たこたこのまったりライフ

たこたこのまったりライフ

ぼんくら



江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。
その後、長屋の管理をしている差配人・久兵衛が姿を消し、
長屋に入居していた家族も次々に出て行ってしまった。
いったい何が起こったのか。
同心・井筒平四郎のがその謎を解くために奔走する。

昨年の帰省の時に上下巻を買い読んだのだが、作品をいまいち掴めずに感想を書かずにいた。
久しぶりに読んでみて、時代は違うが人の心の在りようはそう変わらないのかもと思った。
奉公先を追い出された男の恨みは何年経っても消えずに復讐してやろうと機会を狙っている。
行方不明になった夫の愛人を昔と同じように憎んでいる女。
それを知った平四郎は「一人の人間が他の人間を十数年も恨み続けるなんて芸当は凄い」と思うが、
甥の弓之助に「憎らしいとかうらやましいとかいう気持ちは年月で消えたりしないもの」と言われ、唸ってしまう。

私もひどい目に遭ったと感じたことは何度もある。
その場では恨みこそすれ、せいぜい相手に近寄らないようにするくらいだったし、何かする行動力もなかった。
時間が痛みを和らげてくれたのだろう。
でも自分の中で整理をつけられない人も多いのかもしれない。
大阪で少年が母校の先生を刺した事件で過去のいじめを動機としているが
もし真実なら、それがこの本で言われている年月で消えない気持ちなんだなあと感じた。

人々の長屋暮らしの様子も描かれているのだが、その中にある煮売屋の食べ物がおいしそうで
こういうお店が家の近くにあったらいいのにと思ってしまった。

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