やさしいうた

やさしいうた

『Search the best way』


やりたいようにやって、怒られて、屈折し続けているうちに、恐れられるようになるとは。考えもしなかったこの状況に、俺は今、混乱している。
「亮二!!」
呼びかけても振り向きもしない。いつかのように話したいだけだよ。
誰からも相手にされなくなって、また屈折を繰り返して、そのうち目の前に現れた、新しい「友達」は決して友達なんかじゃなくて、「仲間」を欲してる奴等だった。
真夜中の道路を飛ばして、空気の中を駆け抜ける。奴等と一緒に。
俺は何をしているんだろう…。
ふいに思うときがある。ただ、誰かとつながっていないと壊れそうで、誰でもいいからつながっていたいだけなんだと。

ある日、仲間の中でもいわゆる先輩格の吉村から「おい、田村。河田ってやつ知ってるか?」と聞かれた。そいつの言うことは絶対。
「河田…亮二…」
「あぁ~そうそう。そいつよぉ、田村に手を出すなっつってきたんだけどよ、田村は俺たちの仲間だからって返そうとしたんだよ。したらよ、バカだから帰んねぇの。しかたねぇからボコっといたぜ?左側だけ軽くな、軽ぅ~く」
「よわかったっすよねぇ」
「なぁ?ギャハハハっ。しょっべぇの」
「…吉田さんっ、それっていつっすか?」
「ん~」
そういうと吉田は指を動かした。
「おととい。」
「最近じゃないですか」
「そうだな。田村ちょうどいなかったもんな」

振り向きもしなかった亮二は、殴られた痕を俺に見せないようにしていたんだろうか。明日になったら聞いてみよう。そして、謝ろう。生まれ変わろう。昔の俺に。

それから亮二と俺は以前のようによく遊ぶようになった。
吉田がわざわざ俺を殴りこみに来たが、たった一人の部下を殴りに、時間をかけてやってきた吉田の姿を想像すると、むしろ面白かった。

俺には亮二がいた。最高の友達だ。

さぁ、歩き出そう。今度は上手くやれるさ。

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