MY RYTHEM

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第一話「霞ヶ原野球部」

彼が野球と出会ったのは6歳の夏。たまたま街中でかかっていたテレビに映っていた高校野球中継が彼を引き込んでいった・・・

 ムワムワするような暑さが俊たちの体を汗ばませる。天からそそがれた光は彼らを輝かせる。俊はとにかく走った。彼はピッチャーでチームの柱、エースである。 前回の大会で俊は監督にスタミナ不足を指摘された。チーム全体のムードを壊す原因にもなった。今までこれほど彼を本気にさせたことはなかった。10年前、野球に出会って遊んでいた時ほどの情熱に満ちている。
「見えない才能を開花させたいんだろ?ならば走れ!死ぬほど走りこめ!」
俊の小学生のときの恩師の言葉だ。俊は壁にぶち当たったときは気が済むまで走る。だからスタミナには自信があった。マラソン大会なんかで負けたことはなかった。しかし今回の試合でスタミナ不足が目立った。俊はやはりショックで毎日気が済んでも走り続けた。彼にはこれを努力とは思っていなかった。自分にはまだまだ努力は足りない・・・これでは夢の甲子園の土を踏むことなど無理だ・・・
 俊は霞ヶ原高校1年生。1年生ながらこのチームのエースとしてチームに信頼されている。俊が入学してからチームの失点が減った。同級生の隆志と黄金バッテリーとして高校球界では有名だった。彼らは小学生のときから同じチームでバッテリーを組んでいた。そのときから二人は有名だった。中学のときは全国選抜にも選ばれた。ある意味なぜ彼がこの高校に入学したのかはみんな疑問だった。
 もともと人数不足で廃部寸前の部だった。部室は狭く、天井の至る所にくもの巣が張り巡らされている。監督はのんびりした監督・・・よくある監督である。とはいっても実績はある人で、過去に甲子園優勝を3度経験している。監督がここまで落ちぶれたのはなんなのか、俊にはなんとなくわかった。部員は13名。幽霊部員が4人もいて、練習にも身が入っていない感じだ。この前の大会もかろうじて出場できた。とても甲子園出場というチームではなかった。しかし、彼らは自分たちで「甲子園に連れて行く」という夢を持って入学した。
 「おい、俊。お前少し体力落ちたのか?昔はそんな様みたことなかったがな。」
隆志はとにかく俊のスタミナについて疑問だらけであった。
「自分でもよくわからん。でもこの前の試合、スタミナ不足で負けたのは事実だから。」
まだ入学して4ヶ月。彼らの高校生活は始まったばかりである。しかし霞ヶ原野球部に二人は欠かすことができないのだ。
(第1章 終 )



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