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アメリカの若い監督の映画を続けて 2
本見ました。 1
本目が ビン・リュー監督
の 「行き止まりの世界に生まれて」
、 2
本目がこの映画 「ザ・ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」
です。
2
本に共通するのは 「貧困」
と 「スケート・ボード」
、そして 「サンダンス映画祭」
で世に出た映画ということでした。 「行き止まり・・・」
がロックフォードという経済成長の失敗の象徴のような街が舞台でしたが、こちらは、アメリカでも有数の「金持ちの町」、サンフランシスコが舞台です。
スケボーの上で暮らしているかのような、 黒人青年ジミー
と彼が居候している部屋の持ち主で、脚本家か俳優の夢を見ている、ちょっとどんくさい、同じく黒人の青年 モント
という二人の青年の掛け合い芝居でした。
映画は二人乗りのスケート・ボードが、街を滑り降りていくシーンから始まります。 サンフランシスコ
でしょうね。いつも本を抱えている モント
と海。 ジミー
が覗きこむビクトリア様式というのでしょうか、見かけ以上に立派で古い家。 モント
の目が見えない祖父(?)と一緒に観るテレビ。 ジミー
のインチキなオヤジ。たむろする黒人の青年たち。空家になった屋敷に忍び込み、住み始める ジミー
。
ひとつひとつのエピソードは魅力に満ちているのですが、見ているぼくの中で、物語が起動しないそんなシーンが続きます。魅力的なシーンを支える 「物語」が破綻している
かのようです。
結末にたどり着いて、スケート・ボードを叩き折る ジミー
の姿がありました。そこには 「空虚」
で 「アイデンティファイ」
することも許されない 「貧しい」若者
がたっていました。
「現代」
という社会が、あるいは、 サンフランシスコ
という街の実相がありありと浮かび上がってくるような気がして、思わずため息をつきました。
ジミー
はこれからどうやって、この街で暮らしていくのでしょう。
ドキュメンタリーなタッチで描かれたドラマでしたが、面白いシーンが 「思わせぶり」な印象
を残した映画でした。このギャップは、監督の若さのせいでしょうか。いろいろ工夫を感じさせた映画ですが、少し残念でしたね。
監督 ジョー・タルボット
原案 ジミー・フェイルズ ジョー・タルボット
脚本 ジョー・タルボット ロブ・リチャート
撮影 アダム・ニューポート=ベラ
美術 ジョナ・トチェット
衣装 アマンダ・ラミレス
編集 デビッド・マークス
音楽 エミール・モセリ
キャスト
ジミー・フェイルズ(ジミー)
ジョナサン・メジャース(モント)
ティシーナ・アーノルド
ロブ・モーガン
マイク・エップス
フィン・ウィットロック
ダニー・グローバー
ソーラ・バーチ
2019
年・ 120
分・ PG12
・アメリカ
原題「 The Last Black Man in San Francisco
」
2020
・ 10
・ 19
・シネリ-ブルno70
打つ棄てられた人間としての「自分」 を発見する映画だったのです。ぼくが 「思わせぶり」 と感じたシーンは、ひょっとしたら、ぼくの見損じだったのかもしれません。
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