わたがしふわふわ

わたがしふわふわ

帝王切開


内股で膝を曲げ、爪先立ち歩きをします。とりあえず、杖等は使わずに歩けるのですが妊娠中、特に後期の時はお腹が重くなり歩くのも困難になってきていたので杖を使って歩いていました。
私の障害は逆子であった事と、ひどい難産によるものらしいです。
現在は逆子がわかると帝王切開で出産させることが多いようですが、当時は(というより、私の産まれた病院では)普通分娩で大丈夫だと思ったのでしょう。結果、こうなってしまったことは残念ですが、でも今は幸せですよ。
そんな私も恋愛をして、結婚して、そして赤ちゃんが出来て・・・
妊娠が判ったとき、産婦人科の先生と相談をして帝王切開で産む事を決めました。
障害によって足が開かないという理由と、たとえ普通分娩が可能だとしても、分娩時になにが起きるか判らない・・・
それが原因で障害のある子になってしまったら・・・という不安が拭いきれなかったからです。
当初、38週目で出産しようと予定を組んでいたのですが最後の健診の日、子宮口が開き気味であることが判明。
即、入院をする事になり、その2日後に出産と決まりました。私のちょっとした動きでも産気づくかもしれないから当日までは安静です。

そして当日・・・朝から諸々の処置を受け、午後1時15分、家族に見送られながら手術室へ。
腰椎麻酔で下半身だけ麻酔が効いている状態での開腹です。
まず、背中を海老のように丸め腰椎部に麻酔薬を注入。たまごクラブ等で得た情報ではかなり痛い、とあったので覚悟していたのですが以外と痛くありませんでした。むしろ腕に射した点滴の方が痛かったです。
麻酔薬が注入されるとすぐ、爪先の方からじわ~~っと暖かくなってきて、あっというまに何も感じなくなりました。
先生に「麻酔が効いてるかどうかチェックします。これは?」と聞かれ何かやっているらしいのですが、つままれてるくらいにしか感じなかったので「つままれてるような・・・」と答えると「効いてきたようですね」との答えが戻って来ました。
「では始めます」・・・「メス」
下半身麻酔のため、意識ははっきりしていたのでこの時なんだか”あっ、テレビドラマとかでやってるのとおなじだあ”
と思っていました。今思うとけっこう余裕がありました。
そうこうしているウチに「おぎゃ~~っ」というかんだかい産声が手術室中に響きわたりました。”うまれた・・・”
ホッとする間もなく私は先生に「ちゃんと手足、ついてますか?あざとか出来てないですか?どこかに欠陥はないですか?・・・」と立て続けに質問しました。先生は「大丈夫、元気の良い男の子ですよ」と言って下さり、その時初めて
私は大粒の涙を流したのでした。
障害がなくて当たり前なのに、でも、もしかしたら?と言う不安ばかり持ち続けていたのでこの時は本当に嬉しかったです。そして、ささっと洗われた赤ちゃんを見せてもらい、また涙してしまいました。
感動の出産後、すぐに終わると思っていたのですが、そこからが長い・・・
開腹の時は5分ほどで産まれたので、閉腹もそんなに時間はかからないと思っていたのです。そのへんは無知でした。
子宮やお腹の肉、お腹の皮膚等を一枚ずつ縫っていくのですから、すぐに終わるわけありませんよね。
閉腹手術は約1時間かかりました。
手術も終わり、リカバリー室に移されホッと胸をなで下ろしていたら、だんだんと麻酔が切れ始めてきました。
どんどんお腹が痛くなり当日の晩は本当に痛かったです。
その後、順調に痛みもなくなりましたけどね。
これが私の出産物語です。お腹についた傷は私の宝物です。




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