Tapestry

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オレゴン旅行記[1]


まだ仕事が見付からなかったポパイが、オレゴンに出稼ぎに行く事になったのだ。
(その時の辛かった話は(涙) こちら。

ポパイがオレゴンに仕事に行ってから1か月ほど経って、
息子とふたりで家にいるのは寂しくなったのと、オレゴン州には
ポパイの叔母さんや従妹もいるので、会ってみたい事、
そして何よりも、いい所だというオレゴンに行ってみたいのとで
息子とふたり、飛行機に乗って、いそいそと出かけたところから
この話しは始まる・・・・・・。
(登場人物はすべて仮名です・・・。^^)

当時まだ1歳7ヶ月くらいだった長男、オレゴンの空港で
久々にパパと再会したのはいいが、相手がパパと分かっているくせに
嬉しそうな顔もせず、それどころかパパを見ようともせず
「わざと」右を向いたり、左を向いたりして、

「エアプレーン!エアプレーン!」 と興奮した様子を演じていた・・・。

そんな息子を見て、寂しそうなポパイ、必死で

「パパだよ、 パパだよ、 パパだよ~~~ぅ!(^^;)」

と必死で訴えていたが、完璧無視されていた・・・。
(久々に会う父親に対して、照れのようなモノがあったようだ。^^;)

空港からその足で、ポートランド郊外にある、従妹の家に向かった。
秋のオレゴン、田舎道を車で走る。アリゾナとはずいぶん色合いが
違って、同じ田舎でも絵葉書に出てきそうに奇麗だ、
と感動したのを覚えている。
従妹の家は、そんな田舎道をひた走ったところの山沿いにあった。

古いけれどとてもいい感じの家。
大きな庭もあり、家庭菜園もやっている。イヌもネコも、
馬や鶏までいたし、かぼちゃ畑もあった。
従妹のリンダも、とても気さくでいい人だった。
彼女にはだんなさんと子供が4人いた。だんなさんは再婚で
子供も上ふたりは連れ子だった。

リンダはワタシより少しだけ年上だけど、とってもしっかりして見えたし
気も強そうだけれど、ワタシ達にはとても暖かく優しく接してくれた。

その日は確か、従妹一家と夕食を共にしてから、
ポパイが一時暮らしていたセーラムと言う町のモーテルに帰った。

仕事仲間は、雇い主(ポパイの親友のお父さん)と、もう1人、
ポパイを入れて3人で、それまで雇い主のハリーが1人部屋で
ポパイともう1人のトムが同じ部屋だったのだけれど、
ワタシ達が来る、と言う事で、ポパイとワタシ達の為に
一部屋あけてくださり、ハリーとトムが同室になったようだ。

彼らがやっていた仕事は、新しいオフィスビルの内装の仕事で
予定では1ヶ月半くらいで終わるはずだったのが、仕事がはかどらず
のびのびになって、結局2ヶ月半近くもかかった。

ポパイがオレゴンに行く前、ひとりで寂しそうなワタシを見かねて
「仕事が終わるちょっと前に、オレゴンに来たらいい。
そして、帰りは、車でゆっくり旅しながら帰ろう。」と
言う事になっていたので、いずれは行くつもりだったのだけど
いつまでたっても終わりそうにない仕事の話を電話で聞き
ちょうどその頃、妊娠が発覚したワタシは、更に情緒不安定になり
まだ仕事が終わるめどがつかないのに、行くことにしたのだ。

その時はまだ、アメリカに移住して3ヶ月くらいしか経っておらず
義両親以外には頼れる人もなく、1歳半の息子を抱えたワタシは
そうでないと、寂しさの余りどうにかなりそうだったからである。

そういう背景があったので、不便なモーテル暮らしとはいえ、
家族揃って一緒にいられるのは、まだ救いだったし、少なくとも
ワタシが住んでいたアリゾナのど田舎に比べて、ずいぶん都会だった
セーラムは、とてもいい所に見えた。

ポパイが、毎日朝早くから仕事に行っている間、歩いて、叉はバスに乗って
図書館に行ったり、街に行ったり、公園に行ったりして
暇を潰していた。そういう何でもない事が出来るのが、楽しかった。

確か、オレゴンに到着してから、2、3日後だったと思う。

朝方早くに目が覚めて、トイレに行ったら、出血があった。
自分で妊娠検査をして、妊娠が分かってから、まだ医者に行っていなかったので
オレゴンでポパイが休みの日に連れていって貰う予定だったのだが
出血で心配になり、早速その日に休みをとってもらい、
従妹の紹介してくれた病院に行ってみた。

検査の結果、超音波で小さな赤ちゃんを見る事ができるけれど
心音が聞こえない、と言う。まだ小さいので、聞こえない事も
たまにあるらしいし、大丈夫な可能性はあるが、
もしかしたら、流産するかもしれない、との事であった。

その頃、慣れない土地に来て、精神的に色々と辛かった事もあって、
妊娠した事を素直に喜べなかった自分がいたので、
天罰か、とも思ったが、正直ホっとした気持ちがあったのも事実である。

長男がまだ2歳にもならず、未熟なワタシには、彼だけを育てるのに
精一杯だったし、予定ではあと1、2年して余裕が出てきたら
ふたり目も考えよう、と思っていたからだ。

結局その後、また出血があって、流産してしまった。

ここで妊娠や流産について、ワタシの考えを一言お断りしておくが
流産と言うのは、そのほとんどが胎児が弱かったり、何らかの理由で
ちゃんと育たなかったから起こる場合が多く、決して母体のせいでは
ない事が多い。(もちろん過度の精神的、身体的ショックで
流産してしまう事もあるが)
だからその時の赤ちゃんも、元々弱くて、元気に育たなかったんだ、と思っている。

ワタシ自身が未熟で、赤ちゃんを産む準備が出きていなかった事は
事実だし、神様がちゃんとその事を解っていたから、
赤ちゃんを授けてくれなかったんだ、とも思っているけれど、
流産自体は、そういうものなので、もしも流産の経験があって
自分を責めている人がいたら、どうか自分を責めないで、と声を大にして言いたい。
命の誕生というのは、それくらい奇跡的な事なのだ、と思う。

ワタシもこの時から、それまで以上に、
「子供は授かりモノ、うまく育つ事もあれば、育たない事もある。
今生きていてくれる子供たち(自分の子供以外も)を大切に
育てていく事が、一番大事な事だ。」と考える様になった。
(ちょっと話が暗くなってしまい、すみません。)

と、こんな悲しい事があったりもしたが、心優しいポパイの従妹達が
自然に振る舞い、慰めてくれたおかげで、ワタシもそれほど
落込む事もなく、元気で過ごす事が出来た。
セーラムに滞在中、リンダの家や、コバレスと言う、
これまたかわいい~街に住んでいる彼女の妹の家にも何度か
遊びに行った。どちらも子供がたくさんいて、息子も楽しめたし
ワタシも話し相手が出来て嬉しかった。

でも考えてみたら、今よりも更に何倍もひどい、むちゃくちゃな
英語だったにも関わらず、よくあんなに辛抱強く、相手をしてくれたなあ、と
今更ながらに感謝の気持ちでいっぱいである。

週末には、リンダの家に泊まりに行き、馬に乗せてもらったりもした。
本当に田舎だったので、近所の道を馬に乗ってとことこ歩いたり
近くの農家が飼っている、ラマを見に行ったり、息子もワタシも
とても楽しかった。色々あったが、やっぱりオレゴンに行って
良かった、と思っている。

ちょうどこの時期、ハロウィンがあった。アメリカに来て初めての
ハロウィン。もちろん、息子も初めてだ。
従妹の下ふたりの息子達は、スーパーマンとスターウォーズになって
町で行われるTRICK OR TREATに参加するから、あなた達も
一緒に行こうよ、と誘ってくれたが、息子に何を着せていいか
全くわからない。すると、ちょうど一番したの息子さんが
前年に着たという、カウボーイのコスチュームを、貸してくれた。

その時の写真がこれである。
(本邦初公開!長男の可愛かった頃の写真!!!)
cowboy

この時、初めてのハロウィンで、たくさんのモンスターやスケルトン、
魔女や黒猫なんかに出会って、怖くなった長男、エンエンと泣き出した。
たくさんキャンディやチョコレートを貰って、嬉しかったのはワタシ。
あの時のハロウィンが一番楽しかったかもしれない。

続く・・・・・。

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