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イスティスの隠れ家
-真名の探索者- 序章
『蒼き石の物語外伝』-真名の探索者- 序章
真名の探索者 1『名を探す者』
私の名はヘディン。『真名の探索者』の二つ名を持つ1人だ。
世に誇れる仕事があるとするならば、私の仕事は世間一般ではまさにソレだろう。
『真名の探索者』とは公社の依頼を受け、『真の二つ名』を探索する者。
時の英雄たちが持つ二つ名は、全て『真名の探索者』を二つ名とする者たちだ。
そう。英雄に名を与える誇る栄誉を持つことの出来る者。その資格を持つ者。
だが・・・
私はその栄誉を、誇りを否定したいと思う。
『真の二つ名』とはすなわち人の本質とも言えるべき『闇』を見なければならないからだ。
そう、決してそれは楽なものではない。
私はそれを否定することを考える。
多くの仲間が、人の本質を見て苦しみ、時に怒り、時に発狂さえした。
どんなに強い精神を持つ者であろうとも。どんなに苦しみを乗り越えてきた者であろうとも・・・
人を知れば知るほど。私や仲間は少しずつ『外れていく』
だが、私達は求める。
なぜなら・・・
私は今、1人の冒険者と共に旅をしている。
彼は黒いレザーパンツと皮の鎧、腰にシンプルなデザインをした刀身に鍔なく、柄の部分にだけ持ち手を傷つけぬよう皮で覆われた長剣を帯びている。
黒に近い淡い茶髪を後ろで巻き、どこか気品を漂わせる端整な顔立ちとは異なり、その体躯は鍛え抜かれた戦士そのもの。
彼は数々の功績を立てた英雄。
古都王宮に巣食っていた魔物撲滅。アリアン近郊の墓地に出現したリッチとレイス討伐。
そして、レッドストーンの欠片発見。
輝かしい功績を持つ彼を、公社の依頼で今回『真の二つ名』を決めることになった。
その担当者が、私、ことヘディンだ。
「貴様。いい加減ついてまわるのはやめないか?」
彼について二ヶ月。私は今だに彼の二つ名を決めていない。
理由は一つ。私はいまだに彼の『真』の姿を見ていないからだ。
だが、それと同時に思うこともある。かなり扱いがひどいことだ。
「私は別に真名などというものは必要ない」
そして一番困るのは、こうしたことを平然と言われることだ。
「貴方は『真名の探索者』を勘違いしています」
その度に、私は彼にそういって説明する。
『真の二つ名』とはすなわち、その人自身の名前と同じ。そして何より、今後冒険者を続けていく限りついて回る名前なのだ。
それを、そう簡単に決めることなど、私は無責任ではない。
だが、その話は彼に届かない。
彼の功績は確かにすばらしいモノだ。だからこそ、彼には真名が必要なのだ。
だが・・・
「私たちは決して・・・間違えてはならないのだから・・・・」
男はそれを見て呟く。
「・・・大した使命感だな」
一瞬、彼・・・フェイレートの横顔に寂しげなものが浮かぶ。
・・・なんだ?
私はそここそ、彼の真名への道に思えた。
「怪訝そうな顔をするな。ただ・・・昔を思い出していただけだ」
驚くことに彼は私の感情を読んだ。
いや、それ以上に彼は読むだけに留まらず答えをも返した。
「さぁ、ついてくるならいくぞ。この平原を越えれば・・・依頼を出した者がいる村だ」
その声にはさきほどの寂しげな感情はどこにも見えなかった。
すたすたと密林を越える彼を見て、『名無し』の彼に世間がつけた二つ名を思い出す。
・・・・『皇帝』(カイザー)・・・・か
その村は、良く言えば平穏。悪く言えば、寂れた村だった。
だがそれ以上に見えるものがあった。
戦火の後だ。
ところどころに、飛び散った血。燃え尽きた家跡。
そこかしこにひどい争いがあった後が見える。
そして、村の入り口には6名ほどの男達が私とフェイレートを取り囲んで粗い口調で目的を聞いてきた。
目的を話すと私達はすぐに依頼人と顔を合わせることになった。
「盗賊の討伐を依頼する」
開口一番に依頼人である村長はそう言った。
わざわざこんな辺境にまで来た者に対して放つ言葉ではないようにも感じるが、この場の主役は村長とフェイレートだ。
そう思い、私は黙ってことを見守ることにした。
「ほぅ、盗賊どもか」
フェイレートは意に介した様子もなく平然と言葉を返す。
「左様。奴らは一月ほど前から度々この町を襲撃している。おかげでこの村は貯蓄していた食料や金品を奪われ・・・非情に苦しい状況にある」
こういった農村は確かにそういった連中にとって格好の獲物だろう。
だが、彼らは何故村を離れない?
「この村には食料や金品以外に何かあるのか?」
そういった思いがフェイレートに伝わったのか、彼はその質問をそのまま村長に投げかけた。
「・・・それは・・・」
村長はすこし逡巡をしたが、すぐに思い直したのか口を開いた。
どうやらこの村にはある宝物があるらしい。どのような物か具体的な事はさすがに言わなかったが、それが目的で盗賊たちはここを狙っているらしい。
そういった目的があるなら、すぐに略奪を開始するはずなのだが、この村は思いのほか盗賊たちに抵抗をしているらしい。
数名の冒険者を雇い入れ、彼らと村人を中心に自警団を築いているという。
だが、それでもやはり奇襲という経験で勝る盗賊たちにあの手この手でかく乱され、後手後手で少しずつ村を攻略されつつあるらしい。
本来なら冒険者を多く雇い入れるものだが、下手に宝の事を聞かれて盗賊達に加担されてはたまったものではない。
「そして、そんな時に『真名の試練』を受けている私の話を聞いたわけか」
確かに懸命な判断だろう。もしこれでフェイレートが盗賊たちに加担しようものなら、私は即座に彼へ『反逆者』(ベトレイヤー)の二つ名をつけるだろう。
だが・・・
「職務を利用されたような気分であまり良い印象を受けないですね」
私はそう村長に言い放った。
「何を言われようと結構だ。私にとっては大切な目的だ」
私は肩を竦めてフェイレートを見た。さて、彼の判断は?
「受けよう」
即答。いや、これは最初から決めていた事なのだろう。
「依頼金について聞かないのですか?」
確か彼はこの依頼を100万Gで受けていたはずだ。だが、この依頼内容では安すぎるといわれても仕方ないものだ。
普通であれば、ここで交渉するはず場面のはずだ。
「もともと決められた値段でいい。私には興味がない」
言うに事欠いて、そんな答えを聞くことになるとは思いもしなかった。
分からない。
二ヶ月という付き合いで彼が、恐ろしいほど頭が切れる男であることは理解していた。だが、時に彼は重要な場面をまるでめんどうを省くように適当に切り上げることがある。
冒険者とは基本的に強欲であるものが多い。だからこそ、彼らは時に命という代価を天秤にかけるのだから、当然だ。
「さて・・・」
彼は立ち上がった。
「そいつらは、どこにいる?」
「「は?」」
・・・どうやら私はまだまだ彼を理解できていなかったようだ・・・
真名の探索者 2『序盤戦』
村長から教えてもらった場所はここからそう遠い場所ではなかった。
時間にして約三時間。山間の入り口に盗賊達の住処はあった。
その住処・・・建物の前を目視で人影が確認できるほどの場所に私達はいる。
「・・・・あそこだな」
フェイレートは皮のグローブをつけた腕を握り締め、具合を確かめている。
「フェイレート」
「なんだ?」
「人数さえ確認出来ていないのに、攻めるのですか? 二人で」
「貴様は手を出す必要はない」
・・・正直に言えば、時折フェイレートのこの口調に苛立ちを覚えないでもない。
だが、それでも・・・この男には何故か似合っている。
「それはありがたいですね。私は自分の身を自分で守ることにしましょう」
「当然だな」
フェイレートは腰にある剣を抜き放つ。
「行くぞ。『真の剣(ライン・シューベルト)』」
大上段へ剣を振りかぶり、彼は息を吸い込む。
『オオオオオオオォォォォォォッ!!!』
ともに旅を始めてから、何度か見たことがある。
それは彼と『真の剣』でしか出来ない特殊技能。
内にある魔力を力に替え、『真の剣』で具現化する。
『吹き飛べ!!!』
力ある言葉と共に彼の言葉は白き光刃として具現する。
フェイレートは人影を打ち倒した後、そのまま盗賊たちのねぐらと思われる建物へ入っていった。
私はその背を見送り、周りを見回しながら思う。
彼の起こした凄まじい破壊を目の前にして、改めてこの男の底を見抜ける気がしない。
フェイレートの放った光刃は盗賊達にはあたらず、地面を広範囲に渡って抉りとり、その際発生した石つぶてで打ち倒した。
ため息が出る。
一体どこでこれほどの力を手に入れた?
長く『真名の探求者』をしていて、時に思うことがある。
冒険者たちの中には、時にとんでもない力や精神を持つ者たちがいる。
不屈の精神を持ち不沈と言われ、決して倒れず敵を討ち続ける男。
悲しき思いを殺し続け、それでも氷の冷酷さと優しき心を持って敵を滅する女性。
己の欲望にただ忠実に、その力を振るい続ける黒衣の神官戦士。
そしてまた、ここに1人。
だが、彼は別格・・・いや・・・・
異質だ。
ふと、背中に殺気を感じた。
振り返るとそこには・・・・
「貴様が、私の部下達を殺したのか・・・・?」
私・・・・?
おかしいな、目の前にいる彼は盗賊とは何かが違う。
盗賊にしては妙に言葉がきれいだ。何より、今目の前にいる男の装備は。
「・・・・旧帝国の正騎士装具ですね」
「!?」
図星か。
「表情に出るようでは、まだまだですね」
私は騎士の姿をした男に向き合う。
西方にある国に、サッデイ帝国という国がある。
いや、あったというべきか。
その国は数年前に貴族同士の内乱があり、最後には皇帝なき亡国となって別の国に吸収されたはずだ。
だが今目の前にその亡国の騎士がいるという事は・・・・
「何者だ」
「さぁ? 何者でしょうね」
それなりの実力はあると自負している私には彼の殺気が丸見えだ。
騎士は若くはない、だが駆け引きの経験は少ないようだ。
彼は腰から剣を引き抜き、ゆっくりと正眼に構えを取る。
隙は・・・ない。おそらく名のある騎士。
「貴方のお名前を聞いていいでしょうか?」
「・・・・亡騎士だ」
「名を名乗る気がないなら、それでもいいでしょう。ですが」
私はゆっくりと左の拳を握り締める。
「どのような理由であろうと。名を捨てるということは、自分を捨てるということですよ?」
「何?」
「そのような人に、亡霊などに奪われる命は何と哀れなことでしょうか」
「!?」
明らかに動揺した様子。そしてそれこそが隙だ。
だが私は攻めない。待つ。
「・・・サッデイ帝国正騎士『雷剣』グランジェス=アーソート」
「良い『名』です」
その言葉が終わるや否や、風切る音と共に、グランジェスは突撃してくる。
速い。
『雷剣』・・・まさにその突撃は雷撃を思わせるほどの速度だ。
正眼に構えたのはその速度を活かしきる突きへ転じさせるためか。
「はぁぁぁぁ!!」
裂帛の咆哮を上げる彼へ、同時に私も突撃する。
そして影と影が交差した。
っ痛・・・・
交差の刹那、私の左腕は切り裂かれていた。
浅い傷だ・・・・
腕の部分を浅く、だが確実に裂かれている。もうすこし腕を上げていたならばそのまま持っていかれたかもしれない。
だが、代償は払った。
「な!? なんだこの氷は!?」
そう、交差の瞬間に私は彼の胸鎧へ既に攻撃を終えていた。
チリングタッチ
それは魔術師の技としては初歩とも呼べる魔術だ。
だが、私のそれは少々異なっている。
チリングタッチは腕自体に魔力の氷気を纏わせ、相手に触れることによって体温を下げ、凍傷を引き起こす。
だが、私の使ったチリングタッチは触れた範囲だけではなく、その周辺をも凍らせる。
点ではなく、面での攻撃だ。
チリングブレイクと名づけたこの技は代償が高く、確実に相手の動きを止められるが魔術の範囲を広げている分威力を拡散させないために、例え手加減をした小規模範囲攻撃であっても尋常ではない魔力を放射させられる。
代償は、しばらくの間魔術を使えなくなること。
「くぅ・・・動けん・・・!?」
すでに胸鎧を中心に彼の上腕とその間接。両足の太もも部分は完全に氷ついている。
「動けなくしただけです。凍傷にはなるかもしれませんが、私よりマシでしょう」
腕を軽くふり、状態を確かめる。大丈夫だ。まだ使える。
「く・・・・こ、殺せ!!」
喚く彼に私は痛みを堪えながら顔をしかめた。
・・・・気づいていないのか?
「何を言っているんだか・・・貴方の部下を悲しませる気はないですよ」
「貴様こそ何を言っている!!」
「よく見てください。貴方の部下はまだ生きていますよ」
「!?」
騎士は実直で一本気な人間が多いと聞くが、実際に目の当たりにすると笑えないな。
フェイレートの一撃は確かに直撃すれば即死していただろう。だが、光刃はその目の前にある地面を抉った。
その衝撃波だけではなく、抉られた地面の石つぶてを食らってはいるが、その程度で倒れるような鍛え方はこの男を見る限り、彼らもしていないだろう。
何も言えない騎士――――グランジェスから目を離し、私は建物を見る。
「追いかけなければいけませんね・・・・」
とはいえ、腕に受けた傷はそれなりに深く、魔術も使えないため正直動くのはつらい。
使えたとしても、私の持つ魔術には回復魔法はないのだが。
私は止血のためにラージヒールポーションを軽く呑み、腕に振りかけテーピングを行う。
体内外に止血効果のある薬品だ。これでなんとか血は止まるだろう。
とは言え、このまま突っ込むのはある意味自殺行為かもしれない。が、
「行かないわけには、いかないのですよね・・・」
私は彼らの住処・・・古い砦を利用した住処に足を踏み入れる。
真名の探索者 3『激突』
私は本当に必要ないのだな・・・
砦に足を踏み入れた瞬間に目の前の惨状を見てまず思ったことがこれだ。
そこにいたのは多くの騎士、剣士たちだ。
ほぼ全員にザッディ帝国の紋章を胸や盾に刻まれている。
おそらく、全員が正規の訓練を受けた歴戦の猛者たちなのだろう。
しかし・・・
「1人も討ちもらさずに倒すとは・・・・」
視認できる限り、意識を保っているものはいない。
外の騎士たちの状況を見るに何人か生け捕りにするつもりなのだろうとは思っていたが、まさか徹底して不殺を貫くつもりなのか?
一対多では、よほどの運がない限り対峙することは難しい。むしろそのまま数の暴力で押しつぶされる。
例外あるとしたなら長い得物を振り回すなどして敵を近づけない事。それでも一度止められたなら、それまでのはずだが。
驚くことに彼の一撃一撃は騎士たちにとっては必殺の攻撃となっていたようだ。
その証拠に彼らの胸鎧につけられた刃痕は一つだけ。
「・・・・しかも例外なく、生存か」
剣士としての腕とか、すでにそういったものを超越しているように思う。
私の仕事柄。出来るだけ対象の過去に興味を持たないようにはしているが、彼を知れば知るほど好奇心を刺激されてしまう。
「行こう。まだ戦っているはずだ」
そして私は走り出す。もしかしたらここで彼の二つ名を決めることが出来るかもしれない。
「・・・・何者だ、と聞いておこうか」
「言うか愚か者め、と言っておこうか」
私がそこ――――広間に辿り着いた時、そこにはすでに二人の男しか立っていなかった。
一人はフェイレート。
そしてもう一人。その顔に歴戦の武勇を語るに足る傷跡をいくつも残した初老、とも言うべき男性が立っていた。
だが、その身に纏う闘志は先ほど戦った騎士とは比較にもならない。
全身を完全鎧(フルプレートアーマー)と戦外套で包んだその体に見合う、長大なハルバード。腰にショートソードを帯び、まさに戦に出る武人そのものだ。
・・・しかもただの完全鎧ではないな。
そう。何度も完全鎧を見たことがあるが、あの鎧の輝きはただのフルプレートアーマーではない。
・・・GDX、という銘をつけられた金属・・・
世に数ある鎧の中で、時に特殊な金属、魔獣の堅い皮などを使った鎧があることは聞いた事がある。
だがそれらを身につけるにはある資格がいる。
高位(ハイレベル)であること。
見かけで判断するならば、正騎士。だが、あの装備を纏う資格ということは・・・重騎士クラスということか。
正直言えば、恐ろしく分の悪い構図に見える。
軽装備のフェイレートがあの騎士に一撃を食らえば、おそらく木の葉のように吹き飛ぶことは容易に想像がつく。
しかし
「いい年をしたご老体が何ゆえこそ泥のような真似を働くかは知らぬが・・・哀れだな」
「なに?」
老人の静かな威圧は私の想像以上に強烈だった。一瞬気が遠くなりそうになったが、フェイレートは全く意に介した様子はない。
「そうだろう。何故貴様らのような誇りある祖国の紋章を胸に宿す騎士や兵士が村一つを攻め落とそうとする?」
「・・・・言葉は、ない!!」
それが始まりだ。
騎士は兜の面頬を落とし、ハルバートを振りかざし、突撃を開始する。
対人戦で、複数であっても、単体であっても恐れられる攻撃の一つとして重装備戦士の突撃が挙げられる。
彼らはその速度で、重みで、威圧で相手を圧倒し、命を刈り取るひとつの刃となる。
しかも、その刃があれほどの重騎士であれば、ただ一人の突撃であろうともその威圧は並大抵の物ではないはず。
「ウォォォォォォ!!!!」
例えば私があの突撃を食らうことになるとすれば、おそらく私は竦みあがり、そのまま刈り取られているだろう。
だが彼は違った。
『真の剣』を肩に乗せていたフェイレートの口元に浮かぶのは・・・笑みだと・・・・!?
「ご老体」
ゆっくりと
「貴様は正しい」
剣を
「小細工なしの一撃」
構えない!?
「だが、貴様は正しいが、間違っている」
言葉と同時にフェイレートはなんと騎士に向かって走り出す。
危険すぎる・・・!!
だが、私の考えと裏腹に激突の瞬間は訪れた。
しかし、私は、次の瞬間我が目を疑う事になった。
重騎士の身体が宙に舞った・・・いや。
投げられたのだ。
フェイレートの、重騎士に比べれば小さくさえ感じた彼は、なんと騎士を投げ飛ばしたのだ。
ズン、という音と共に、騎士は一瞬で地面に叩きつけられる。
・・・何が・・・
「何が起こった・・・・?」
いや・・・違う。私は見ていたはずだ。
彼があの騎士を投げ飛ばす瞬間を。
その結果にあまりの衝撃を受けたために、私はその光景を忘却してしまっただけだ。
そう、彼はあの瞬間。
「地に伏せ、立ち上がっただけ」
自分の言葉に驚愕する。
分かる。そして理解はできる。
彼は己を石として騎士の体を。ハルバートを避け、真下に潜り込み重騎士を持ち上げただけなのだ。
だが、言葉にすれば容易なその行動が、実際にどれだけ無謀で困難なことかを、私は理解できる。
おそらく100kg近く・・・いや、100kgを越すはずの騎士とその鎧を持ち上げる。しかも互いにぶつかりあった、あの速度の世界で。
そんな思考が頭にめぐるうちに、彼はまた剣を肩に乗せ、話す。
「今、貴様の正しい点を指摘すれば、ただ一点。『突撃』という戦法だ」
私はその言葉に頷く。
「貴様の装備を見れば、それこそが正しい正攻法だからな。だが、間違えを指摘するならば・・・」
間違え。その言葉を聞いた私は、普段から抑えている顔色をわずかに変える。
騎士は、あれだけ激しく地に叩きつけられたにも関わらず、ゆっくりとその身を起こそうとしている。
「何故腰への重心が軽い?」
重心? 何をいっているのだ、彼は。
あれだけの突進を目の前にして、重心も何も関係ないのでは・・・
そう思った瞬間に、フェイレートはゆるやかな足取りで騎士に近づき、頭に向かって剣を振るう!!
ギィン!!!!
卑怯、と、そう思った瞬間だった。
何の音だ?
「やはり、な!!」
フェイレートはそう言うと、素早くバックステップ。
そして私が見た騎士の背には、一筋の光・・・剣だ。
その剣は先ほど騎士の腰にあったショートソード。
私は悟る。
騎士の本来の得物はあの巨大なハルバートではなく、小さいとも思わせるショートソードこそがそれだったのだ。
騎士は背中を見せたまま、油断なく、静かに立ち上がる。
「・・・まさか、わしをここまで追い込むとはな。」
騎士は兜を脱ぎ去り、白髪の生えた顔をフェイレートに向ける。
「改めて聞こう。名は?」
「フェイレートだ」
「・・・わしの名は・・・アーレフだ」
アーレフ?
私はその名に聞き覚えがあった。そう、その名は確か・・・
「ほう?」
フェイレートは片眉を上げ、かすかに見開く。、
「かの『吼将』と会えるとは。さすがに腕が達者なわけだな」
『吼将』アーレフ・・・伯爵か・・・!?
ザッディ帝国にその人在り。
極東にあるこの国ではその名を知る人は少ないが、西に近づけば近づくほど、その名は強く、近隣の国に鳴り響くほどの有名人だ。
以前西のとある国へ旅をしていた時に何度かその名を聞いた事がある。
曰く、「ザッディ帝国の龍頭」
曰く、「無双の雷神」
ザッディ帝国は四人の将がそれぞれ「龍の一部」の名を持ち頭、右翼、左翼、尾。その中心に皇帝が座すると言われる。
そして、今目の前にいる老将こそが・・・
「『竜頭の吼将軍』アーレフ=クワイエル」
呟く言葉は、力を持ち私を打つ。それこそが彼の真名の二つ名であるからか。
「重心か・・・多くの練兵を行った私が、まさかそんな初歩のミスを行うとはな」
老将は静かにため息を吐く。それは確かに歳相応のものだった。
「重槍兵は、戦場で槍を前に突き出し馬上の敵を突き殺す。そのため腰に重心を持ち、突撃の際もそれは変わらず、速度で言えば遅いとさえ思えるものだ・・・だが」
フェイレートの言葉を老将が繋ぐ。
「剣士の重心は変化する。どのような攻撃でも、自在に受け流し反撃を行うために」
突撃に特化した重槍兵の動きを剣士が真似しようとしても、染み付いた動きは変えることができない?
私の思考がまさに回答だったようだ。
二人の剣士はお互いを見たまま動き出さない。
真名の探索者 4『決着』
一人は長剣を肩に置いた軽装の剣士。
一人は短いとも言える剣を持った重装の老騎士。
その間には、重さを感じさせる空間が張り詰めている。
だが、その空気は一瞬で揺らいだ。
まず動いたのはフェイレートだった。
彼は右手に握る『真の剣』を大上段に振り上げ、叫ぶ。
「ああああぁぁぁぁぁ!!!!」
光刃か!?
確かにその攻撃はあの老将に有効かもしれない。
しかし、地に大穴をあけるあの技を、幾分広い広間とはいえ、外に比べれば遥かに狭い室内で使えば、この砦の一部が倒壊する恐れがある。
危険を感じた私は、急いで身を翻し後方に下がる。
間もなく爆音が響いた。
そして倒壊の音。
予想通り、彼の光刃はこの砦の一部を破壊してしまったようだ。
だが、再び二人の姿を見たとき、私は驚愕する。
崩れ落ちる天井から落ちる瓦礫を縫い、彼らはすでに互いの武器を振るい、激突していた。
老将の短剣が、フェイレートの長剣を押している。
もともとの体重差、しかも重装であることも併せて見ればそれは当然なのかもしれない。
先ほどからフェイレートが押していたため気づかなかったが、同じ剣士である彼にとってこの重装の老将はまさに天敵とも言える存在なのだ。
老将はさらに動きを見せた。
ぶつかり合った刃を離し、右へ攻撃しなおしてくる。
右、左、フェイント、右、右、左、フェイント、左、突き、突き。
自在に振られ、自在に翻弄し攻撃を繰り返す老将の動きはまさに剣士のそれだ。
だがフェイレートもそれに負けず、攻撃をきっちり受け流している。
数度の衝突から、剣同士がぶつかりあい、刃から火花が咲く。
さらに数回の激突を繰り返し老将とフェイレートが鍔をせりあい押し合う形になった。
そこで状況に変化が現れた。
老将は短剣から左腕を離し、それを握り拳の形にしてフェイレートの腹に突きこんだ!!
この攻撃を予想だにしていなかったフェイレートはまるで無防備だった。
「っぐ!?」
息を吐き出させられフェイレートの剣から一瞬力が抜ける。
老将はそれを見逃さない。
まるで年齢を感じさせない動きで次は左足を振り上げ腹に叩き込もうと動く。
フェイレートはそれを避けようとするが・・・遅い。バックステップでは完全に避けきれず、鉄靴のつま先が腹に突き刺さる。
まずい。
経験から言って、ここまで体勢を崩されれば立ち直るのに僅かに時間が掛かるはずだ。
私は腰にある杖を取り出そうとする。
が。
老将は追撃を行わず、ゆっくりと後方へ下がる。
動きに気づかれたか?
いや、そんなはずはない。気配を消すことに関しては、私は絶対の自信を持っている。
ならば、何故?
その答えはすぐに訪れた。
「・・・っふ」
体勢を崩していたはずのフェイレートから・・・これは・・・笑い声?
「ふ・・・ふははははははははは」
その時、私はある感情を抱いた。
フェイレートの顔を見た瞬間だった。
ぞくり、とした。
過去、何度も何度も冒険者たちと共に旅を行い、戦い、名を探していた私が。
恐怖、いや畏怖している?
足が、体が、震えている。
まるで理解できない畏れに、私は驚く。
だが、彼と老将の戦いは続いている。
「『吼将軍』」
「・・・・・・」
その声に、老将は何も答えない。
今のフェイレートの放つ威圧を量りかねているのだろうか。
「貴様は・・・強いな?」
その言葉への返答はなかった。
先ほど老将が下がったのは、突然のフェイレートの変貌に気づいたからなのだろう。
だが、今ある状況は変わっていない。フェイレートの危機に変わりはないはずだ。
老将はフェイレートを倒すため、前へ出る。出ようとした。
だが出られない。動けない。
フェイレートが動いたからだ。
フェイレートはまず、右足を前へ出した。左足を前へ出したところで、彼は老将の攻撃範囲に入った。
老将は短剣を突き出す。
まるで見当はずれの場所へ
「な!?」
何故、という言葉は出なかった。いや、出せなかった。
フェイレートは確かに老将の前にいるはず・・・いや、いるのか?
私の目には確かにフェイレートが写っている。写っているはずなのだが・・・認識出来ない。
認識が・・・出来ていないだと!?
気配がないというレベルではない。認識が出来ない。
私の目には確かに彼が映っているはずなのに、脳がそれを否定している。
『あそこには誰もいない』
脳がそう叫んでいる。
「ある国に、とある歩法が存在する」
声が、フェイレートの声が聞こえる。
だが私は彼を『見ているのに見つけられない』。
「相手の呼吸を把握し、相手の身体状況や心理状況。それらを知ることによって相手と自分を一体としたときに使える奥義」
馬鹿な、何を言っているんだ、彼は。
「相手と同じ呼吸、同じ心拍。同じ意識をすることによって、相手と己の境界を消す」
老将にも、私にも彼が何を言っているのか全く分からない。
「簡単に言えば・・・相手が己、己が相手と同じ状態」
なんとなくだが、解かる気がする。極度の緊張状態で誰かと作業を行う場合、時が経つにつれ、相手が何をしているのか、どういう心理状態なのか解かる時がある。
だが何故だ。何故その状態でこのような『意識という認識から外れる』事が出来る?
「私が行ったのは。相手の意識から外れ、己を外側へと動かすこと」
・・・相手と同じレベルの意識状態から、その動きを、意識からずらす?
「解かり合っていた者同士が、片方『ずれる』ことによって、何も解からなくなった経験はないか?」
お互いを知り抜いているはずの恋人同士が、突然心変わりをしたときに、その考えが読めなくなるようなものか・・・?
「それを極端とした奥義が・・・これだ」
次の瞬間、私の視界に『在るはず』だった彼が突然老将の背後に『在らわれた』。
その気配を老将も捉えた。
瞬間的に短剣を後ろ手で背後に突きこもうとした、が遅い。
その時すでにフェイレートの長剣の柄が、老将の首筋をしたたかに撃ち抜いていた。
「この歩法に名前はない。だが強力だ」
その声が老将に聞こえたかどうかは定かではない・・・が。
どうやらこれで、勝敗は決着したようだった。
真名の探索者 5『真実』
「・・・貴様は一体どこにこれだけの量のロープを持っているんだ?」
「戦いを生業としている者は、こういった物は常に備えている物です。砦を探索して見つけました」
私達は、五十以上の騎士や兵士たちの身柄を1時間ほどを費やして拘束していった。
改めてフェイレートの腕に驚嘆する。騎士たちは主に厚い胸鎧の強打で失神させられている。
おそらく負傷があったとしても、肋骨が折れているくらいで済んでいるだろう。
見事な無力化だ。普通であれば、腕一本でも奪わなければ人間は動く。しかし、フェイレートは一撃で気絶させることによって、それさえも必要としない。
そしてもうひとつ。
彼の腕もそうだが、見た限り刃こぼれ一つない『真の剣』と彼が呼んでいる長剣も尋常のものではない。
「さて・・・・」
彼の視線が、すでに目を覚ましている騎士たちに向けられる。
その先頭にいるのは先ほどの老将だ。
彼は目を閉じ、どっしりと座り込んでいる。だが、先ほどの戦闘のためか、疲れが顔に出ている。
「アーレフ」
「なんだ剣士」
その声には、張りがある。どうやら意気消沈をしているわけではないようだ。
「貴様に聞きたいことがある」
「・・・・・」
無言を肯定と受け取ったフェイレートは言葉を続ける。
「何故、貴様たちほどの者が、村一つに執着する?」
「答えられん」
「質問を変えよう」
フェイレートは腕を組み、騎士たちを見ていった。
「貴様たちは何故ここにいる」
当然の質問だ。
確かに彼らの祖国は消えた。彼らも内乱に巻き込まれ、様々な運命を辿ってきたのだろう。
だが、それでも。帝国滅亡からすでに数年という月日が経っている。
彼らほどの腕があれば、どんな国でも仕官できるはずだ。
この大陸は、戦の火種ならばそこらへんにある。
しかし彼らは胸の紋章を外していない。ザッディ帝国の臣下のままだ。
「掲げるべき者がいるということか?」
一瞬。アーレフの顔色が変わった。フェイレートが気づいたかどうか分からないが、私は気づいた。
彼は顔色を変えまいと静かに歯を閉じている。
「どうやらその通りのようですね」
フェイレートは私を見て、それきり黙った。どうやら彼は私に駆け引きを押し付けたようだ。
内心苦笑しつつ、私は彼らに向き合う。
「貴方達の主は誰ですか?」
「私だ」
「嘘を言わないでください」
老将は怪訝な顔を「作る」。
・・・慣れていないな。
「貴方は、言うなれば長だ。しかしそれはあくまで守る者を率いる騎士としての長」
「それがどうした。長が部下を守るのは当然の事だろう」
そうだ。確かにそれは当然だ。だが貴方は気づいているだろうか?
「ならば何故ザッディ帝国の紋章を、いまだその胸に掲げているのですか?」
「む・・・」
フェイレートが聞きたかったのはこれだろう。
『長』ではなく、『主』がザッディ帝国の者でなければ、彼らは紋章をつける意味がない。
紋章とは、本人たちの誇りであると同時に忠誠する者に必要な、言わば楔だ。
・・・そして、私は今ひとつの回答を導き出している。
将であるアーレフが、主として掲げる者。それは当然・・・
「あの村に、いるのですね。皇帝が」
老将と、その後ろにいる部下たちの空気が変化した。
それは哀。何かを耐えるように、誰かを案じるような、空気。
「その通りです」
背後から、女性の声が飛んできた。
「なるほど。つまりあの村は帝国を吸収したイージス王国支配下の村だったというわけか」
「その通りです」
話をしてくれたのは魔道士風の姿をした女性だった。
私たちは広間の奥に在る部屋に導かれ、彼女の話を聞いていた。
聞くに、彼女はザッディ帝国の皇帝、ハーヴェイ=ザッディの娘だということだ。
時が時であれば、皇女であったわけだ。
「もともとあの村はザッディ帝国の支配を受けており、優秀な暗殺者を代々輩出した村です」
驚くべきことだが、アーレフもあの村の出身らしい。
彼の場合、剣士としての才が強く、暗殺者ではなく、剣士としての道を選んだらしいが。
この村は元帝国の首都から遠く離れた辺境にある。そういった土地は、様々な国から攻撃を受ける。
普通そうした村は滅びることが常だが、時折、極稀にこうした強い村が出来上がるのかもしれない。
彼らの拠点であるこの砦も、元はそうした国からの防衛線として作られていたらしい。
「あの村は帝国から豊富な投資を受けていました。ですが、戦乱ではなく内から、しかも僅かな時間で崩壊してしまい荒れ果てた村は・・いいえ、帝国自体が、イージス王国の吸収を受け入れるしかなかった」
国が崩壊すれば、そこに残るのは街や村だけとなる。そうした場所がもし何かに襲われれば、普通助けとなるのは国だ。だがザッディ帝国はその国がなくなってしまった。
つまり助けてくれる者はいない。
しかもある日突然国がなくなってしまったとき、そこにあるのは混乱と暴力だ。
国だけではない。こうした村と村、町と街というものには、どうしても繋がりとなる、糸となる国や政府、人材が必要なのだ。
私が聞いた話では、ザッディ帝国の内乱は、権力者たちの裏工作が始まりであると言われていた。
第一皇子ヴォルベイ=ザッディと第二皇子ヴェオルト=ザッディ。この二人の派閥が引き金となった内乱であると。
それは、滅びた大国にはよくある話ではあったため、鵜呑みにしないまでも、少なからずそんなものだろうと私は信じていた。
だが、彼女の話から帝国の崩壊には、イージス王国が裏から手引きしていた事実がわかった。
「お兄様たちは、決して不仲ではなく、むしろお互いを引き立て伸ばしあうほどに、とても仲がよろしかったのです」
彼女は耐えるように、俯き下唇を噛む。
「帝国崩壊の真相は、下級貴族たちをそそのかして侵入したイージス王国の暗殺者軍が・・・ほぼ全貴族と街の実力者を殺害したことから起こってしまいました。」
さらに話は続く。
帝国には古来より大会議と言われる制度が存在した。そこでは帝国のほぼ全ての貴族たちや街の実力者たちをが集められ、四年に一度国の方針を決める会議が行われたという。
帝国の名を持つ国にしては珍しく、多くの人々から様々な情報を取り入れていたのだ。
暗殺者たちはその大会議の場へ貴族の付き人や給仕などになって潜入したらしい。
一見簡単な方法に聞こえるが、それほど重要な場へ潜入するには恐ろしく時間と手間がかかる。だが逆に時間と手間をかければ出来ないことではない。
「武に優れた者は毒を使われ、知を誇る者は闇にまぎれて・・・次々と貴族や無関係の者たちが殺されました。お兄様や母上も・・・姉や妹、弟たちも・・・」
彼女の拳が強く、握られているのが分かる。
大会議の異変に気づいたのは尾将『覇尾の炎将軍』ヴァネッサ=エヴァンだった。
彼女は急いでそれを皇帝に知らせたが、時遅く、僅かな時間で大勢の命は失われていた。
そして何よりも暗殺者たちは皇帝の座す玉座のすぐ近くまで迫っていた。
その結果・・・
皇帝やアーレフ、偶然にも近くにいた皇女は共に逃げおおせたものの。二人の皇子を始め、皇族たちは暗殺され、右将軍、左将軍の行方は分からず、ヴァネッサ自身は多くの暗殺者を討ち取るが、最後には壮絶な討ち死にをしたという。
国をつなげる糸となっていたはずの貴族。そして実力者は消え、事実上帝国は崩壊。
皇帝たちは命からがら追手の追撃を逃れ、この辺境まで来たという。
「この村も、他の村や街と同じく、王国の支配を受け入れました。ですが、彼らは帝国の恩を忘れないでいてくれました」
しかし皇帝は脱出の際に追手の凶刃で深い傷を負い、村で静養していた。
だが。
「どこから話を聞きつけたのか・・・王国の精鋭部隊があの村の近くに陣を張っているのです」
名目上は国境の警備らしいが、それにしては村から少し外れた位置で陣を張っている。
「私達を討ちにきた可能性が高く・・・そのため今は使われていないこの砦に騎士たちを率いて逃げ込みました」
だが皇帝は動けなかった。それほど皇帝の傷は深かったのだ。
「しかし、それでは何故彼を・・・フェイレートを雇い、貴方達を盗賊として村長は討伐させようとしたのですか?」
「・・・それは・・・」
彼女が言いよどんだ時だ。
「それは私から説明しよう」
背後から、声が飛んできた。
全く・・・今日はよく後ろから話しかけられる。
しかも今回の声の主は・・・
「村長か」
フェイレートは呟く。
「いかにも」
す・・・っと、ドアが開いていないにも関わらず、彼は闇から現れた。
「暗殺者の技だな」
さすが暗殺者の村。村長さえも只者ではないというわけか。
「奴らは村に入ることを希望していた。確かに村は王国の支配を受け入れているが、我らが忠誠は皇帝ただお一人に捧げている」
「どうやって入村を拒否しているのですか?」
「村が盗賊に襲われ、中が混乱状態であると言っている。奴らは討伐を申し出てきたが、我が村の問題として強硬態度を示した」
「危険では?」
「奴らはハーヴェイ皇帝の事を知っていたようだが、名目は国境警備。補給の一つとしてこの村を選んだことになってはいた、が、そのためだけに大隊を動かすことで皇帝や皇女が脱出する事を恐れているようだ」
補給線となる村は他にも無数にある。王国の騎士や兵士たちが大挙して村に入るのは確かにおかしな事だ。
王国の支配を受け入れたとはいえ、たかが数年。どこから摩擦が出来て火種になるか・・・
それを彼らは恐れたのだろう。
かといって、何もしなければ怪しまれるのも事実。
ならばどうするか?
その答えが冒険者を雇うことだ。
「今までは未熟な冒険者たちを雇い入れ、金の力でごまかしてきたが・・・それもそろそろ限界にきたようだ・・・」
皇女がその言葉を引き継ぐ。
「王国側から、催促の書状が届き、これ以上長引くようであればこちらからも対処をする、と」
だが、ここでもし熟練の冒険者を連れてきたとしても、そうした冒険者は意思が強かったり、または狡猾であり、説得には時間がかかる。村長たちは焦った。
そんな折、『真名の試練』を受けているフェイレートの噂を聞きつけ、凄腕と噂される彼が盗賊を討伐したから対処は必要なしとするつもりだったらしい。
僅かな時間稼ぎにしかならないが、その間に皇帝を動かし、砦から離れようとしたという。
「当初の予定では、話の分かる人物であれば説得して金だけ受け取って引いてもらおうと思いました」
分からなければどうなっていたのやら・・・それを聞くほど、私は考えが浅い方ではない。
「ですが・・・結果は見ての通りです」
フェイレートは村長から話を切り出す前に、たった一人(私は数えられていない)で将軍率いる精鋭部隊を壊滅させてしまったわけだ。しかも正面突破で。
「では、何故我々に今の話を?」
皇女は自分でも不思議だというように困った顔になる。
「さぁ・・・何故でしょうね・・・私にも、分かりません」
「村長は?」
「隙あらば貴様等を消すつもりであったが、どうやら彼は私がどうこうできる力量ではないようだ」
・・・アーレフ将軍や部隊をを一人で倒したフェイレートを、村長は過小評価しない。
そして注目は。
無愛想な顔をしたフェイレートに集まった。
続く
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