昔ばなし



ちびうさのばあちゃんが残した昔話をお読み下さい。

 カラスはなぜ黒い?

カラスととんびのおっかけっこ、どっちが弱いって・・・あれはとんびに弱みがあるんだよ。昔カラスは白かった。異国の孔雀には宝石の羽があり、南国の鳥には黄色や青の綺麗な羽があるのに・・・日本の鳥にも色々な羽があるじゃないの。なんで私だけが白いのよ!と 思いながら他の鳥達の会話を聞いていると、とんびは染め屋が商売でキジや山鳩が常連だと知ったのさ。
 あくる日のお天気を見計らい、カラスはとんびのところへ行ったとさ。
「いらっしゃい!どんな色にも染めますよ」という言葉を信じたカラスはとてもわがままな注文をしたらしい・・・頭は茶色、背中は瑠璃色、羽には金の染め抜きを入れて、尾っぽは銀色に光らせて!てな具合だった。とんびは悪戦苦闘。いろんな染料を混ぜては染めている最中にもカラスの注文はどんどん増えていった。ふと気が付いて水鏡に映った姿を見たカラスは驚きに声も出なくなったんだよ。なぜって?わがままな注文を重ねていくうちに、真っ黒になっていたのさ。後悔したカラスは元の白い色にしてくれととんびに頼んだら、「ウチは染め屋だ!元には戻せん。他をあたってくれ」と言いながらしっかり染め代を取ったんだ。カラスはあきらめて川で水浴びを繰り返したけど、いっこうに色は抜けず、その黒さに磨きがかかるだけだったのさ。だからカラスは今でも水浴びが癖になって、とんびを見かけるとつい、先代の恨みで、「染め代 返せ!」と叫びながら追いかけてしまうらしいんだよ。とんびは、真っ黒に染めてしまった罪の意識もあるから、カラスに負けてるわけじゃないけど逃げてしまうのさ。

 雲雀(ひばり)は金貸しだった?

昔、ひばりは金持ちだった。お天道様(太陽)は気がいいもんだからいつでもお金が無くて困ってたのさ。ある日どうにもならなくなったお天道様はひばりにお金を借りたんだよ。鳥の中でも警戒心の強いひばりは、絶対に金蔵(かねぐら)の場所と財産を明かさなかったんだけど、相手がお天道様じゃしかたないってもんで、「必ず返す」の言葉を信じて全財産貸してしてしまった。それから、夏になり、秋が過ぎても、お天道様は毎日無言で笑っているだけで、お金を借りたことさえ忘れてしまったらしい。腹を立てたひばりは、それから毎日空に向かって、「金返せ!金返せ」と、飛んでいったんだよ。それでも、お天道様は知らん顔。とうとうひばりはあきらめたんだけど、それからというもの、自分の住みかがわからないように、遠くまで草むらを歩いて行っては、一直線にお日様めがけて飛ぶようになったんだよ。もちろん、お金は貸し倒れ。今でも高い空に上ると、「金返せ」を連呼するそうだよ。


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