもおおお!!赤木でえす!!今回このKブロック予選の実況を任された赤木でえす!!」
赤木:大会実況係。
赤木「舞台はココ!!絵の島から聖なる箱根へと続く海岸線!!平地あり山ありの複合コース!!予選一回戦を勝ち進めるのは40人中10人!!一体誰が二回戦へ進出していくのかああ!!」
赤木は専用のヘリから実況している。その赤木の声はコース脇に所々にあるスピーカーから流れる。
ギャラリー「おおおおッ続々とスタートラインに集まってきたぞお」
渡部「・・・(すげえコース両脇にたくさん人が)」
大会出場者にはそれぞれランダムにぜっけんが渡され着用を義務づけられている。
渡部はスタートラインよりも後ろのほうに位置している。スタートラインの最前列に構えるのは・・
甲蔭組。長崎、伊東に続き他後輩。
その甲蔭に対して洋政細田が背後に構える。
渡部「・・・・」
青林「・・・・」
最後列は渡部のほかに鎌国青林、そして・・・
清澄「(あぁ~出遅れた・・・。こういうのって最前列にいたほうがいいに決まってるよねぇ・・・。なんでこんな後ろになっちゃったんだろ・・・)」
秀南清澄!!!!
渡部「(いよいよ始まるんだ・・・俺の初公式試合。勝てば続く。負けたらもう終わりなんだ。今日の予選は絶対に10位以内に入って次につなげる・・・!!)」
青林「へへへ・・」
赤木「みなさんスタートラインにそろったようですねえ!!Kブロック予選一回戦まで後残り5分をきりましたああ!!」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第七十話 BとF
その頃。。
安部「(なるほどね。箱根を目指す渡部たちに対して俺たちは逆方向か)」
黒木「どおもお!!Bブロック予選の実況係り黒木でえすッ!!」
黒木:大会実況係。
安部「(・・・あいつだな。盟王部長・・)」
ギャラリー「すげえ・・なんて気迫・・・」
ギャラリー「さすが・・・五大校の一角のトップ」
選手A「岩田だあああ!!盟王の冥王!!」
岩田「チィ~~・・・うっせえな外野あ・・・。予選ぐらいでそんな騒ぐんじゃねえってぇの~チィ~~」
岩田順平:“冥王”盟王学院3年部長。
安部「(・・・いい機会だ。俺とアイツの距離をこの予選ではかる・・・!!)」
・・・Fブロック会場。
芝田「(意外と俺のブロックもすげえヤツがそろってんだよな)」
茶木「どうもFブロック実況担当茶木でえす!!」
茶木:大会実況係。
芝田「(五大校のヤツらもすげえヤツだが、俺的にはアイツがここでは一番すげえ・・)」
ギャラリー「見ろ見ろ!スタートライン最前列!!ほぼ五大校で固められてるぞ!」
ギャラリー「ホントだ!すげえ!激戦ブロックじゃねえのか!?」
ギャラリー「最前列のど真ん中のアイツも五大校か!?なんだあの体格!でけえッ!」
ギャラリー「アイツは・・・門野半蔵!!」
門野「・・・・」
門野半蔵:県立秀南高校3年主将・・・!!
芝田「(とりあえずは・・・頑張るか・・・)」
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