夢の後先

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ユウ編


バイトでもパートでも何でもよいので仕事をしようかと思っていたけれど、妊娠したことで結局そのままになってしまった。(別にそれが悪いということではなく、周りに友人が一人もいない状況が寂しかったし、学生ではない状況で仕事もしてみたかった)

夫が以前住んでいた場所にある産婦人科でお世話になることにし、行ってみると先生がとても無愛想。産婦人科になじみのない私にはちょっと不安になるほどだった。
しかし、検診の回数を重ねると、先生とも打ち解けて話すことができ、個人病院なのも手伝ってアットホームな雰囲気の心地よい病院になっていった。

妊娠期間中は市で開催している母親教室に参加したり、とある小学校に本物の妊婦さんと話をする性教育の時間に参加したり、それなりに妊娠生活を楽しみました。
ユウの発育も順調でとても、楽しい、穏やかなマタニティライフだったと思います。

一月末、今年一番の寒さといわれる日にユウは誕生しました。
夜の一時過ぎ、お腹がいたいかな、と目が覚めました。
リビングで時計と睨めっこしながら、痛みの感覚と時間をメモして、一時間ほどたった頃でしょうか。そろそろ出産するだろうと2日ほど前にやってきていた母を起こしました。
少しずつ痛みを増していく陣痛にのほほんと「へぇ~、これが陣痛か。大して痛くないかも~」なんて思ったりしていました。

実は、母が難産、微弱陣痛だったので、きっと私は微弱陣痛に違いがないと思い込んでいました。
そして、陣痛は死ぬほどつらいと想像していたので、まだまだよね~なんて思っていたのです。

夜中の三時半ごろ、そろそろ病院に電話してもいいかもということで電話してみると「あなたは初産だし、声も元気(平気?)そうだし、まだまだ生まれないからまだ来なくていいわ」と言われました。
う~~ん、そんなものかなぁ、もうちょっと家で我慢しようと我慢すること二時間。
どんどん痛みは増していく。もういい加減いいだろう、しかし、私が電話したらきっとまた断られると思い、母に電話をかけてもらうことに。
「娘がかなり痛そうで……(云々)」すると、じゃあ、いらっしゃいということに。
タクシーを呼んで入院の荷物を持っていざ病院に。

タクシーの運転手さんに住所と産院の名前を告げるも、「新人で道をよく知らないので、教えていただけますか」といわれ、痛みをこらえながら道の説明をする。
タクシーを降りるときにぱらぱらと粉雪が落ちていた。
雪の好きな私はなんとなく幸せな気分になりながら産院に入っていった。

産院に着いたのは6時15分ごろ。
先生の診察を受けると子宮口は6~7センチほど開いていて、もちろんそのまま入院。
お昼ごろには生まれるかなぁという先生の予想を裏切り、私のお産は進むばかり7時半ごろに分娩室に入り、8時19分ユウはこの世に生を受けました。

初産にして、7時間の大安産。
もしも、診察時間まで待っていたら自宅出産になるところでしたね。
ちょっと危うかったかも? 自分の勘って大事です。

ちなみに3054グラムの元気な男の子です。

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