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「 100days100bookcovers no6
」
ローレンス・ブロック「八百万の死にざま」(田口俊樹訳 :
ハヤカワ文庫)
村上春樹
、 レイモンド・カーヴァー
と繋がってきて、はたと困りました。できればここから離れたいのだけれど、 カーヴァー
をそれほど読んでいない(しかも、昔読んだものも内容を覚えていない)ので、どこへ行けばいいのか、道筋がすぐに思いつきません。 レイモンド繋がり
で チャンドラー
にしようかと思ったけれど、それじゃあ縁がありすぎて、 村上春樹
に戻ってしまう。
あれこれ考えるうち、アルコール依存症で苦しんだという カーヴァー
の経歴を思い出して、 アル中探偵
マット・スカダー
にたどり着きました。
ああ、よかった。
ローレンス・ブロック
『八百万の死にざま』
の主人公です。
この探偵小説は、もちろんミステリー要素がないわけではないけれど、重心は、アルコール依存症で半ば身を持ち崩しながら、首の皮一枚で踏みとどまり、事件に関わってゆく スカダー
を描くことにあります。
「 AA
」というアルコール依存症患者の自助グループのことも、この小説で初めて知りました。そうなる原因となった過去は詳しく語られませんが、酒に対する態度とは逆に、探偵としてのルールはきわめてストイックで、そのせめぎ合いの中で スカダー
の魅力が輝きます。筆致はクールですが、作者の スカダー
に対する静かな共感が流れているのです。
もうひとつの魅力は、陰翳深く描かれるニューヨークの街です。タイトルの 「八百万」
というのは、当時のニューヨーク市の人口です。直訳すると 「八百万通りの死に方」
。
1980
年代の荒廃したニューヨークの街が、他人の 「死にざま」
を眼前にし、虚無に足をとられながら何とか生きている スカダー
と響き合います。
ラストは、ファンがこぞって
「この一言のためにこの小説は書かれた」
と絶賛するセリフで終わっています。これまで言えなかった、正直でシンプルな スカダー
の一言に、みんなノックダウンされるのでしょう。私もそうでした。
では、 T
・ KOBAYASI
さん
、お願いします。 ( 2020
・ 05
・ 16 K
・ SODEOKA
)
追記2024・01・17
100days100bookcoversChallenge
の投稿記事を
100days 100bookcovers Challenge備忘録 (1日目~10日目)
(11日目~20日目)
(21日目~30日目)
(31日目~40日目)
(41日目~50日目)
(51日目~60日目))
(61日目~70日目)
(71日目~80日目)
という形でまとめ始めました。日付にリンク先を貼りましたのでクリックしていただくと
備忘録
が開きます。
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