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2019.10.19
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​鹿島茂「馬車が買いたい」(白水社)
 これも10年ほど前に、高校生にあてて書いた「読書案内」の、ちょっと、リニュ-アル。普通科の高校は、一般的に、1年生の秋に文系・理系(数学と理科、社会とか芸術の、二年からの科目選択を類型によって選ぶことが多い。大学受験での教科選択とかかわりが深く、そこから先の進路に大きく影響する。)を選ばせます。

​​ 問題なのは、選ぶ根拠を持つことができない、不安だけの高校生に制度の都合で選択を迫ることだと思っていました。16歳が、何を根拠にして・・・・。
 当時も、そして、今になってみても、気持ちは変わりません。自分のだらしない人生を語ることで、 「まあ、くよくよするなよ、なんとかなるよ。」 ということを伝えたかったようですね。
※   ※   ※    ※   ※   ※    ※   ※    ※   ※
 秋を迎えた高校1年生が最初で、且つ、かなり大切な進路選択を迫られている。この時期になると、自分のことを思い出す。
 僕は高校時代は理系だったが大学は文学部、文学科、国文学専攻というところを出た。まあ、結果的にはバリバリの文系だったというわけだ。その大学も4年で出ればいいものを、のべ8年かかった。最初は西洋史学専攻にいた。だから、フツウの人の4倍も同級生がいることになる。
 落第生の卒業式は国際会館とか、そういう派手な所ではなくて、学部長室だった。学部長さんと、学科長の立派な先生方が席についておられるテーブルに、数人の卒業生も座って、ケーキと紅茶をいただいた。
 怠け者で、態度ばかり大きくて、とんでもない学生だった。学部長さんが、誰だったかまったく忘れている所が、これまた問題だが、ともかく、一人、一人握手してくださったのが、印象に残っている。
「ごくろうさん。」
 そう、おっしゃった。身から出た錆なのだが、今思えば、本当に「ご苦労さん」な学生生活だった。​​

​  「そんな大学で何を学んだんですか。」
 そう尋ねられると困る。一応教員の免状は手に入れたが、他に何があっただろうか。やたらと、あれこれ面白がって、遊んでいただけのような気がする。
 卒業して、高校の教員になって、授業を始めてみて、ただ、遊んでいただけの学生生活を実感した。授業で説明しなければならないことについて、何にも知らないのだ。
 そんなぼくでも、コレは大学で身に付けたなと思うことが二つだけある。
 一つめは、実は、ぼくにとってそれは、かなり辛い発見だったのだが、「自分が、たいしたことのないバカだ」と知ったことだ。たとえば、語学のように、持続しないと身につかない努力は全くできないし、哀しいかな、センスもない。
 二つめが本の読み方だ。興味を感じた人と出遭った場合は、その人が書いたものは手に入る限り全部読むという、「癖」のような読み方だ。別に、自慢しているわけではない。コレは、オタク傾向のある子どもがよくやる本の読み方なのだ。

​​​​​​​​​  『不思議の国のアリス』 といえば、読んだことのある人もいるにちがいない。 ルイス・キャロル というおじさんが、友人のお嬢さんで、 アリス という名の少女にプレゼントするために書いた作品だといわれている。お話が気に入った アリス は、 「おじさんの次のご本も読ませてね。」 といったそうだが、次のご本を開いて彼女はひっくり返ってしまった。
 お話を書いてくれたおじさんは C. という名のオックスフォードで優等生だった数学者であって、「おじさんの次のご本」は記号論理学、つまり数学の論文だったからだというエピソードがある。
 まあ、ウソか本当かは知らない。しかし、ぼくが本を読むときの習性は、この話の アリス のようなものだ。要するに、発想が子どもであるだけなのだ。
「このオジサンの、前の本も、次の本も読んじゃうからね。」
 まあ、そういう意識だ。ただ、僕は自分が勉強不足のバカだと知っているから、イメージとしては常に新しい先生を探しているつもりでいるところと、他にすることがないからアイドルのオッカケのような気分が幾分かあるところが アリス とは違うかもしれない。​​​​​​​​​

​​​​ 最近、そのパターンで 「このおじさん面白い!」 と追っかけている先生の一人に 鹿島茂 というフランス文学者がいる。共立女子大の先生だそうだが、19世紀のフランス文学、中でも「人間喜劇」のバルザック、「レ・ミゼラブル」のビクトル・ユーゴーあたりが専門の学者だが、フランス文化案内、文学紹介をあちこちに書いたり、テレビ番組にも登場したり、なかなかの人気先生なのだ。
  その先生に 「馬車が買いたい!」(白水社) という本でハマッテしまった。フランス革命の時代に馬車はどんな乗り物だったのかという、一見、素朴で、まあ、どうでもいいような疑問の解説で始まるのだが、僕には、やたら面白かった。
 当時、パリに出て一旗挙げようという人たちが、乗合馬車に乗り込んで上京するという設定で書き始められているのだが、まず登場人物がフローベールの小説「感情教育」の主人公であったり、小説家バルザックであったりというところが楽しい。クーペ、リムジン、セダンとか、現在では自動車の呼び名として使われている言葉は元々は馬車のスタイルの呼び名であったなんていうこともこの本で知った。
 こういう本を読んでいて「それがどうした。」と思ってしまうとそれで終わり。
面白がって読み続けると、じつはこの本は、馬車の話を表看板に掲げながら、フランス文学案内がその正体であることにたどり着く。
 バルザックの自家用馬車に対する執着、愛人のもとに駆けつける姿の滑稽さなど、小説を読むよりも面白いエピソードが満載。まあ、この本から鹿島先生のお書きになる「次のご本探し」が始まり、今でも続いているというわけだ。
 偉そうに本の読み方を講釈しているが、たとえば、ヨーロッパの歴史に興味を持てるのは、もともと「西洋史学専攻」という、結局、挫折する回り道を三年もしたせいかもしれないし、書物への執着は「落ちこぼれ」を拾ってくださった国文学の先生の「読みましたか?」にこたえたい一心の結果かもしれない。
 どんな方向に進もうが、その時、出来ることがその人らしさを作る。それはいくつになっても、そう変わるわけではないようだ。
 できれば 「鹿島茂」 図書館で探してみてください。ハマるかもしれませんよ。(S)
​​​​
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最終更新日  2024.06.11 21:35:24
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