†Glorious Revolution†

†Glorious Revolution†

4.ルール


「さあ、クロム君。降りて下さい。」
真中に言われて外に出たクロムは?然とした。車が止まったのは、全国でも有名な料理店の前だったのだ。
「何故……こんな高級店に…?」
「それだけ政府が必死という事です。」
そう言うと、白川はクロムの背中を押しながら店内に入った。

店内は、高級ブランド品や骨董品で華やかに飾られていた。天井からは大きなシャンデリアが吊り下げられ、部屋中を品良く照らしている。
「予約をしていた真中だが…」
真中がさも当然のように店員に申し出た。
「個室をご予約された真中様ですね?こちらへどうぞ。」
店員はにっこり微笑むと、店の奥へと進んで行った。
「こちらになります。どうぞごゆっくり。」
個室に入って、またもやクロムは驚いた。その部屋は個室と言えど、クロムのアパート全部屋を足しても及ばない程広かった。
「どうぞ楽にして下さい。」
そう言うと、真中と白川はテーブルの向こう側に座った。クロムは呆然としながらも、ようやくテーブルに付いた。
「時間が無いようなので、本題に入らせていただきます。」
白川は、さっきから大事そうに抱えていた鞄の中から、プリントの束を取り出した。
「実は、クロム君にある大会に出場して欲しいのです。」
「大会?どんな……?空手の大会ですか?」
「まぁ、焦らずに聞いて下さい。今現在、国連があまり意味を果たしていない事はご存知ですね?」
「沢山の国が脱退して行った事はニュースでも見ましたけど……それと俺と何の関係が有るんですか?」
「先日、国連で最後の総会が行われました。」
白川はクロムの言葉を無視して話し続けた。
「国連は意味を無くしました。本来はその総会でも、その事を話し合っていたのですが……途中から話の方向はずれ始めました。」
「ずれ……?」
頷くと、白川はクロムに一枚のプリントを手渡した。そのプリントの見出しには、大きく活字で「第三次世界大戦」という文字が印字されている。
「第三次世界大戦………でも、日本は平和主義だと…っ!」
「もはや綺麗ごとは言えない状況です。」
真中が重い口を開いた。
「不参加を唱えた国には、真っ先に核が落とされます。」
「でも……今まで平和主義で来たんだ!!そんな簡単に日本が世界に勝てるとでも?」
「プリントを……最後まで読んで下さい、クロム君…」
そう言われて、クロムはもう一度プリントに目を戻した。と、クロムの表情が見る見るうちに変わって行った。
「核を作るだけだったら…最初からクロム君に会いに来るはずは無いでしょう?」
白川がゆっくりと言った。
「国はどうしても、クロム君を必要としているのです。なぜなら………」
「核の所有権を決めるため……」
クロムが白川の言葉を引き受けた。プリントにはこう書いてあったのだ。


「第三次世界大戦について」
今回の総会で話し合った結果、国連に残っている国々は第三次世界大戦を行う事を決定した。
最後の総会では、各国の意見が食い違い、そこから代表間での亀裂が出来て行った。亀裂は埋まる事無く、遂に各国は戦争で問題を解決する方針で意見を固めた。
しかし、先進国と発展途上国の格差などの問題で、戦力に圧倒的な差が見え始めた。そこで国連では、核の所有権を決める大会を行う事にした。
<第三次世界大戦ルール>
参加者:各国一名のみ。年齢は15歳に限る。身長・体重に制限は無い。
参加国:現在国連に残っている国のみ。国連を脱退した国は参戦権を認められない。
基本ルール:武器を使わず素手で戦う。試合は一回戦から七回戦まで行い、優勝した国が核の所有権を得る。所有権を得た国がどの国に核を落とすかは、その国の自由である。しかし、標的国を決めるのは、大会に参加した男子のみとする。


「大体…見当が付いたでしょう?何故我々が、クロム君に会いに来たか……」
クロムは言葉を失った。自分の知らない大きな所で、世界は今、とんでもない方向に向かって進んでいた。
真中と白川もそれ以上は喋らず、静かにクロムの様子を見ていた。


広く静かな個室に、グラスに入った氷の溶ける音だけが空しく、静かに響いた…



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