†World of Azure†

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帝都で起こった、とある事件



とある、新聞社。
巷を騒がせている事件の記事を書いていた青年は掛けていた眼鏡を外し、机の上に置いてから大きく伸びをした。

連続少女殺傷事件。三週間前、両手首を切り落とされた状態の少女の遺体が見つかった事から始まり、これまでで七人の被害者が出ている。
犯人が狙うのは年の頃、十七~二十歳の少女たち。遺体の一部が欠けていて、行方は分かっていない。
捜査の遅さに帝都警察には非難が集まっていて、未だ解決出来ていない現在、少女たちには夕刻から夜間にかけての外出禁止令が発令されている。
薄汚れた天井を見上げながら青年は事件の内容を頭の中で整理し、溜息を吐いてから再び原稿へと視線を落とした。
「まっ・また事件だぁっ」
そこに同僚の少年が血相を変えて駆け込んできて、青年は顔を上げる。
「今度はどんな状態だったんです?」
眼鏡を掛けながら問うと、少年は少し慌てながら、
「今度は今までで一番すごいよっ!顔の皮が剥がされてるんだっ」
と、青年に視線を向けた。
「…今度は顔ですか」
顔をしかめてから立ち上がると、少年は大きく頷いて青年を促す。


少年の後について遺体発見現場へと向かうと、そこにはもうすでに人だかりが出来ていた。二人は人混みをかき分けて中心部へ行く。
「ひでぇな…あれじゃあ誰だか分からないだろ」
「可哀想にねぇ」
野次馬たちからはそんな声が漏れている。
道に無造作に投げ捨てられたその遺体は顔の皮が綺麗に剥ぎ取られていた。
「…何か、妙、ですね…この遺体」
「どういうコト?」
少女の遺体に視線を遣りながら青年が呟くと、少年は首を傾げる。
「あぁ、そうか。血が…流れてないんですよ。ほら、顔の所の地面にも全然」
遺体を指差し、それから地面を指差すと、少年は大きく口を開けた。
「それに…傷口が乾ききっています…。コレはどういうコトなんでしょうか…」
考え込んだ青年が呟くと、そこに漸く警察がやってくる。
「ほら、どけどけ!見世物じゃないんだ」
野次馬を散らした警察は遺体に布を掛け、その周りに柵を作る。帝都警察の到着に集まっていた人々は一人、また一人と帰っていく。
「俺、先に戻って書きかけの原稿完成させておきます」
それを横目に少年は言って、返事を待たずに駆け出し、その背中を見送ってから青年は歩き出した。


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