時の旅人

時の旅人

揺れ動いた子供心



しかし、三島に移り住んで、離婚した親達の振る舞い、三島と秋田の板挟みに心を痛める生活の始まりでもあった。

三島に住んですぐの頃から、離婚した父親が時々三島を訪れるようになっていた。三島に住んで間もない頃は、一時期月一回のペースで来ていた。
親たちの間で一体どのような話し合いがされていたのかは当時としては知る由もない。
「離婚」という言葉での説明も当時なかったのだ。
父親は三島に来ると母親や弟も一緒に連れ出して、市内の楽寿園に遊びに連れていくこともあったし、中心部のスーパーに買い物に行ったりもした。
世話を焼くような振る舞いだったが、今思えば、別れてから何故に家族サービスのような真似をしたのか。少しでも気が咎める部分があったのか。
そして、訪問を受けた母親はどういう考えだったのか。その点も不思議ではある。

週末に姿を見せ、泊まったりすることはなくその日のうちに帰っていく父親。
父親の離婚後の姿を知るのは、ずっと後の事だった。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: