この木、スギノ木。

この木、スギノ木。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット



 1作目、2作目のお子様向け映画だった頃に比べたらぐっとダークな色合いが深まった3作目。そして今回の第4作目は、いよいよ主人公ハリーも14歳!(ダニエルくんは16歳)精神的にぐっと成長が見られる作品になってます。それに何よりとうとう「例のアノ人」が復活をかけて本格的に策動してくるのがこの作品なのです。

 物語序盤はまずCGビジュアルの凄さに驚かされます。クィディッチのワールドカップのお祭り騒ぎなスタジアムの場面も迫力ありますし、その後デス・イーター(死喰い人)達が襲ってくる場面なんかも、明と暗の対比と言うか、平和な魔法界に陰りが見える瞬間なのですが、スピーディーな場面転換で視覚を飽きさせません。

 お話の大きな流れは、ホグワーツでひさびさに開かれる伝説の“三大魔法学校対抗試合”、それから、その裏で見え隠れする「例のアノ人」の復活に向けた暗躍…そして復活!です。

 今回は、この“三大魔法学校対抗試合”に出場すべき資格を持たない、まだ14歳のハリーが、なぜか選ばれてしまったことから始まっていきます。(出場資格は17歳以上)

 厳正なる審査を下し、一度審査が下ったら従うほかないという「炎のゴブレット」に選ばれてしまったことで、まだ魔法使いとして未熟なハリーは、その実力には過酷過ぎる試練に立ち向かわねばならなくなります。

 それでも仲間の知恵を借りながら、第一の試練、第二の試練と順調にこなしていくハリーに、幾度となく同じ悪夢が襲います。悪夢の内容は、決まって同じ丑三つ時、どこかの古い洋館で「例のアノ人」が、僕(しもべ)たちと復活のための密談をしているというもの。さらに、彼の復活にはハリーが必要であり、ハリーを捕らえて来いというのです。

 不安を覚え、遠く見守るシリウス・ブラックに手紙を出し、ダンブルドアに相談するハリー。しかし、皆ことの重大さが解っている故に、彼に良いアドバイスを与えることが出来ません。その上、試練も2つ目が終わった後、何者かによって殺された魔法省の役人クラウチの死体が見つかり、更に不安をかきたてます。

 試練もあと最後の1つ、どこまでともなく続く迷宮の中で、栄光ある優勝カップをみつけてくるというもの。選手の心を惑わす迷宮の中では、1人また1人と脱落していき、残ったのはハリーと、同じホグワーツ出身の上級生セドリックのみ。セドリックが蔦に足を絡め取られ助けを求める中、ハリーはそんな彼を見捨てられず、彼を助け、共に同時に優勝カップを掴むのでした。

 しかし、優勝カップを掴んだその瞬間、2人はどこか別の空間に転送されてしまいます。薄暗い湿った空気漂うその場所は、ハリーにとっては見覚えのある不吉な場所。そう、それは幾度となく夢に出てきた、「例のアノ人」、すなわち闇の魔法使いヴォルデモード卿の眠る墓の前だったのです。何者かにより優勝カップには、触ったものがこの場所に転送されるよう魔法がかけられていたのでした。
 パニックになる2人に、姿を現すヴォルデモードの首と僕。ヴォルデモードは無情にも、魔法界では禁じられた3つの魔法の内1つ、かけられたものに絶対的な死をもたらす「死に絶えよ!」の呪文をセドリックに放ち、彼はあえなく息絶えます。宿敵ハリーの血を得ることによって、とうとう完全な復活を遂げたヴォルデモード卿。各地に潜む僕を呼び寄せます…が、その中の1人にはあのルシウス=マルフォイも!

 絶対的ピンチのハリーをヴォルデモードは一対一の決闘という名のもと、なぶり殺しにしようとするのですが、偶然にも同時に魔法を掛け合ったハリーとヴォルデモードの杖が繋がるという奇妙な出来事が起こり、死者であるハリーの父母、殺された魔法省の役人クラウチ、そしてセドリックが現れ、ハリーを助けます。

 彼らの助けのお陰で、間一髪優勝カップの転送機能で元の場所に戻れたハリーに一瞬沸く魔法学校の先生&生徒達ですが、セドリックの亡骸にすがり、泣き叫ぶハリーに気づき、コトの重大さに蒼然とするのでした。

 その後、傷心のハリーを優しく労わり、自室に連れて行くマッド・アイ・ムーディ教授ですが、実は彼こそが炎のゴブレットに操りの魔法をかけてハリーを選ばせ、助けるふりをして試練を乗り越えさせ、優勝に導き、優勝カップにかけた魔法で、かのヴォルデモード卿の所まで導いた張本人だったのでした。
 その真の正体は、魔法省の役人だったクラウチの息子、クラウチJr!数年前、ヴォルデモードの僕(しもべ)の告発によりアズカバンに投獄された彼でしたが、脱獄し、今ではお尋ね者の身になっていたのです。今回、巧みにムーディ教授を監禁し、自分がムーディ教授に変身してヴォルデモード復活の策謀に加担していたというわけです。

 殺されたセドリックを追悼し、悲しみにくれるホグワーツ。そして、ヴォルデモードの復活という大事を知り、それぞれが様々な思いを抱く中、大会も終わり、他校の生徒達も帰って行きます。

 さて、復活したヴォルデモードが本格的に何をしかけてくるのか!第5弾へ続く!!

 アノ人が復活するまでを描いた今回の作品は全体的に暗く、シリアスな場面も多いですが、最初のクィディッチ大会の場面や舞踏会の場面など明るく鮮やかな部分もあります。

 ストーリーのはざまには、ハリーとロンの男同士の友情にカゲリが見える出来事があったり、他の魔法学校の生徒との交流の中で、主要キャラクターそれぞれの異性に対する恋模様が描かれたりと、小エピソードの中に、各キャラの精神的な動きが細かく盛り込まれていて、そちらの方も結構楽しめます。(ハーマイオニーが、クィディッチのスター選手・クラムにダンスを申し込まれたことに仰天しつつ、気持ちのもやもやをどうすることも出来ないロンの恋心に注目!)


 さて、私が個人的に好きなシーンをいつくかあげてみます。

 ★一番最初、デス・イーター(死喰い火)達が襲ってくるところ。
 クィディッチ祭りでお祭り騒ぎなキャンプ村を、死神のマスクのデス・イーターの皆さんがドカンドカン燃やしまくり、逃げ惑う人々、というのがなかなか迫力ありました。空に現れたデス・マークはアノ人の復活の兆しということで、お気楽な魔法界の皆さんもちょっとビビッたというシーン。

 ★大会1つめの試練、竜の守る金の卵を取ってこい!というシーン
 かなり凶暴な竜(いちおう鎖で繋がれている)が守っている金の卵を取りに行ってこいとのこと。ハリーも魔法の杖でホウキを呼び、自分の得意な空中からの卵奪取を試みますが、この竜、ハグリット(ハリー達の相談役・ひげもじゃのおじさん)に言わせると意外とそんなに凶暴じゃないとのことだけれど、どこが???というくらい大暴れで、ハリーをふっ飛ばすは容赦なしに火を吹くは、しまいには鎖が切れてがんがんハリーを空から追い回し、橋に突進して破壊するはスゴイんです。先生方も「おー!」とか言ってないで鎖が切れた時点でなんとかしないのかね…しかし驚くなかれこの常識のズレ具合が魔法界の常識なのです。でもこのシーンは、ハリーが飛ぶのを追っかける感じのアングルが多かったので、非常にスピード感があってドキドキさせられました。ハリーはぼろぼろになったけど、私的にはなかなか楽しめたシーン。

 ★セドリックが死ぬシーン
 これは、お子様映画がそうでなくなった決定的場面。例のアノ人がどれほど冷徹で邪悪で容赦ない危険人物なのかということが示されたシーンです。まさかいきなり殺すとは…さすがの私も衝撃を覚えました。

 さあ、ハリーポッターを馬鹿にしていたあなたも劇場に足を運んでみましょう!!今回は意外と楽しめます。

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