七宝519の好きなMONO!

+腕の中で+


 やっと毎日の生活に戻りつつあったある日、久しぶりにキミに会った。偶然だけど、必然に。ここはよく来ていたところだったし、キミとここでバッタリ会うなんて、今までだって何度もあった。
 だけどやっぱり、キミに会うといろんなことを思い出した。あの日以来、ここには来ていなかった。思い出してしまうから・・・。
 キミと話しているうちに、涙が溢れ出してきた。やっぱり思い出してしまって、心をゆるしていたキミの前ではつらい気持ちや、戸惑いをさらけ出してしまった。
「早く忘れてしまいたい」 そう言ったあたしを、キミは優しく抱きしめてくれた。だけど、腕をほどくと、少し強く言った。
「忘れちゃだめだよ!」 その言葉をどう受け止めたらいいのかわからなくて、あたしは言葉を失う。


「アイツはもう、おまえの思い出の中でしか生きられないんだから・・・」


・・・そうだね。忘れちゃいけないよね。

ずっと彼の思い出と生きていこうと心に決めて、逆に楽になった気がした。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: