白いスカート。



昨日の夕食の時。
仕事から帰って来た彼は、何となくピリピリした感じがあって、
すぐに『何かあったな・・・』とピーンと来た。

こういうときに迂闊に口を開くと
険悪なムードになること間違い無し。
努めて明るく、何気ない風で接して様子を見てみる。

いつもならシャワーを浴びて、ゆっくり晩酌するのに
一杯飲んだら「すぐご飯にして」と・・・。
ぶすっとしてほとんど喋らず、モクモクと食事をしていた。

途中、なにかあったの?と話を振ったけど・・・。

「何で?」
「なんかいつもと雰囲気違うから。疲れてる?」
「ああ・・かなりね・・」

どうやら今夜は話したくないらしい。
話をやめて、TVに集中・・のフリ・・。

夕食後。
いつもなら、リビングでTVを見たり
雑誌を読んでのんびりするのに、
今日は薬を飲んだり歯を磨いたり。

私はキッチンで洗い物をしてた。
・・・気付くとソファーはもぬけの殻。
そっとベランダの窓を開け、二階を見上げると
寝室に明かり。

いつもなら「先に横になるね」と声をかけていくのに
今日は黙って寝室に上がってしまった。

・・・・大丈夫かしら?

・・・・まぁいいや(笑)

そっとしておこう。




誰だってかまわれたくない時はある。




私は音楽をかけ
本を読み始めた。




彼が寝入った頃を見計らって寝室に行く。

スースーと寝息を立ててる彼。

冷蔵庫のような寝室で布団をかけなおし、私も横になった。





そして朝。

布団でゴロゴロしながら「良く寝た・・・」と。

階下のベランダでコーヒーを飲みながら
昨日は彼の管理下で大きなミスがあって部下を叱りつけ
計画の練り直しや尻拭いで大変だったと話してきた。

うんうん、と聞く私。

薬飲んでたみたいだから心配だったけれど、
一人で考えたい時だってあるだろうからほっといた、
と・・・。

案の定、昨日のトラブルのあった仕事関係の電話が入る。


今日は野球を観に行く約束をしていた。

「必ず間に合うように帰ってくるから」



いつものGパンを脱いで
アナタの好きな白いスカートをはいて待ってるわね。



© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: