時の旅人

時の旅人

その17


 距離は十分近くなったし、長年の想いも今は晴れ晴れとしている。日付印のある18きっぷを改札で提示するとフリーパス。間もなくまた車中の人となる。電車の入線を待つ僕は汗まみれだったが、気分はとても晴れやかだった。
 電車に乗り、流れてゆく風景を見つめた。つい先ほどまで歩いていた場所があっという間に後方へ去ってゆく。あの田園風景に差し掛かった時、緑の中にポツンと一人立っていたのは・・・、間違いなくタカシ少年だった。
 僕が小さく手を振ると、彼も笑顔で手を振り続けた。そして彼の姿も僕の視界からあっという間に消えて、電車も山間部へと入った。
 帰りの上り電車は、海水浴の帰りらしくやや疲れた表情の家族連れがひしめく。皆、疲れながらも満たされた表情だった。僕は電車の揺れと冷房に眠気が誘発され、時折浅い眠りに引き込まれた。

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