たこたこのまったりライフ

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火車



休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者
関根彰子の行方を捜すことになった。
自らの意思で徹底的に足取りを消して失踪した彰子。
真相を探るうちに彰子の過去と彼女になり代わった女性、
新城喬子の姿が明らかになる。

これが「火車(かしゃ)」のあらすじだ。
2時間ドラマにもなったことがあり、その時は2人の女性に焦点が当てられていたが、
原作では彼女達が一人称として描かれることはなく、
行方を追う本間の視点で事件の核心へと迫っていく。

自己破産した彰子が弁護士に語った「幸せになりたかっただけ」の一言。
そのために重ねた借財で一時的に幸せな気持ちになれたかもしれない。
だが彼女の作った砂の家はもろく崩れ去ってしまった。

宮部みゆきが弁護士に語らせている「消費者信用」業界のしくみは
3年間消費者金融で働いていた私にとって、いろいろと考えさせられるものだった。
たまたま地元の店舗に空きがあったので就職することができたのだが
貸せるだけ貸し、督促の電話をかけまくる毎日。
日々弁護士からの自己破産通知を目にして、それが当たり前のことだった。
CMでは「ご利用は計画的に」などと言っているが、
窓口に来る顧客にきちんとカウンセリングができていたとは思えない。
今ではいい経験ができたと思っているが、当時は自分の仕事に自信がなくなり
何度も就職したことを後悔していた。

消費者信用などなかった昔に戻れと言っているわけではない。
これだけ大きくなった産業をなくすことはできない。
だがもっと消費者信用について教育をし、知識を広げさせる必要があると
弁護士の言葉を通じて、宮部みゆきが訴えているようでならない。

私はこの「火車」が宮部みゆきの作品の中で1番好きだ。
不幸を背負った女性二人の境遇や主人公である本間の周りの人々など、
読むたびに新たな発見がある。
今回は大阪に来て初めて読んだのだが、大阪の街並みが描かれている場面があり
実際に見たことがある風景なのでうまいこと書いてあるなあと感心した。


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