019907

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車

六月になって地元に帰ってきた。
東京では駐車場や維持費の関係で車に乗っていなかったが、
公共交通機関が発達していないところなので、
自家用車がないと生活できないのだ。

地元に帰って初めて原付で出かけた時のこと。
国道の抜け道に使われている旧道を通っていたら、
工事渋滞の中、数台の車が歩道にはみ出して歩行者の邪魔をしていた。
その歩行者は強い日差しの中で、直射日光に打たれてかなり辛そうだった。
その光景を後ろから眺めていて、歩行者の方が気の毒だったので、
車に対してクラクションを鳴らして「道を開けてやれよ！」と怒鳴ったら、
運転していた女性が降りてきて一言。
「開いているじゃない！」「私だけ歩道にはみ出ているわけじゃない。」と逆切れ。
自分勝手な人である。
こちらも大人気ないのだが、一言
「申し訳ないですね。こちらの方が通れなくて困ってるようだから言っただけ。」
それだけ言うとメットのシールドを降ろして無視をした。
やり場がなくなったのか、バツが悪いのか、その女性は車に戻っていった。
でも道は開かなかった。
かなり頭に来ていたのだが、それを我慢して車が動くのをそのまま待っていた。
仕返しと言うわけではないが、この人の運転マナーを見てやろうと。

車が動き出して５ｍほど後をついていった。
ブレーキのタイミング、ウインカーを切るタイミング、速度の出し方、走行車線の位置。
しばらく離れて見ていたが、ひどいのである。
ウインカーを出さずに曲がる、交差点のど真ん中で信号待ちで止まる。
変な速度で走るから、渋滞が発生している。
「ものすごい物を見た」と呆れつつ感心していると急ブレーキ。
いきなりなんだろうと思っていると、
「いったい何なのよ！」「何でついてくるのよ。」と、お怒りのご様子。
その頃には、自分のほうは怒りも解け、かえって面白くなっていた。
「なに黙ってんのよ。」とまだ怒りは続くようだった。
びっくりしていたので黙っているのを、無視されていると勘違いされたようで、
更に怒りが増しているようだった。
どこまで怒るのか黙って観察をしていたら、段々半泣きになっていった。
周囲を通る車などの視線が痛いなあと思っていたが、
こっちはシールドを降ろしていたので、まいいかな・・・と。
五分ほど文句を言われ続けいいかげん飽きてきたので、
その女性に「その運転でよく免許が取れたもんですね」とだけ言った。
また油を注いでしまったかと思っていたが、観察されていた自分が恥ずかしかったのか、
何も言わずに車に戻っていった。

こんな人間が事故を起こしても、加害者なのに自分は被害者と言う顔をするんだろうな・・・。
こんな運転をする人を、地元に戻ってからたくさん見た。
別の立場で物事を考えられない、自己中心的な人が増えているのかと考えたら、
ゾッとしてきた。自分はこんな運転はしない（車に乗っていないけど）と思うが、
周りから見たらどう思われているんだろう。
気になる。

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