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2006.01.17
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カテゴリ:

著者: 樹研工業社長 松浦元男
発行: 講談社
値段: 1500円+税
ISBN4-06-212888-8


昨日の本の続編です。
昨日の本は会社を中心に書かれた本であるが、この本は社員を中心に書かれた本である。実は一気に2冊読んだので、2冊の本の感想が混じってしまっている。

この樹研工業の理念の一つは、人間を大切にしていることである。
何人でも採用できる余裕はないから毎年定員はあるが、履歴書も職務経歴書も見ないで応募してきた順番に採用している。学歴や経歴なんて関係ありません。学校でどんな成績でも関係ありません。



出勤簿なんて必要ありません。会社を休んでいても、頭の中は仕事のことでいっぱいです。会社にいようと家にいようと何をしていていても、会社のために働いているのです。

社長は、若い人を尊敬しています。演歌や4ビートの世代よりは、8ビート、16ビートの音楽を聴いてきた世代の方が音感は優れている。生まれたときからテレビゲームやパソコンに囲まれてきた方が、コンピューターに関する感覚は優れている。あらゆる意味でモノのない時代を生きた人よりも、ある若い人の方が勝っている。だから、若い人に任せよう。ただ、モノがありふれているので、判断に迷っているだけです。

社内で競争してはいけません。お互いに助け合って働くのです。
他人の人生の幸せにどれだけ役立ったか?これこそとが、その人の人生の価値であります。

そのため、社員の評価は差をつけていません。社長が社員の努力や成果をきちんと評価できません。だから昇給は全員一律にアップするということになります。ほぼ年功序列です。給与も年齢とともに上がっていきます。病気で休んでいる間もしかたないことなので、給与は出します。留学などで休職しているときも、ボーナスは出します。

社員が安心して働ける環境を用意するのが社長の役目、そのためどんなことがあっても安心して働けるような環境を整えます。また社員に世界一を目指してもらうために、工作機械などの先行投資は惜しみません。もちろん努力した人には、点々が2つ足りないですがノーヘル賞を与えます。そして家族で温泉旅行ができるような副賞も用意します。

「企業は参加者が全員幸せになるための手段であります。企業は企業そのものが豊かになるために経済活動をしているのではないのです。参加している社員が幸せになるために、全員で経済活動を行っているのです。(中略)企業経営の一方的な都合で、働く人をまるで機械か道具のように切り捨てる。社員がどんなに苦しもうが、高い配当の有無が企業評価のすべてというのは、現代企業社会の歪みの極みであると考えます。」

アジアの会社と提携するときも、アジアの会社へ資本投資は50%を超えません。影響力を強くしないためです。アジアの研修生も、日本人と同じ給与を支払い、アジアの会社から研修費を取りません。一緒にやっていこうとするためのゆるい連邦制国家のような、会社連携をとっています。




この本ではたくさんの社員の紹介をしています。その中で印象深かったのは、大学中退した韓国人が入社したときの話です。入社当時、社長や工場長の話は素直に聞くのですが、現場の人の話は無視していました。社員からは非常に反発が強かったのですが、ある日を境に現場の人を尊敬して話を聞くようになったことです。たまたまNHKで櫛を作る職人をテーマでした。その職人は代々続く老舗を継いでいます。櫛は数十万円もして、その櫛を名人技でつくります。櫛に誇りがあり、買うほうも頭を下げて受け取ります。

韓国では職人は地位が低く、文官が地位が高いという歴史がありました。誰も職人になりたがりません。妻にフィリピンではどうかと尋ねたら職人の地位は低いようです。日本は鎌倉室町江戸時代から続く職人の文化があり、日本人はその職人を尊敬しています。韓国では職人は卑しいとされていたので、現場の人を見下していたのです。それがテレビを見て、尊敬されるべき存在だと気づいたのです。



これは、ドイツのマイスターやスイスの時計職人らも一緒です。
日本やヨーロッパは職人が尊敬される文化があると思います。


このようなことはまず大規模な会社では難しい。そして親会社丸抱えの下請会社では難しい。技術中心で何か光ったものがないと難しく思います。

また昔のように1代目の技術が、そのまま2代目が引き継げるような時代はよかったのです。しかし会社の寿命が個人の寿命よりも短くなった現在、先代の技術は用を成しません。それどころか、10年前の技術も意味をなさない。ソフトウェアの世界では1年前の技術すら古くなります。

だから古い考え方を踏襲する職人を大切にするのではなくて、柔軟に環境に合わせて生き残っていけるように職場環境を整えるということが大事かもしれません。時代に対応できない人を育てるのではなくて、新しいやり方に対応し、若い人の教えを請うことができるような人々と仕事をするということなのかもしれません。






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Last updated  2006.01.17 22:19:44 コメントを書く


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