蘇芳色(SUOUIRO)~耽美な時間~

「万作 萬斎 新春狂言 2007」




1月10日、「万作 萬斎新春狂言」を見に行ってきました。半年振りの萬斎さんです~。
この新春狂言は、4年前の2004年申年から通っているので、もう私の中では恒例行事になりました。
萬斎さんのお姿を見ないと年が明けた気がしない!?(笑)
というのも新春狂言では、謡初めとして「雪山」を番組の最初にしているんですよね。
この「雪山」はおめでたい謡で、野村家では毎年元旦に、この「雪山」で謡初めをするそうです。

2004年の「雪山」は萬斎さんの独吟で、2005年は萬斎さんの他5名の地謡つき。
どちらも萬斎さんのきりりとした声にしびれ、至福の時を過ごしました。2006年の「雪山」は万作さんで、その感想を去年の日記から探して読んでみたら・・・。笑ってしまいました。何ていう感想を書いているんだ、私って。(苦笑)



番組は以下の通りです。


トーク          野村萬斎
狂言「樋の酒」 太郎冠者:野村万作  主:深田博治  次郎冠者:野村万之介(休演)
        後見:月崎晴夫 (万之介さん休演のため、配役が変わっていましたが、失念)
素囃子「男舞」

狂言「釣狐」  白蔵主・狐:野村萬斎  猟師:石田幸雄  後見:野村万作、高野和憲  

さて今年の「雪山」は、またまた趣向を変えていました。
というのは、1つの番組として「雪山」があるのではなく、「樋の酒(ひのさけ)」という番組の中で、謡われることになっていたんです。
個人的な好みからいうと、「雪山」は萬斎さんが謡っているのを、威儀を正して聴いているほうがすきなんだけど。(笑)

まず最初は萬斎さんが登場して、いつものようにレクチャー・トーク。
いいですねぇ、相変わらず。深い落ち着きのある声もクールな表情も。この人は、いつ見ても変わらない佇まいでそこに居る・・・という感じです。ステキです、萬斎さん。
で、レクチャー・トークの内容は・・・わ、忘れてしまいました。ボ~ッと見ていたからかも。(笑)確か「釣狐」に関するお話が多くて、形態模写の話題になり、「明日、コロッケさんと対談するんですよね」とおっしゃっていました。(笑)雑誌でしょうか?TVなんでしょうか?


「樋の酒」
外出することになった主は、米蔵を太郎冠者に、酒蔵を次郎冠者に、それぞれ番をさせることにした。主が外出した後、2人はそれぞれの場所で番を始めるが、とうとう次郎冠者は酒蔵の酒を盗み飲み始めてしまう。米蔵にいる太郎冠者はうらやましくてたまらない。そこで次郎冠者に頼み、蔵にある樋を使って酒を飲ましてもらう。少しずつ酒を飲んでいるうちにガマンできなくなった太郎冠者は、米蔵を後にして、次郎冠者のいる酒蔵にやってきて、2人で飲めや謡え、そして舞えの大騒ぎ。この場面で、先ほどお話した「雪山」が出てきます。
最後は帰宅した主に見つかって、大目玉・・・というお話です。狂言らしい、お決まりのパターン。

「男舞」
15分の休憩の後、素囃子「男舞」がありました。大鼓、小鼓、笛の音を聴くと、体の中の血がざわつくようになりました。落ち着いた興奮とでもいうのでしょうか。頭はクールでいるのに、体にはパワーがみなぎってくるという感覚をおぼえます。日本人のDNAがなせる業でしょうか?


「釣狐」
今日の目玉番組(笑)です。今年の新春狂言は、2日に分かれていて、番組も違うものだったのですが、「釣狐」が見たいために、この日を選びました。
狂言は能や歌舞伎に比べ、時間が短いものが多いのですが、この「釣狐」は70分もの大曲です。登場人物も、白蔵主(実は狐)と猟師の2名のみ。しかもほとんどが白蔵主の独り舞台です。
狐が人間に化けて、狐をこれ以上殺さないようにと猟師を説得するお話ですが、人間の萬斎さんが人間に化ける狐をどう演じるのか、とても楽しみでした。
まず登場の仕方が、普段の場合と違います。いつもは揚幕を後見があげたままで、演者が出てくるのですが、狐が化けた白蔵主(萬斎さん)が出てくる時は、揚幕は一瞬の内に上げられ、萬斎さんがでてくると、即座に下げられました。もしかしてこれは、ドロンと狐が化けて出てきたという設定なのかしら?
狐が化けた白蔵主の動作が、どこか人間離れしていて動物の動きを感じさせます。その動きが見事でした。能や狂言は、西洋の演劇に比べ、詳細な説明ではなく、余分なものをそぎ落としてシンプルに表現することが多いのですが、そのシンプルさは物事の本質を表現しているので、演者の動きがよりリアルに感じられます。
仲間を猟師に殺された白蔵主の悲しさと、自分も殺されるかもしれないという恐怖、そして獣としての動きなど、萬斎さんの表現は見事で、70分がまったく長く感じないほど集中してみることが出来ました。

「三番叟」とともに、「釣狐」は私の大好きな番組の一つになりました。
これからも萬斎さんで新春を寿ぐことにいたします~♪




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