年下の彼(1)



彼が26歳。
私が31歳。

「子供がいるようには見えないね。
 実は一目ぼれなんです。
 君の力になりたいんだ。付き合って下さい。」

・・・笑ってしまった。
ゲラゲラと笑い転げてしまった。
出会ってから初めて二人っきりで飲みに行った
北海料理の渋い店を出た後、車の中で右手はハンドル、
シフトを握っていた左手を差し伸べて、
多分、ここは決めるぞ!と格好よく言ったんだろう年下の彼が
無性に可愛くて胸が締め付けられてたまらなくて・・・。

「止めといたら~?」
と、茶化して答えたけど、私の頬は熱かった。
彼の手も汗ばんでた。

その頃彼には付き合ってた彼女がいた。
これまでにも遊んでいる時、何度も電話が入ってた。
離婚したばかりで散々に疲れてて、
面相臭いのはもうイヤだと思っていたからやんわり拒否った。

「人の男を取ったり取られたりって、イヤなのよ」

次の週末の夜、彼が近くまで来てるから・・・と言うので
なに?と聞くと「話したい事がある」と。

・・・言いたい事は判ってた。

彼は彼女と別れてきた。


離婚で懲りて、もう私の人生に男はいらない!と思っていたけど
彼の押しに押されて・・・
押されて求められたのが心地よくて
そういう相手を何処かで待ってた自分に気付いて・・・
程なく、私は彼と付き合いだした。




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