カイバーマンのお仕事2

カイバーマンのお仕事2

2007年11月06日
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カテゴリ: チャドウリ
「石田君、誕生日おめでとう!」
嬉しい言葉である。
羨ましい言葉である。
でも何故か冷や汗をかく当人と級友一同。若干名除く。
「あ、ありがとう井上さん」
「はい、これプレゼント!」
そう言って織姫がかばんから取り出したのは、御馴染み「ひまわりソーイング」の紙袋で、何処となくほっとした空気が流れた。
……これで中身が手作りだった日には、目も当てられないが。
「石田君、今度はパッチワークやるって言ってたから、端切れを買ってきたの」

友人の祝い事のたびに、そのハイセンスで周囲をパニックに陥れてきた彼女にしては、信じられないほど尋常な贈り物だ。
明日は雪が降るかもしれない。

「啓吾、肩たたき券って……」
「うっせー、金がなかったんだよ!それに眼鏡かけてる奴って、肩が凝るっていうじゃん!」
別に凝ってないけど。
まあ水色と一護に突っ込まれている程度で十分に思えるので、石田はありがたく頂くことにした。
水色が寄越したのは某レストランの招待券。当然出所を聞かれたが軽くかわす。
チャドは、
「チャド、一月間違ってる」
「え?」
「瑠璃は十二月の誕生石」

物が指輪だけに一瞬寒々しい空気が流れたが、
「関係ない」
「え?」
簡潔すぎる弁明に、水色が目を丸くする。
「魔除けだ」

その一言こそ余計だ。
全て計算済みで言っているからたちが悪い。
「綺麗だね。ありがとう」
「「青い石」とか、「天の欠片」とか言うらしい」
「ああ、わかる気がするよ」
濃い青の中に、ほのかに金色が輝いている。

「そういえば黒崎、お祝いかわりに夕飯に呼んでくれるって話だけど」
「ああ、たまにゃ人の作った飯を食うのもいいだろ。言っとくけど、うちの遊子の飯は結構旨いぜ」
「期待してるよ」

確かに、黒崎遊子は頑張った。
黒崎夏梨も地味に頑張った。
頑張ったのだが、石田親子がぎすぎすと会話を交わし、それを黒崎父が全力で混ぜっ返したその晩の献立がなんだったか、兄は正直全く覚えていない。





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最終更新日  2007年11月06日 19時26分57秒
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