ぷるぷるぷりん

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アイとオバケとサンタクロースと


丁寧にラップで包まれた料理と、メモ。
「めんどくさいなあ。」
彼はぼそりと呟いた。
彼は、あかの他人も家族もおんなじだと考えている。
寧ろ、共に生活をしなければならない家族の方が気をつかって面倒だと思っている節さえある。

家族とは、何か。 彼は考える。
血の繋がり??
面倒臭い。だから何だと言うのだ。

自分を産み育ててくれたのだから、礼を言うべき存在??
面倒臭い。自分は頼んでもいないし、生まれたかったとも、思ってはいない。
別に世の中の全てを悲観するほど愚かではないけれども、生まれなければ別にそれでも良かったと思っている。

…愛すべき存在??
面倒…臭い、ではない。
そもそも、愛とは何か。
彼にとっては、そこから既に疑問であった。

愛、とは一体何か。
人々は良く口にするけれど、彼はそれを知らない。
見たこともなければ、したこともないしされたこともない。
与えたこともなければ受け取ったこともない。
感じたことだって、ない。
だから、わからない。

彼の家族が、彼を愛していないのか。
その疑問については誰も、否定も肯定も出来ないだろう。

彼は、義務だと思っている。
産んだ。だから育てる。
義務だから。
そう、思っていた。ずっと思っていた。
だから感じない。
だから、わからない。


現時点で、彼はこう結論付ける。
愛も、幽霊もサンタクロースも。ついでに神様とやらもみんな一緒。
知らないし見たこともないのだから、信じるしかない。
目に見えないその不確かな存在を。
信じる人だけが、その心の中にだけ、持つもの。
それが、愛とかいうものなのだろう。
多分。よくわからないけれど。

そして彼は、別に愛を知りたいとも、感じたいとも思っていなかった。
オバケについてグレーゾーンを保つのと一緒。
サンタクロースを現実的に考えるのと一緒。
神頼みなんて言って、全然信じてないのと一緒。


「オバケと愛が一緒って、人としてどうなんだか…って気がしないでも、ないんだけどね。」

彼はそう呟くと、テーブルの上の料理に少しだけ口をつけ、席を立つ。
自室に戻る途中、仏間の襖が開いているのが見えた。
少しだけ考えた後、彼は仏間に入った。

彼は記憶にはないが、小さい頃可愛がってもらったという祖父の仏壇に顔を向ける。
遺影を眺めてみる。口元なんかは、もしかしたらちょっぴり似てるのかもしれない。

そして彼は、小さく手を合わせ、線香はあげずに仏間を出て、襖を閉めた。


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