sweet better~エレメンツ

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鼓動


「怖いの…とてもいろんなことよ。私の世界が
崩壊するのは耐えられないの」
白いベッドシーツにくるまる長い髪の女性。

白い手足に呆けた瞳…だけどそれは多分嘘だ。

僕の目でも彼女の激しい火花の輝きがその瞳孔の
奥に見え隠れする。

彼女はそう呟くと眠ってしまった。そっと毛布を掛け直そうとして…

僕は彼女の胸に顔をあてた。

心臓の鼓動がきこえる。僕は目を閉じた。

彼女のこの鼓動は誰のために存在しているのだろう?

彼女はあの男に恋をしている。

あの男の為におそらくこの心臓すら捧げてしまうのかもしれない。

そんなこと許せない。

ぎゅうっと自分の心臓がねじれた気がした。

まだあきらめない。この鼓動をいつか手に入れてみせる。

時間がかかっても。

まだ勝負はついていない。

「愛している」そんな言葉はいらない

ただあたたかいぬくもりをこの手にしたい…

そう思うのだ。


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