行ってらっしゃい

いってらっしゃい

その日がやってきた
空港には約束の時間より
とても早く着いた。

あなたを待つ時間に
私は何を考えていただろう…
「行ってらっしゃい」の言葉を
ちゃんと笑顔で言えるだろうか
一緒に行けたら
どんなにいいだろうか
そんなことばかり
考えていたような気がする。

あなたを乗せたバスが着いて
あなたが照れくさそうにやってきた。
愛しい…
駆け寄っていきたい
そんな衝動にかられながらも
あなたが私の居る場所に
来るのを待った。

お茶を飲んで
ご飯を食べて
たわいのない会話をして
あっという間に時が過ぎ
チェックインの時間になってしまった。

どうしてこの人と一緒に居るときは
こんなに時間が過ぎるのが早いんだろう…
出国ゲートに入る前に
あなたは振り返り
私に手を差し伸べた
「必ず帰ってくるから待ってて…」
初めて触れた掌は
厚くて暖かだった。

「行ってらっしゃい」

ちゃんと笑顔で言えただろうか
絶対泣かないと
決めていた。
とりあえず
自分の車に乗るまでは。

駐車場について
車に乗り込み
それでも私は発進できなくて
ボーッとしていた

♪星に願いを♪

「ありがとう
死んでもいいと思うほど
嬉しかったよ
でもちゃんと戻ってくるから
待ってて…」

涙があふれた
我慢しなくていいよ…
自分に言い聞かせた
なぜ、こんなに好きになったのだろう
まだお互いのことをよく知らないのに
なぜなんだろう

「ごめんねー。熱い抱擁とか
すればよかった?わはは」
冗談っぽくメールを送ったけど
ほんとうはそうすればよかったと
今でも思っているよ…


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