そらまめじろう

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まちぞぉを引き取った訳2


まちぞぉは私と彼の大切なパートナーになった。

早速、愛護センター横の河原を
まちぞぉとゆっくり歩いた。
とっても嬉しそうにチョコチョコ歩く姿は今でも覚えている。

その日から私と彼は毎日のデートには
必ずまちぞぉが一緒に居た。
いつも彼の車であっちこっちへ連れて行った。
駒沢公園、横浜、軽井沢へのスキー旅行、日帰りのスキー…
まちぞぉはとっても人が大好きな愛想の良い仔犬だった。

クリスマス後のある日、彼がまちぞぉを連れて来ない日があった。
「どうしたの?まちぞぉは?」と私が聞くと
「少し具合が悪そうだったから…」と口を濁しながら彼が言う。
「どんな風に?」と聞く私。
まちぞぉは好き嫌いの激しい仔犬だった。
だから栄養の偏りが原因ンなのではないかと不安だったから…
「今、妹が面倒を見てくれているから大丈夫」と彼は答えた。
何をどう言っても、彼の家には行こうとしない。
心配だったのでその日は早く別れ、
電話で様子を報告してもらうことにした。
「元気だよ。心配は無い。明日は連れていける。」と言う
彼の報告に安心をしきっていた…

後日、どうしてまちぞぉを連れて来なかったのか
真相が明かされた。
それは、私がクリスマスプレゼントで彼にあげた
ヴィ○ンのお財布が原因だった…
彼が近くへ出掛ける際に、その財布を棚の上に置いて出掛けた。
お留守番をしていたまちぞぉは寂しくって
その財布をガジガジ噛んで傷だらけにしてしまったのである。
帰って来てから、その財布を見た彼は激怒し
まちぞぉをヒモに繋ぎ、動けないように窓の金具に固定して
ベルトで何度も叩いたのだ…
そしてそのまま私と会いに出掛けた。
彼の妹さんから後日聞いた話では
妹さんが帰って来たら、
暗い部屋の中で「ヒ~ンヒ~ン」と鳴いていた。
部屋の電気を点けると、まちぞぉは身動きがとれなくなっていた。
妹さんがヒモを外してよく見てみると
まちぞぉは鼻からは血を流し、
時間が経つと顔がどんどん腫れあがっていき
身体はブルブルと奮えていたらしい…

今この瞬間に日記を書いていても、腹が立つ。
まちぞぉのその姿を想像すると涙が出てくる。
私があの時「犬を飼おう」なんて彼に提案をしなければ
愛護センターであの小さな仔犬を選ばなければ…
色々と後悔の念が頭をよぎる

最初、彼のまちぞぉに対する暴力は私の前では皆無だった。
私の前で彼がまちぞぉに暴力を行ったのは
まちぞぉが2歳の頃だった。
その頃のまちぞぉは少し気性が荒くなっていた。
車に乗ってしばらく時間が経つと、いつも私の足元でゴロンと
横になって寝ていた。
私が横になっているまちぞぉに触れようとした瞬間
まちぞぉが私に唸った。
それを聞いた彼は急に車を止めて、
すごい怖い顔をして運転席のドアを開けると
私の足元ですくんでいるまちぞぉを引きずり出した…
「?」私の前で彼はまちぞぉのお腹を蹴った。
びっくりして飛び出した私に彼は
「躾だよ!」と平然と言う。
「暴力はやめて。お腹を蹴るなんて死んじゃうよ。
躾ならお尻を叩けば良いでしょ」と口論になった。

その日を境にどんどん体罰はエスカレートしていった。
反抗的になっていくまちぞぉ…
真冬の寒い日、公園で散歩中にまちぞぉがした
ささいな事がきっかけで、彼が激怒をしてまたお腹を蹴った。
それでも怒りがおさまらないらしく、
水道のところまでまちぞぉを引きずっていき
蛇口をひねり水をかけた。
彼からまちぞぉを引ったくり、抱き抱えたまま泣きながら私は逃げた。
本当に怖かった瞬間だった。

私の前だけでもこれだけの暴力を振るう彼の事である
私の知らないところではどんな事をされていたのか…
彼は私に対しては優しい人だった。
ただ、私にぶつかった人がいたりすると
その相手に対しての激怒はひどかった
あと大切にしていたのは車。車も同様である。
そして自分の家ではお父さんと妹さんに
暴力を振るっていたらしい…

彼はある日行方不明になった。
どうやら宗教にはまったらしかった。
彼が居なくなって1ヶ月ほどしたときに
彼のお父さんから電話があった。
「まちぞぉの世話が出来ない。近づいても唸って威嚇をする
ばっかりで、私には面倒が見られないんです。
お散歩にすら連れていけないし…
あなた(私のこと)が良ければ、引き取ってもらえないだろうか?
息子がいない今がチャンスなんです」
この言葉を聞いて、友人に車を出してもらい彼が帰って来ない
事を祈りながらまちぞぉを家に連れて帰った。
その頃、妹はすでに一人暮しを始めていて
両親は千葉へ引っ越していったので、アパートで一人暮しをしていた。
『まちぞぉを引き取った訳1』に書いたアパートである。
当然、犬は飼育禁止。でもそんな事は言っていられなかった。

こうして私と彼は別れ、私はまちぞぉと暮らす事になった。



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