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2024.08.24
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​​ ​チョン・ジア「父の革命日誌」(橋本智保訳・河出書房新社)​
 今日の 読書案内 現代韓国文学 の話題作、 チョン・ジア という 女性作家 「父の革命日誌」(橋本智保訳・河出書房新社) です。​
「父が死んだ。電信柱に頭をぶつけて。生真面目に生きてきた父が電信柱に頭をぶつけ、真摯そのものだった人生に幕を下ろした。」(P005)
​死んだ父 は80歳を過ぎた老人で、名前は コ・サンクウ 前職がパルチザン だそうで、似たような年恰好で 脊椎狭窄症の母 と二人暮らしでした。
​​​​  語り手 は一人娘で、名前は コ・アリ 50歳 を過ぎて一人者です。名前の アリ 白鵝山(ハクアサン) 「ア」 智異山(チリサン) 「リ」 「アリ」 。漢字で書けば 、命名の経緯は、下に引用した訳者の著書紹介でも見当がつくと思いますが、 語り手 が、 父親 のことを 「前職パルチザン」 と呼んでいるととも繋がりますし、作品の背景にある 韓国現代史 も浮かびあがってくるのですが、まあ、作品中に書かれていますから、まあ、そちらをお読みください。​​​​
 で、 彼女 は都会、多分、ソウルあたりで、大学の講師かなんかして暮らしているようですが、 父の死 を知って 智異山(チリサン) の麓の 求礼(クレ) という生まれ故郷に帰ってきて、葬儀を取り仕切っています。
 小説は、父の葬儀のドタバタの数日を描いている、まあ、いってしまえば
​​​「お葬式」小説​​ ​​
​  です。
​ 親の葬儀の経験のある方であれば、どなたでも体験されるんじゃないかと思いますが、知っているつもりで知らなかった親の真の姿の発見のオドロキが描かれています。ありきたりといえばありきたりですが、どんどん読めます。​
​​「面白い!面白い!」 ​​​
​  と、ボクがどんどん読めてしまった理由は、 「前職パルチザン」の両親の生活 に対する興味がまずありました。ボク自身の 現代韓国社会に対する関心 に。ほとんどジャストミートで応えているところです。
 で、もう一つは
​​ 「ユーモア」小説だ! ​​
 ​ ということですね。
 表紙をご覧になって、お気づきかもしれませんが、葬儀に集まる、 母親 はもちろんのこと、 叔父、叔母たち や、 知人たち 、全く想像もしなかった 少女 の登場に到るまで、一見、
​​ ぶっきらぼうなユーモア ​​
​  あるいは、自分を笑うというか、集まった人たちに対するちょっと醒めた眼で語り続けてられています。​
​​​​ しかし、笑いながら、読み続けていると、その 照れ隠しのようなユーモア で語られる、人々の描写の底には、 語り手 人間たちに対する 、そして、もちろん、 ​父や母に対する​ 「愛のようなもの」 があるという 発見 にたどりつく葬式の終わりがやって来ます。​​​​
 で、その焼き場で泣き始めた語り手の姿をみて感じた納得が三つ目の面白さでした。
​​ 父の遺灰を握ったまま、私は泣いた。 ​​
​​​​​​​​ ドタバタだった 葬儀 の終わりに、初めて涙を流すシーンの冒頭ですが、 「パルチザンの娘」 を生きてきた語り手が、 パルチザン以前 に、
​人間として生きた父親の素顔の発見! ​​
​​  ​ にたどりつく感動のラストです。
​​ チョーありきたりです! ​​
 ​ しかし、 パルチザンの娘 として偏見と蔑視にさらされて生きることを押し付けられた50年の人生の苦闘の結果、あたり前の人間として生きた父親の遺灰を抱きしめるかのラストは、 社会、家族、個人 という、まあ、 吉本隆明ふう にいうなら、 共同幻想、対幻想、個的幻想 という、人間存在を縛る幻想性の衝突と和解を文学的に昇華させんとする作家の力技のなせる業だと思いますが、実に、感動的ですね(笑)。​​​​​​​​​
​​​​​​ 楽しいだけの作品ではありませんでした。私たちが見失っている 歴史性・社会性 の上に立たないかぎり、あるいは、 共同幻想 との対峙を見据えないかぎり、 家族との葛藤や自分自身の叫びのリアル 対幻想 個的幻想 の真相 にはたどり着けないことを描いている作品だと思いました。
 なんだか訳の分からないことをウダウダいってますが、小説という表現は、それを書いている作家がどんな社会やどんな時代をどんなふうに生きているのかを伝える​ものだったのだということを思い出させてくれた作品でした。​​​​​

​訳者​ である 橋本智保さん あとがき でこんなふうに著者の紹介をかいていらっしゃいます。
 本書は 2022年 に韓国で刊行された 「父の革命日誌」(チャンビ刊) の全訳である。
著者 チョン・ジア は、美しい智異山(チリサン)と蟾津江(ソムジンガン)に囲まれた全羅南道(チョルラナムド)の求礼(クレ)で生まれる。父はかつて全羅南道党組織部長であり、母は南部軍政政治指導員であった。父は長い期間にわたって収監され、娘のチョン・ジアは軍部独裁政権下で多感な時期を送った。
​  1990年 「パルチザンの娘」(全三巻) という実話をもとにした長編小説を書き、センセーションを起こした。 チョン・ジア はパルチザンの娘である自分に課された使命だと思って執筆したと述べており、両親がパルチザンになったいきさつや、どのような活動をしたのかについて記録した。
 ところが思想の自由が保障されていなかった当時、 「パルチザンの娘」 は刊行直後に 国家保安法違反 により 発禁処分 を受け、 チョン・ジア は指名手配され逃避生活を余儀なくされた。​
​​​​​ まあ、これだけでお隣の国の政治、社会のことをいかに知らないか実感したのですが、一人の人間が「書く」という時に、今、生きている社会にたいして、書き手がどんな覚悟をもっているのか、読み手の側も、腹を据えて読む必要を実感した読書でもあったわけです。
 で、出版社の著者紹介はこんな感じです。​​​​​
チョン・ジア (チョン,ジア)
 1965年、韓国・求礼生まれ。1990年、自身の両親をモデルにした長篇小説『パルチザンの娘』で作家デビューするが、発禁処分となる。作品集に『歳月』(新幹社)など。李孝石文学賞ほか、数々の文学賞受賞。
 ​ 韓国の 新しい文学 、翻訳も揃い始めています。面白そうですよ。​​


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最終更新日  2024.08.24 10:00:25
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