April 2 [Sat.], 2022 at 15:00(Door Open at 14:00) Tokyo Bunka Kaikan Main Hall Cast Conductor:Marek Janowski Lohengrin(Tenor):Vincent Wolfsteiner Elsa von Brabant(Soprano):Johanni Van Oostrum* Friedrich von Telramund(Bass-Baritone):Egils Silins
König Heinrich der Vogler(Bass):Tareq Nazmi Der Heerrufer des Königs(Baritone) :Liviu Holender Vier brabantische Edle:Takashi Otsuki, Eijiro Takanashi, Kazuma Goto, Ken-ichi Kanou Vier Edelknaben:Sonoko Saito, Rena Fujii, Akiko Gohke, Sakiko Kobayashi Orchestra:NHK Symphony Orchestra, Tokyo Chorus:Tokyo Opera Singers Chorus Master:Eberhard Friedrich, Akihiro Nishiguchi Musical Preparation:Thomas Lausmann *The artist has been changed from the initial announcement. Program Wagner:”Lohengrin”
Vincent Wolfsteinerはミュンヘン出身で、56~57歳。オペラ歌手としてはスロウスターター。歌い始めたのは35歳の時だ。トリスタンやジークフリートなどのヘルデンテノールを過去に米国やヨーロッパで歌っている。もちろんローエングリンも過去にすでに歌っている。 彼の声はヨハン・ボータさんに似ている感じがあった。ヨハン・ボータを硬質にしたような声でまさに理想のヘルデンテノール。ボータほどの高音の伸びや柔らかさはないものの、しっかり高音も決め所は胸声で決めていた。最初はローゲやミーメもできそうな声だと思って聞いていたがしっかり主役のヘルデンテノールだった。 今回第3幕のいわゆる「名乗りの歌」In fernem Land, unnahbar euren Schrittenから、通常慣例でカットされる部分をカットなしで歌った。ありがたいと共に、ずっと一人語りなので、最後までがんばってくれと祈るような思いで聴いていた。最後の ZumSchützersei er euch ernannt! に至るまできちんと聴かせた。もう感謝しかありません!
一方のエルザ役、Johanni Van Oostrumは、オランダ系の南アフリカ出身で、ヤナーチェク、ワーグナー、リヒャルト・シュトラウスなどのヒロインのレパートリーが過去にあり、エルザは2月にボリショイ劇場で歌ったばかり。エルザは過去にバイエルン歌劇場でジャンプインしたこともあったそうだ。レパートリーは魔弾の射手のアガーテ、モーツァルトのフィガロの結婚のコンテッサ、アリアドネ、イェヌーファ、他。 彼女はノーブルなライト系のワグネリアン・ソプラノでリリコ系なので驚くほどのパワーなどはないのだが、高音もきちんと美しく歌い、エルザだったら全然ありだと思わせた。マエストロがかなり彼女をフォローしていたと感じられた。歌う時は両手を大きく広げる定番な歌唱スタイル的な部分が多かった。自然に演技の流れが歌う時もできれば今後良いと思う。もちろん歌っていないときは表情での演技をしていた。薄幸そうな北欧系の美しさと薄いブラウンの長い髪、スレンダーでとてもエルザに合う風貌だった。
アンナ・マリア・キウリ Anna Maria Chiuri はイタリア人のドラマチック・メゾ・ソプラノ。昨年新国立劇場「ドン・カルロ」でパワフルなエボリを演じた。その時は大失敗したようだが今回は楽譜と首っ引きでがんばった。急遽の代役でWagnerということで大変だったと思うが、バイオグラフィーによると、オルトルートは過去にすでに歌っているようで初役ではない。いわゆるメゾの濃密な中音域の声が色気もあり充実していて、熟れた果実のようで、私は好きなオルトルートだった。高音域の圧倒的なパワーがはるかにエルザを凌駕していて、第2幕のエルザとの対決は実に見応えがあった。しっかりぶ厚いメゾの声なのでソプラノとも声がかぶらないのもよかった。やはりコンサート形式とは言えオペラなので人物像をいかに印象付けるかが大事だがキウリとシリンズは人物像がくっきり浮かび上がってくる存在感があった。