あいするきもちLL

●第十二話



仁のお母さんの声で里架は我に返った。

「・・・ぁ。ごめんなさい!」

里架は仁のお母さんに連れられて、病院を後にした。

「ちょっとうちに寄ってかない?」







仁の家―――

「そこのソファーにでも座って待ってて」
リビングには小さい頃の仁とお母さん・お父さんの写真がいくつか飾ってある。

1人っ子で親の愛情を一身に受けたんだろぉな・・・。

仁のお母さんは紅茶を入れてくれた。

「ありがとぉございます!あのお父さんは・・・?」

「主人はね、海外で仕事してる人なのよぉ。アメリカに行ってもぅ3年かしら?」

すごい人なんだぁ・・・。

「仁の記憶は、戻るかな・・・」

「お医者様が言ってたわ。記憶障害は事故で頭を強く打ったのが大きな原因だって・・・。
 完全に記憶が戻るかは保証出来ないって」
しゃべり終わると仁のお母さんは手で顔を覆った。

きっと泣いているんだとすぐにわかって、あたしは仁のお母さんの背中をさすった。



数日後―――
仁は病院を退院した。もちろん周期的に病院には検診に行く条件で。


仁はお母さんのことは覚えていて、中学の時の記憶がないらしい。

だけどあたしは仁が思い出してくれることを信じて毎日仁の家に通った。


最初はまともに話もしてくれなかった。


「こんにちわー」と笑顔で挨拶しても

「・・・・・・あんた何で毎日来るの?」と冷たく追い返されてばっかだった。




「母さん、毎日来るあの人誰?」
仁は冷蔵庫からウーロン茶を出してコップに入れてそれを一気に飲みほした。

「里架ちゃんって言って仁の彼女だった子よぉ」

「里架・・・?」

―――ズキッ

一瞬、脳裏に毎日来る里架って女の子が出てきた。

仁は頭を押さえながら自分の部屋へ戻った。

それで卒アルを見た。

奥家里架―――

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