君の中で僕は…

君の中で僕は…

始まり~9月11日~


まずは簡単な私とカレの紹介を綴ろうと思います。


私の名前は、永久と書いて「とわ」
ありきたりな名前ですがその方がバレにくいでしょう?
カレとの絆が永久に続くようにって願いもこめてます。
歳は16ですが、スナックで働いています。
もちろん年齢は姉の保険証を借りて誤魔化しています。
15のとき、義務教育途中の冬にも、
スナックで働きましたが、それは母親の意思でした。
今は、母親がうるさいのと、自分のためですね。


カレのことは…そうですね、「シン」と呼びましょう。
シンは私より7つ年上の22歳なんです。
出会いは某オンラインゲームで、
最初はゲーム上での些細な出会いでした。
…まぁ、それは第一の物語を読めばわかるかと思います。
そして先日、私はシンにカミングアウトされました。
シンは性同一障害で、
頭、精神、性格は男だけれど、
身体は私と同じ女の身体なんだそうです。


さぁ、第二の物語の幕があがります。



+++++++++++++++++++++++++++++++


シンのカミングアウト



その日は、私は仕事先の方々と出かけていました。


けれど、心はここにあらずの状態で、
その日の前日、シンは友達に呼び出されたといってでかけていったものの、
夜中の3時にメールと電話がきたのが気になり、携帯を忘れたことがすごい辛かったですね。


すぐにでもシンの声が聞きたい。
ねぇ、今あなたはなにを考えているの?
ずっと、ココにいないカレに問いかけていました。


そして、その答えは帰ってきてから明らかになりました。
帰ってきて、シンにメールを返して、
いつものように話していると、ネカフェにいて、メッセを立ち上げていることを知り、
電話して声を聞きたかったものの、いつものノリで話しかけたんです。
メッセでは私から話しかけるの少ないんですけどね。


相変わらず、シンは元気がなかったんですが、
明るく振舞おうとしてるのは気づいていたので、
それに気づかないフリをして、いつものようにからかわれていました。
少しでもシンが笑うなら、ほんのちょっとでもシンの気がまぎれるなら、と。


しばらく、シンは誰かと話しているようだったので、
私は日記を書いたりして時間をつぶしていました。
と、いきなりカレがちょっかいをだしてきたので、
びっくりしながら笑って相手をしていると、
そわそわと落ち着きなく、なにか言い難そうにしているんですよね。


まるで、隠し事を自分から言って、叱られるのを怖がる子供のように。


少しずつ、話し始めたシンに、
その間の沈黙が耐えられなくて、
音楽をつけて気を紛らわそうとしていた私
そんな中、シンが招待して会話にいれたのは、共通の知り合いであるYなんですよね。


メッセだから、声とかわからないのに、
真剣に私を見極める射抜くような視線を、
Yはずっと私に向けながら、言葉を紡ぎました。


永久は、シンのことが好きですか?
他の誰よりも、シンのことが好きですか?


第三者に改めて訊かれて、恥ずかしさもあって、
ほんの少し誤魔化したものの、Yに伝わるように、一つひとつ言葉を紡ぎました。


シンのこと、好きだよ。
シン以外の人なんて興味ないぐらい好きだよ。


そして、Yは、また言葉を紡ぎました。
代弁者として、シンの友人として、




これからいうことは事実だから、

これを聞いてどう思うかわからないが、

ちゃんと受け止めて欲しい。





私は、その言葉に、見えないのに笑みを浮かべて答えました。


おっけ、元々逃げるつもりはないよ♪


Yはその返事に満足そうでした。
いい度胸だな、といい、
シンの代弁者として、カミングアウトがはじまりました。


長い長い前フリを聞いて、
私は正直、なにを言われるんだろう、と。
なにかすごい重い話を言われるんじゃないか、と。
ビクビクしながらYの言葉を聞いていました。


そして、伝えられた性同一性障害という単語
一秒が1分、10分に感じられるほど、
めまぐるしく思考の中がスパークを起こし、
色々なコトが浮かび、消え、それの繰り返しでした。


え?何の冗談?
             冗談でこんなこと言う人じゃない
        誰が?                        そっか。
                 シンが。
    納得                  これは夢?
          この胸騒ぎは夢じゃない。




落ち着こうと、深く深呼吸をして、
私はまた、画面をまっすぐと見つめて、
少し震える手で打ち間違えないように言葉を紡ぎました。


だから、何?


ポーカーフェイスを崩さないように、
毅然とした態度で、笑って、
拒絶しないで受け止めることを伝えました。


確かに、驚きはしました。
そういう人がいることも知っていたけれど、
今はもう絶縁した友達にも似たような子がいたけれど…


だけど、それぐらいでは私は離れたりしないんですよね。
シンからたくさんの感情をもらって、
たくさんの言葉を、温かい想いをもらって、
それはシンが他の人からもらった優しさかもしれないけれど、
私はカレ以外からだったら、きっと受け入れられなかったです。


欲しい言葉を紡げるのは、シンだけだから。
カレの言葉だから、私は欲しいんです。


例え、シンの身体が女であろうと、
SEX目的でシンと付き合いたいわけじゃない。
傍にいたいから、好きだから。
シンは自分で自分をオトコだといいました。
身体はどうあれ、自分自身は男だと。


だったら、私は胸を張ってほしいんです。
確かに、受け入れられない人もいる。
嫌悪や軽蔑の目で見る人もいる。
シンは、きっとそういう目で、
自分を、私を見て欲しくなかったんだと思います。
だけど、胸を張って欲しいです。


私が気になるのは周りの人の目じゃなくて、
世間体や母親じゃなく、シンなんだと。
周りは反対する人もいるかもしれない。
だけど、私はシンがいいんだと。


私もシンに負けず意地っ張りだから、
そういうことは言わなかったんですけどね。


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私のカミングアウト


シンのカミングアウトを聞いて、
平常を保って会話をしていると、
Yは安堵が見え隠れする呆れ顔で、仲良くしろよ、といって寝てしまいました。


そして、前の日になにがあったのか、
すごい戸惑ったのを聞いて、
いまだに信じられなさそうなカレに、
もう一度言葉を投げかけて、私は過去のことを話そうと思ったんです。



脈絡もなにもないけど、ふと、聞いて欲しくて。


DV持ちの最低な父親のこと、
自己中ですぐ他人のせいにする最悪な姉と、
ヒステリックで異常なほど私に執着を見せる母親
教師とも思えない教師がいたこと、
一時保護所という施設にいたこと、
全部話して、受け入れてもらえましたけどね。



言葉を紡ぐ度に、怖かったんですよね。
シンの反応を見るたびに、何度も逃げたくなったんです。
だけど、それはシンも同じだったと思うんです。
嫌われるのが怖いから逃げ出したい。
けど、受け入れて欲しい、わかってほしい。
言葉に詰まって何度か考え直すときもありながら、
それでもなんとか伝えたいことは大体言えて、
前に進めた気はするんですよね、勘違いじゃなければ。



きっと、未だ過去にはフィルターがかかってるんだと思います。
第三者として自分の過去を話してるような…。
でも、いつか、ちゃんと向き合えるようになりたい。




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そして、開幕



シンは、私の過去を聞いて、
それでも、今は俺がいるし、聞いてくれる友達がいるだろって。
そんな浅い仲じゃないし、嫌いになったりしない、って言ってくれたんです。


だけど、私はまだ少し困惑していて、
ノラネコに中途半端な優しさはいらない、って。
もっとやわらかい言葉だったんだけど、
そう、言ったんです。それが自分の本質だから。


他人を信用しないで、
エサがほしいときだけ甘える利己的な、
ずるがしこい気まぐれなノラネコ


そしたら、シンは拾おうか?wって言ってくれたんですよ。
聞いた途端、また嫌いな自分が囁いたんですよ。


こんなのを拾ったらシンは大変よ。
自分がどれだけ厄介者かわかってるでしょ?


その囁きがシンに聞こえるわけないのに、
私は冗談が上手だね、って流したんです。
だけど、シンは言ってくれたんですよね。
こんな私でも、一緒にいたら落ち着くし安心する。
最初は、恋愛感情とか考えてなかったけど、
少しずつ気になって、一緒にいたいって思うようになって、
それでも、自分の身体のことが歯止めになっていて、
なのに、会うと考えとは違って暴走しちゃって、
今まで見たいに、好きだと思う、とか、
そういうのじゃなくて、はっきり好きだよって言ってもらえて、
嬉しいのと恥ずかしいのが勝って、
ちょっとずれた返事とかしちゃったりしたけれど、
ちゃんと返事して、それからはもういつもどおり。


実感は未だにないですね。
いつも通りメールをして、
多分またいつも通り電話して、
お互いの気が向いたら会う約束したりして、その繰り返しだと思う。


これから先、何度も傷つけることもある。
何度も不安になったりすることもある。
劇的な大恋愛にするつもりはさらさらないし。


自然でいられるなら、
お互いが素でいられるなら、
それ以上の幸せなんてないと思うから。

これからもよろしくね、シン




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