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イヤーチップを耳の穴に突っ込む必要のあるカナル型イヤホンは,圧迫される感じがしてあまり好きではない。しかし移動中,音漏れが気になるときにはやむを得ずカナル型を持っていく。そんな時にSumajin Earphone Black SUMEAR-BKでは役不足だと感じることがあり,高級カナル型イヤホンの音を試してみようと,B&W C5などと迷った挙句ortofon e-Q7を購入。 豪華な化粧箱に入っている。付属のイヤーチップはシリコン製のS,M,Lとコンプライ。私にはコンプライが一番しっくりきた。他に,耳垢を防止するフィルター・リング・交換ツールのセット,本革製ポーチ,日本語の説明書が付属する。 ハウジングはアルミ削り出し。SUMEAR-BKと比べると大きい。タッチノイズは大きめだが,耳の上からかけて後ろに通すように装着すれば気にならない。合流後のコードは絡まりにくい材質になっている。取説によると「銀メッキ無酸素銅線」を使っているとのこと。ただ,1.2mという長さは私にはやや短く感じる。まずはバランスドアーマチュア方式が得意とされるボーカルを体験しようと,手嶌 葵 - The Roseの「Over The Rainbow」を聴く。ピアノの高音が美しい。温かみよりは透明感が際立つ音作り。ヒラリー・ハーンによるバッハ:ヴァイオリン協奏曲集の中の「2つのヴァイオリンのための協奏曲」第3楽章では,Autograph miniやSTAXで聴くよりもヴァイオリンのキレや迫力が増し,メリハリの利いた演奏になったのには驚いた。ニューヨーク・トリオ - 夜のブルースの「Blues in the Night」ではジャズ・ピアノが圧倒的な存在感を持って迫ってくる。ソースのダイナミックレンジの広さが十分に感じられる解像度の高さがある。DENON - オーディオ・チェックCD収録のノイマン指揮チェコ・フィルによる「新世界より」では,HD580ほどにはオーケストラが塊として迫ってくる迫力はないものの,解像度は高い。複数のバランスドアーマチュアドライバを搭載する高級イヤホンが多い中,e-Q7はあえて1つのドライバしか搭載しておらず,技術的な目新しさはない。しかしそこから出てくる音は,取説の言葉を借りれば「音の美学」を感じさせるもの。その音作りの上手さは「オルトフォン90年の音響技術の伝統」があってこそ可能となったものだろう。何より繊細な高音の表現は美しく,例えばハーンのバッハなどはSTAXよりもこれで聴くほうがしっくりくるほど。移動中だけでなく家でも常用することになりそうなイヤホンだ。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索カナル型・インイヤー型|デイリー売れ筋人気ランキングUSTREAM e☆イヤホンTV ダイジェストヘッドホン関連新刊
2013年03月05日
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BLOSSOMのヘッドフォンアンプ BLO-0169は解像度が高く,ダイナミックでメリハリの効いた音を出すのだが,ジャンルによってはもう少しソフトで自然な音が聴きたいこともある。そんな時はSTAXのSR-007を真空管ドライバSRM-007tにつなげばほぼ満足できるが,そのような音をダイナミック型ヘッドフォンでも聴きたくなり,真空管のヘッドフォンアンプを物色することに。New-Tone eDison-01は真空管出力とトランジスタ出力を切り換えることができるのがユニーク。ただしUSB DACやプリアンプとしても使えたりと私には不要な機能が多いのと,ヘッドフォンアンプとしての音質がプリアンプとしての音質よりやや劣るというレビューがあるのが気になる。2万2千円。真空管アンプはトランジスタアンプより製作しやすいことから,よく趣味で製作されたものがオークションに出品されており,なかにはコストパフォーマンスにすぐれたものもある。たとえばBacchus Antiquesさんの真空管ヘッドフォンアンプは,2万円というお手ごろな値段ながら,メーカー製では考えられない美しい仕上がり。楽天ブログに製作記を書かれているが,シャーシの加工までされているようだ。ただ,入出力ともに3.5mmステレオミニプラグというのが個人的にネック。Carot One Fabrizioloも真空管1本のシンプルなアンプながらイタリア製らしい洒落たデザインが所有欲をくすぐる。もっとも,私にはプリアンプ機能が余計。ヘッドフォンアンプに絞りその分音質を向上させてほしい。2万7千円。Cayin HA-1Aは,膨大なヘッドフォンのレビューがあるHe&Biさんのサイトで「真空管の良さが全面に出ている」と評価されているので気になっているヘッドフォンアンプ。定番だったVALVE-X-SEが東京サウンド倒産のため入手困難になりそうな現在,この価格帯でまず候補に挙がるアンプかもしれない。4万6千円。TRIODE TRX-HD82は,真空管出力とトランジスタ出力を切り換えることができたり,USB DACやプリアンプとしても使えたりと,機能面ではeDison-01と似ているが,こちらは真空管アンプではおなじみのトライオード製ということで音質にも期待できる。質感も高いが,7万6千円という値段がネック。ここまでいくなら,著名なオーディオエンジニアJim Fosgate氏設計のMusical Surroundings Fosgate Signatureあたりも気になる。が,こちらは倍以上の値段。究極の真空管ヘッドフォンアンプと思われるのが,Woo Audioの超弩級アンプ,WA-234 MONO。左右チャンネルが独立した筐体となっており,XLRで接続する。バランス出力可能な真空管ヘッドフォンアンプは貴重だが,値段はUS$10,000,日本円で95万円か・・・とりあえず,Bravo Oceanという1万円程度の中国製の小さな真空管ヘッドフォンアンプを入手し,BLO-0169とどの程度違った音になるか試してみることにした。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索ヘッドホン|デイリー売れ筋人気ランキングUSB DAC/DDC ヘッドフォンアンプ HUD-mini 動画レビュー森川忠勇 著 真空管アンプ・スピーカー作りを楽しむ OTLヘッドホンアンプの作り方など
2013年02月25日
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豊かな低音が楽しいヘッドフォンSENNHEISER HD25-1 IIだが,プラグ部分の接触不良のためか片方からしか音が出なくなった。純正の交換ケーブルHZL25Pもあるが,オヤイデの交換ケーブルHPC-HD25が安かったのでそちらを買ってみることに。 ケーブルを差し替えて終わりだったHD580のケーブル交換に比べるとねじを外す必要があったりと交換はすこし面倒だが,箱に詳細な説明がある。黒・赤・青・黄・銀の5色が用意されており,私は黒以外では無難な銀を選んだが,銀だけは異なるシールドを使っているようだ。 まず右のハウジング中央のねじを外す。手書きの「R」シールは私がかけるときの目印に貼ったもの(笑)。次に根元を持ってケーブルを引き抜く。そしてケーブルガイドからケーブルを取る。私はこれまでケーブルはヘッドバンドの中を通っているものと思っていたが,このように簡単に外れるようになっていた。このあたり,交換のことまで考えられた構造はさすが。 ねじのついていたパーツをケーブルから外し,交換ケーブルを挿し込む。コネクタについた2本のピンには太いものと細いものがあるので,穴の大小をよく確認し,逆に差し込まないよう注意。どこまで挿し込めるのか判断が難しいが,他に交換をされた方の写真を見るとこのあたりまでで良いようだ。交換ケーブルをはさんでねじを締め,ケーブルガイドに収めたら交換完了。私が持っているほかのヘッドフォンのケーブルは全て黒なので,シルバーのケーブルはこうして見ると新鮮。純正ケーブルと太さは変わらないが,プラグ部分が小さくなっているので携帯用には良さそう。また長さが1.5mから1.2mと短くなり,私にはちょうど良くなった。早速フォンプラグへの変換アダプタをつけてBLOSSOM BLO-0169で聴いてみると,純正よりもやや高音が伸びている気がする。Fourplayのナイロン弦ギターの音は,バランス化したHD580+BLO-0169ではやや不自然に聞こえるが,こちらは自然に表現されており,BLO-0169との相性も良さそう。バランス化HD580+BLO-0169の分離感は圧倒的なのだが,そのぶん聴き疲れしやすかったり不得意な場面があったりするので,普段使いにはこちらの組み合わせの方が良いかも。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索ヘッドホン|デイリー売れ筋人気ランキングUSTREAM e☆イヤホンTV ダイジェストヘッドホン関連新刊
2013年01月14日
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このところ悩みまくっていたヘッドフォンアンプだが,結局BLOSSOM BLO-0169を買い,それに交換ケーブルのRATOC HPC-HD650BALでバランス化したHD580を挿してLINN MAJIK DS-Iの音を聴いてみることにした。SA-15S1を上回る音質になればよいのだが。なお,SENNHEISERのHD650,HD600,HD580,HD565,HD545,HD535はケーブルが共通なので,各社から出ているHD650用のバランスケーブルがそのまま使える。 BLO-0169は大変コンパクトで幅はCDケースよりも小さい。背面にはRCAピンジャックのアンバランスライン入力の他にXLRとTRSフォンに対応したバランスライン入力もある。ACアダプタをつなぐ端子は抜け防止のためにロック式となっている。購入したのはRev.2だが,現在はRev.3となっている。付属するACアダプタは秋月電子のNP12-US2405。 コンパクトなアルミニウムのボディはキッチリ作られている印象で質感も良い。ステンレス製のスパイクインシュレーターは取り外し可能で,ゴム足も付属する。まずはHD580の標準ステレオプラグをBLO-0169に挿し,従来のステレオフォン(シングルエンド駆動)方式の音を聴いてみると,MAJIK DS-Iのヘッドフォン端子に接続した場合との音の違いに驚かされた。全体的に明瞭なサウンドとなり,音空間がぐっと広がる印象がある。 次にHD580をバランス化するため,まずHD580の純正ケーブルを外す。一度も外れたことがなかったのでどのように外すのか見当がつかなかったが,根元を持ち思い切って引っ張ってみると簡単に外れた。交換ケーブルHPC-HD650BALの製造はオヤイデ電気で,分岐の部分に「AUDIO MIJINKO SIGNATURE MODEL」とあり,古くからネットでオーディオ関連の情報を発信されているオーディオみじんこ氏が監修しているようだ。これを代わりに挿してバランス化完了。早速聴いてみると,一聴して音の分離が格段に向上したのがわかる。シングルエンド駆動で感じたBLO-0169の良さがさらに際立ってくるようだ。FAKiEのアコギの掻き鳴らしを聴いたときには,そのあまりの臨場感に思わず声が出たほど。様々なジャンルを聞き比べてみて,そのクリアで明るい音色のためテンポの速い音楽が楽しく聴ける組み合わせというイメージを持ったが,しっとりとした女性ボーカルやクラシックの緩除楽章などでも高い解像度と深みが感じられ,MAJIK DS-Iの実力を十分に伝えてくれている。ただ,時にシンバルの音などが少し不自然に聞こえる場合もあるので,このあたりはスタックスとうまく使い分けていけばよさそう。また,バランス駆動時にはアンバランス駆動と比べゲインが高くなるが,ゲインをLOWに設定していれば音が大きすぎるということはなかった。ギャングエラーについてはボリュームを極小音量に絞った時に少し感じることがあったので,低インピーダンスのイヤホンなどがメインの人は電子制御アナログボリューム採用のRev.3を選んだ方が良さそう。ノイズなどは皆無。ACアダプタを24V1AのNT24-1S2410にすると音質が向上したという報告がある。また,BLO-0169専用強化電源のBLO-0160も用意されている。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索ヘッドホン|デイリー売れ筋人気ランキングオーディオケーブルランキング|楽天プロダクトヘッドホンアンプ関連の新刊
2013年01月12日
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前々回からヘッドフォンアンプを物色していて気になったのが,ヘッドフォンのバランス出力について。通常の標準プラグ用コネクタの他にXLRのキャノンコネクタがついているアンプがあり,対応するヘッドフォンを挿すことでバランス駆動が可能になる。バランス駆動のメリットは・左右のケーブルを分離しグラウンド線を共有しないことで,基準となるシグナルグラウンドレベルが安定化しクロストーク(セパレーション)性能が向上する。・出力電圧や信号振幅がアンバランス駆動に比べて半分で済むので,スルーレートが向上する。などがあるという。また,私の愛用するSENNHEISER HD580は,ケーブルを交換するだけで簡単にバランス化できる。アンバランス駆動でも十分高音質なHD580がバランス化したらどんな音になるのか,興味が出てきた。以前は海外メーカー製に限られていたバランス出力可能なヘッドフォンアンプも,今では国産も手ごろな値段から出てきているようだ。2nd StaffのブランドBLOSSOMによるBLO-0169は,4万5千円と国産では最も安価なバランス出力可能ヘッドフォンアンプ。112×150×44mm(W×D×H),525gとコンパクトなサイズながら,ゲイン調節機能もついている。音楽制作現場向けのブランドなので,余計な色をつけない素直な音が期待できる。C.E.C. HD53Nは218×354×58mm(W×D×H)で3.2kgと大きいが,オーディオ棚にスペースがないわけではないので候補に入る。LINN MAJIK DS-I導入まで永らくDAコンバーターとして活躍してくれたDX71のCECということで,音の傾向がわかり安心感がある。ただ,バランス出力時はゲインが高くHD650でも音が大きすぎたり,実用域にギャングエラーがある,といったレビューが散見されるのが気になるところ。6万弱。Nmode X-HA1も210×243×60mm(W×D×H),2.6kgとそこそこの大きさがある。他とは毛色が異なる1bitデジアンであるためか,音に関しては賛否両論あるようだ。一度聞いてみたいが・・・。6万5千円。iHA-32-2013は147×180×43mm(W×D×H),2.3kgとコンパクトなizoのフラッグシップ。ただ,izoは製品のサイクルが早く,評価が定まる前に新製品が出てくる感じなので,14万を出して手を出すのは躊躇してしまう。BLOSSOM BLO-0169の上位アンプ,BLO-0299も212×158×64mm(W×D×H),1.1kgと省スペースであり,天然ウォールナットのボディも魅力。13万5千。ただBLO-0299はもう生産終了のようだし,このクラスまで行くのならBLOSSOMのフラッグシップ,BLO-3090のほうが気になる。234×238×70mm(W×D×H)で2.4kgと大きくなるが,ゲイン切り替えのほかにインピーダンス切り替えもあったり,通常のL/RのXLR端子の他に4pin XLR端子もあったりして,色々といじって楽しめそう。16万。・・・などと,バランス駆動でない通常のヘッドフォンアンプも含め色々と悩んだが,楽天でBLO-0169が安かったので購入し,とりあえずバランスヘッドフォンとはどのようなものか体験してみることに。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索ヘッドホン|デイリー売れ筋人気ランキングUSB DAC/DDC ヘッドフォンアンプ HUD-mini 動画レビュー木村哲 著 理解しながら作るヘッドホン・アンプ
2013年01月12日
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前回物色したヘッドフォンアンプの中で気になったオルトフォン HD-Q7(約2万5千円)とレーマンオーディオ Rhinelander(約4万円強)だが,私にはなかなか実際に聴いてみる機会がない。そこで,ネット上からできるだけ情報を収集し,LINN MAJIK DS-Iのヘッドフォン出力からどの程度の改善が期待できるのか推測してみることにした。当然,買ってもいない人や業者のレビューも含まれているだろうから,あくまで参考程度に。まず基準となるマランツ SA-15S1のヘッドフォン出力だが,解像度が高く繊細で中立的な音色という評価が多く,私も実際に聴いていてそのような印象がある。どちらかと言えば低域よりは高域の美しさが際立っている。機構的には「完全ディスクリート構成のヘッドホン出力回路」であるという。ortofon HD-Q7の音色について,価格.comやAmazon,2chの「低価格でナイスなヘッドホンアンプ」では高音寄りだというレビューが目立つ:・中高音が多少強調される音づくり・高音よりで中高音にかけて伸びがある・思っていた以上にキンキンした音そのため,ヘッドフォンとの組み合わせについては低音寄りのヘッドホンと相性が良いという評価だ:例えば同じオルトフォン、テクニカ系、ゼンハイザー、ソニー系、シュアー等はちょっと渇きすぎる、もしくは高域がピーキーな感じになったりするので使いにくいです。デノン、ウェストン、モンスター等は元々潤っていたり超低域寄りだったりするので、ただ低域がしまったり抜けが良くなったり高域が晴れやかになったりするので、好みはあるにせよ良い方向に進むと思います。一方低域については「低音は薄めで、もりもり駆動するようなパワフルさは無い」が「量感は豊富ではないけど、超低音まで出てることは出てる」とのこと。またエージング後は「更に細かい音が鳴るように(鳴りきるように)なり一つ一つの音が、より引き締まり、より立体的に聞こえるようになってきた」という報告もある。いずれにしても,低域がしっかり出るMAJIK DS-Iとの相性は良さそう。ただ,気になるのはノイズについての言及が目立つこと:・感度の高いイヤフォンなどをつなぐと何にも鳴らしてなくてもノイズが出てるのがはっきり分かる・ボリューム9時を過ぎたあたりから薄っすらとホワイトノイズ・ボリュームを上げ下げするとき、微かにジジジという音・切る時に、たまに結構大きめなポップノイズなかには,ホワイトノイズは「低インピーダンス、高感度のイヤホン等では聴く気になれないレベル」であり「ノイズや静電気対策等、詰めが甘い」と断じているものも。デザインや造りについては「アルミ削り出しの重厚感」があるなど好意的なものが多い。確かにこちらの詳細写真(eイヤホンのスタッフレビュー)で見られるとおり,コンパクトで大変美しく,触り心地が良さそう。一方,電源の赤いランプが明るすぎると言う人や,ボリュームつまみが抜けてしまい仕方なく芯で調節している人もいた。機構的にはどうか。オルトフォンジャパンに問い合わせた人によると,ortofon HD-Q7は「前段はオペアンプ,後段はディスクリート」だという。こちら(価格.comのクチコミ)で内部写真を上げてくださっている方がいる。結論としては,デザインは魅力的でSA-15S1のヘッドフォン出力に迫る音質はありそうだが,それを遥かに超えた音質までは期待できそうにないか。では,Lehmann audio Rhinelanderについてはどうか。やはりオーナーは少ないようだが,こちらの方によると「フラットでクール」な音質とのこと。しかもこの方はortofon HD-Q7も聴かれたことがあるようで,音の傾向は「オルトフォンHd-Q7と似てるが、駆動力とかは段違いで上」だという。「ゼンハイザーとかのヘッドフォンでもすっきり聴けると思うので、すっきりな傾向の音が好きな人には特にオススメ」ということで,MAJIK DS-IやHD580などとの相性も良いだろう。また,こちらの方は内部写真まで載せてレビューされている:音が滑らかになってとても聴きやすいです。心地よくいつまでも聴いていたいような音ですね。特に癖も感じませんし、K702との相性も悪くないと思います。ホワイトノイズは特に感じず,ギャングエラー(左右チャンネルの片寄り)やガリノイズもないとのことだが,前の方のレビューでは小音量で若干ギャングエラーがあったとのことで,このあたりは個体差があるのだろう。いずれにしても問題ないレベルのようだ。造りも悪くないようだが,「価格を考えると安っぽすぎ」という意見も。音質を最優先したために「電源スイッチはなく、スイッチはミュートのみ」なので「必然的に電源は入れっぱなし」というのは,使い勝手においてはマイナス。実際には電源タップのスイッチなどで対処することになりそうだ。機構的には,「Lehmann audioの代表モデルであるBlack Cube Linearの電源部を省略して外部に移し、アンプ部のデザインも簡略化を測ったもの」のようだ。そのBlack Cube Linearは「ゼログローバル・フィードバック設計のディスクリート・クラスA出力段」を持つようなので,Rhinelanderも同様だと考えられる。結論としては,やはり古くからプロ用のヘッドフォンアンプを作ってきた老舗らしい確かな製品で,SA-15S1のヘッドフォン出力と同等かそれを上回る音質は十分に期待できるだろう。しかし,ここまで出すとなるとNmode X-HA1まで行きたくなるが・・・これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索ヘッドホン|デイリー売れ筋人気ランキングUSB DAC/DDC ヘッドフォンアンプ HUD-mini 動画レビュー木村哲 著 理解しながら作るヘッドホン・アンプ
2013年01月06日
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前回書いたようにLINN MAJIK DS-I(DSM)のヘッドフォン出力にはやや不満があるので,marantz SA-15S1のヘッドフォン出力程度の音質を確保するため,最適なヘッドフォンアンプを探してみることにした。まずはスペースがなく大げさなものを置きたくないので,サイズを重視してデジタルオーディオプレイヤー用アンプから探すと,これまで海外勢が主流だったこのニッチ市場にSONYが参戦していた。このPHA-1は幅67x高さ26x奥行130mmで220gと超小型。しっかりと造られている感じで音も良さそうだが,入力がステレオミニ端子のみというのが×。DS-Iのステレオミニ端子につなぐとボリュームを2重にかけることになり無駄な劣化となる。やはりRCA入力のある通常のアンプから探すことに。幅90x高さ50x奥行90mmで412gのこのortofon HD-Q7は以前からそのシンプルなデザインが気になっていた。音の評判も悪くなく,カートリッジで有名なあのオルトフォン製ということで何となく所有欲も満たされそう。2万5千という値段も手ごろ。ただ,聴いていないので全くの憶測になるが,これでSA-15S1のヘッドフォン出力を超えられるかという点には少し不安も。というのも,SA-15S1の完全ディスクリート構成のヘッドホン出力回路はかなり優秀で,かつてはC.E.C HD53など4万ほどの単体ヘッドフォンアンプよりも勝るとも言われたほどだからだ(こちらも私が聴き比べたわけではないが・・・)。その点,音質の面ではまず間違いはないと思われるのがこのLUXMAN P-1u。ラックスマンはヘッドフォンがこれほどもてはやされる以前から,P-1という唯一無二のヘッドフォン専用高級アンプを製造してきた。物量が惜しげもなく投じられヘッドフォン愛好家のあこがれであったP-1の後継がこのP-1uだ。ただ,幅440x高さ82x奥行408mm,重さ8.3Kg(!)というその大きさと15万という値段はやはりネック。izoも昔からヘッドフォンアンプを作ってきたメーカーだが,そこから先月「izo史上最高音質」と銘打たれて発売されたのがこのiHA-32-2013。専用の電源ユニットの上に本体が乗る独特の形。幅147x高さ43x奥行180mmで約2.3kgという省スペースで,ACアダプタが不要というのも良い。ただ価格は14万なので気軽には買えない。昨年10月に発売されたこのTEAC HA-501がユニークなのは,ヘッドフォンに合わせてダンピングファクターを5段階に選択できること。様々なインピーダンスのヘッドフォンを切り換えて聞いている私にとっては,このヘッドフォンにはどの設定が良いかと色々試してみるのが楽しそう。フルアナログのデュアルモノラル構成ということで9万という値段ながらLUXMAN P-1uレベルの音質が期待できそう。幅290x高さ82x奥行244mm,4.1kgと大きいのがネック。このNmode X-HA1は1bitデジタルヘッドホンアンプ。Nmodeはシャープの1bitデジアン担当者が設立した会社なので,FAKiEの録音のような目の覚めるような臨場感が期待できる。価格は6万5千。幅210x高さ60x奥行243mmで2.6kgとこちらも少し大きい。その点,値段の割りにサイズと音質のバランスが最も良さそうなのが,このLehmann audio Rhinelander。Lehmann audioのBlack Cube Linearは高音質なヘッドフォンアンプとして有名だが,これはその機能を絞り込んだ4万強の廉価版。電源スイッチがなかったり作りは安っぽいが,音は良いようだ。何より幅110x高さ47x奥行135mmで400gというそのサイズは魅力。ただユーザーが少ないので情報を集めるのに苦労しそう。うーむ,とりあえずサイズとデザインの良いortofon HD-Q7を買ってみて,満足できなければRhinelanderか,サイズ優先のizo iHA-32-2013と音質優先のLUXMAN P-1uで迷うことにしようか。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索
2013年01月06日
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私はLINN MAJIK DS-I(現在のMAJIK DSM)からの音をヘッドフォンで聴きたいときは,まずスタックスのSR-007やSR-303を手に取る。どのジャンルもそれでほぼ満足してしまうのだが,時にはダイナミック型の万能選手SENNHEISER HD580(写真は現在のリファレンスモデルHD650)や,低音のすばらしいHD25,打ち込み系はこれに限るULTRASONE DJ1 PROなどで聴いてみたくなることもある。その時に,もしそのソースがCDからリッピングしたものである場合,そのCDをわざわざ取り出してきてmarantz SA-15S1(写真は後継のSA-15S2)のトレイに入れ,SA-15S1のヘッドフォン端子にそのヘッドフォンを挿して聴くことがよくある。MAJIK DS-Iのヘッドフォン端子にそのまま挿して聴けば済む話であるのになぜあえてそのようなことをするのかというと,私はその音のほうが好みだからだ。この記事からその顛末を書いたとおり,私はMAJIK DS-Iを入手して以来,接続をあれこれ変えてみてはその音の素晴らしさに心を打たれてきた。しかし色々試した中で唯一それほど感動しなかったのが,前面のヘッドフォン端子にヘッドフォンを挿して聴いた時だった。確かにM-AUDIO Audiophile USBのヘッドフォン端子からの音などとは比べものにならないほど豊かでクリアな音が出てくるのだが,初めてSA-15S1のヘッドフォン出力の音を聴いた時ほどの衝撃はなかった。同じソースを同じヘッドフォンでMAJIK DS-I(DS接続)とSA-15S1で聴き比べてみても,SA-15S1に比べMAJIK DS-Iでは鮮やかさや臨場感が一歩後退する印象がある。スピーカーやスタックスで聴き比べた時には,DS接続のMAJIK DS-IはSA-15S1よりも明らかに優位であることを考えると,DA変換された後ヘッドフォンに行くまでの過程のどこかで,その音がスポイルされてしまっていることが考えられる。 MAJIK DS-Iにはステレオミニ端子しか付いていないため,ステレオ標準プラグをつなぐためには変換が必要だ。真ん中の写真上のように変換アダプターを使う手もあるが,MAJIK DS-Iの端子に負担がかかると嫌なので,私は変換ケーブルのVictor CN-233Aを使っている。ただ,500円程の安価なものとはいえ,この短さなので音質にそれほど影響があるとは思えない。やはり,標準端子ではなくミニ端子しか付いていないことからも推測できるとおり,MAJIK DS-Iのヘッドフォン出力はあくまでおまけとして付けられたものなのかもしれない。プレーヤー内に別個のヘッドフォンアンプを内蔵していると言えるほどのマランツほど気合は入っていないということなのか。本格的なヘッドフォンアンプを導入すれば改善されるだろうが,お金とスペースが・・・これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこのブログ内をGoogleで検索ヘッドホン|デイリー売れ筋人気ランキングLINN DS最安モデル LINN SEKRIT DS-ISONY入魂のポータブルヘッドホンアンプ PHA-1
2013年01月05日
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SumajinのSUMEAR-BKを買った時に,ユニット部からコードが直接出ているので着けたまま寝返りを打っても違和感が少なそうだと取り上げたソニーのカナル型イヤホン,MDR-EX33LPだが,たまたま期限切れになりそうなポイントがあったので買ってみた。 しかし箱を開けてみてちょっと後悔。このように,ユニット自体の大きさがSUMEAR-BKよりも少し大きかったのだ・・・。ただ,右のようにイヤーピースが3種類付属しており,Sサイズよりもさらに小さいSSサイズを使うと,耳から露出する部分はかなり小さくなる。またコードは,ソニーのイヤホンによくある,右のほうが長く首に回して使うネックチェーンタイプではなく,左右同じ長さのもの。装着して横向きに寝てみる。タッチノイズはSUMEAR-BKより少ない印象。ただユニット部が枕などに接触すると,材質の関係かSUMEAR-BKよりは違和感がある。音質は,SUMEAR-BKほどの解像度はないものの,クリアで低音も十分出ており,2000円程度という価格を考えれば特に不満はない。他のソニーのカナル型同様,通常使う分には装着感は良いので,外出用としては問題なく使えそうだ。ただ,やはり寝ながら使うことを重視するなら,ユニットの大きさにはこだわったほうが良さそう。ビクターのHP-FXC70は口径5.8mmの超小型ユニットをイヤーチップの中に内蔵するような形をしており,ユニット自体は耳から露出しない。ただ,そのままだと耳から外れやすくなるためか外にラバークッションが付いているので,それが枕に当たってしまうかもしれない。世界最小,最軽量を謳っているKlipschのImage X10はちょっとおもしろそうだ。耳の外にはケーブルが出ているだけと言う状態だから,確かに「装着していることを忘れるほどのフィット感」なのだろう。HP-FXC70のようにラバークッションなどもないので,枕に押し付けても違和感は少なそう。音質も,Etymotic ResearchのER-4Sなどの高級イヤホンとよく比較されており,かなりの水準を期待できる。イヤーピースだけで耳に装着されている形になるので外れやすそうに見えるが,イヤーピースの形を工夫することで外れにくくなっているようだ。ただ,寝ながら使うために買うには値段が高すぎるが・・・これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン:新製品情報イイ音持って出かけよう!イヤホン専門店:eイヤホン楽天市場店寝ながら音楽を楽しむためのアクティブスピーカー
2008年10月04日
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Sumajin Earphone Black SUMEAR-BK以前寝ながら聞くのに最適なイヤホンを探したことがあった。たいていのイヤホンは仰向けで聞くと問題ないのだが,寝返りを打ったり横向きになると,ドライバーユニット部が枕に押し付けられてしまい違和感を感じてしまう。色々調べてみると,このカナル型のSumajin SUMEARはユニットの大きさやコードの位置が横向きに寝るのに最適そうだったので購入。 同じカナル型のソニー MDR-EX71SLとの比較。EX71もかなりユニットの小さなイヤホンだが,それよりさらに小さいことがわかる。コードもまっすぐ下に出ているので,装着した時に耳から露出する部分が少ない。よく見るとヒトが手を掲げているようなマークがついている。また,本体の他にコードを巻きつけることができるゴム製の「Smartwrap」,飛行機のイヤホンジャックに取り付けるためのアダプター,3つの大きさのイヤーピースがついており,付属の小さなキャリングポーチにコンパクトにまとめて携帯できる。早速横向きに寝ながら使ってみた。確かに枕に押し付けてもEX71より違和感は少ないが,ケーブルが服などにこすれた時に出るタッチノイズはEX71よりも気になる。イヤーピースやコードの材質の違いなのだろう。また,インピーダンスは17Ωと,16ΩのEX71より高いのだが,能率が高いためか,EX71と比べると音量はかなり大きく感じる。特にgigabeat S60Vは音量が1でも大きめなので,音量調節がしづらい。また私はカナル型独特の閉塞感が苦手なこともあり,やはりベッドサイドでは骨伝導スピーカー内蔵の「音枕」やアクティブスピーカーのほうが使い勝手がよい。 あくまで寝転んで使うことをメインに考えると,MDR-EX71のようなソニーのカナル型で耳から露出する部分が少ない写真左のMDR-EX55SLや,ユニット部からコードが直接出ている写真右のMDR-EX33SP-Sなどのほうがよかったかもしれない。ただ,そんなSumajin Earphone Black SUMEAR-BKだが,音質はEX71よりも良いと感じた。SENNHEISER CX300などと同じフォスターのユニットを使っているというのが大きいのだろう。EX71より多少低音と高音が強調されている感じはあるが,この値段ながら分解能はかなり高い印象があり,価格的にずっと上の機種の音と言われても不思議はない。FAKiE「To the Limit」収録のカーペンターズのカバー,「(They Long to Be)Close to You」を聴き比べてみると,SUMEARに替えたとたんにギターの形がよりはっきり見えてくるような感覚があった。竹竹 with Neptune「エイジアン・ルーツ」の「Uduboo」では,EX71だとただリズムを刻んでいるだけだった竹製ドラムの低音が,SUMEARで聴くと少し怖くなるほどの底知れぬ深みが感じられて驚いた。 Sumajin Earphone Black SUMEAR-BKはこちらこれまでにレビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン:新製品情報イイ音持って出かけよう!イヤホン専門店:eイヤホン楽天市場店寝ながら音楽を楽しむためのアクティブスピーカー
2008年08月29日
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コンデンサー型ヘッドフォンを追求して独自の地位を築いているスタックス。HD580などの一般的なダイナミック型ヘッドフォンのようにヘッドフォンジャックに直接繋ぐことが出来ず,専用のドライバーユニット(ヘッドホンアンプ)が必要になる煩わしさはあるが,分解能の高いその独特の音は海外でも高く評価されている。最近はダイナミック型でもAKG K701などコンデンサー型に近い印象の音を出すヘッドフォンもあるようだが,少なくとも私の所有しているものの中では,クラシックのヴァイオリンの響きを楽しむにはスタックスがもっともしっくりくる。念願の最上機SR-007を手に入れたときはSR-007(OMEGAII)とSRM-007tの組み合わせで聴くことが多かった。真空管ドライバーとの組み合わせということもあり,特に弦楽器の響きはこの組み合わせにしか出せないと思わせるような魅力がある。今はそれぞれモデルチェンジしてSR-007A,SRM-007tAとなっているが。しかし,SR-007をしばらく使っていて苦痛に感じてきたのが365gというその重さ。肉厚のイヤーパッドは柔らかく,またユニットとイヤーパッドがそれぞれ回転するという機構のため耳にジャストフィットするので装着感は文句ないのだが,やはり重いので長時間つけ続けるのは辛い。 そんなSR-007に代わって最近よく活躍しているのが,Classic SysytemII SRS-3030のイヤースピーカー,SR-303だ。何より300g程度と軽いのが魅力。約260gのHD580と比べるとまだ重いが,つけてみると重さから想像する以上に身軽に感じる。イヤーパッドが薄いためつけやすいというのもあるのだろう。側圧が低いため見た目よりも装着感は良く,長くつけていても疲れない。インナータイプのSR-003のほうが身軽さという点では上だが,これはカナルタイプなので意外と装着が面倒なため,私にとってはSR-303の方が使い勝手が良い。いくら装着感が良くても音が悪ければ意味はないが,SR-303の音質には侮れないものがある。確かにSR-007と比較してしまうと低域と音場感の点ではやや物足りないところもあるが,スタックスの肝である高域の美しさはSR-007に迫っており,少なくとも,7倍近い価格差ほどの開きは感じられない。SR-007の原型であるSR-Ω(オメガ)は90年代に登場したあたらしい系列だが,SR-303は1979年の登場以来バージョンアップを重ねているSR-Λ(ラムダ)の系統ということもあり,おなじみの籠型のデザインにも長年培われた伝統が感じられ,安心感がある。ラムダ系最高峰のSR-404とも使われているケーブル以外に大きな違いはなく,お得感は高い。ドライバーとしてSRM-007tを使う前は,同じくClassic SysytemII SRS-3030のSRM-313を使っていた(現在はモデルチェンジによりSRM-323Aとなっている)。トランジスタということもありSRM-007tと比べるとやや地味な印象はあるが,その分透明感があり,どんなソースでもバランス良く鳴らしてくれていた。方向性が異なるだけで音質的にSRM-007tより劣っているという印象はないため,価格を考慮せずともこちらのほうを好ましく感じる人もいるだろう。SRM-007tより一回り小さい大きさも魅力。というわけで,スタックスの中でも最もコストパフォーマンスが良いのはSRM-313+SRM-313のシステムであるSRS-3030,今ならSRS-3050A(SRM-313+SRM-323Aのシステム)ではないだろうか。特に現在のSRS-3050Aは,ドライバーのSRM-323AがSRM-313よりさらにバランス良く調整されていると評判だ。10万を超えるヘッドフォンアンプを買うことを思えば,75,000円程度でスタックスのリファレンスと言えるシステムが手に入るのはありがたい。ダイナミック型ヘッドフォンしか持っておらず,もっと繊細な音を求める人にはぴったりだろう。もっとも,SR-303は見てのとおり材質もプラスチックで高級感はあまりないので,見た目重視の人にはおすすめできないが・・・これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこだわりのオーディオアイテムスピーカー新製品情報PLATINUM COLLECTION:各界著名人が厳選し一流と認めた珠玉のホテル達
2008年05月24日
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BS2でコーネリアス小山田圭吾の中目黒テレビというのをやっていた。Fit SongのPVでも見られるような,辻川幸一郎が手がける映像と演奏の完璧なシンクロぶりが受けているようだ。番組の作りも,世界ツアーの合間に小山田が何気なくマッチ箱を振っている場面からそのまま曲の冒頭にシームレスにつながったりする感じが,音楽ドキュメンタリーとしてはなかなか新鮮だった。そのマッチ箱の音から思い出したのが,「立体音響(ホロフォニックス)」の技術で録音された音源。コーネリアスのアルバムファンタズマ冒頭の曲「MIC CHECK」でも使われていた録音技術だ(リンク先で試聴可能)。立体音響の歴史については,イギリスのロックバンドサイキックTVのファンサイト,23net.tvのこのページが詳しい。似た手法にバイノーラル録音があり,デンオン・オーディオ・チェックCDの#21などをヘッドフォンで聴くとスピーカーではなかなか得られない臨場感が味わえるが,立体音響で録られた音源にはそれ以上のリアルさがある。特に明確な上下移動の感覚は圧倒的だ。有名なバーチャル床屋でバリカンが後ろを動き回る感じは気味が悪いほど。ホロフォニックス開発者監修のCD「ALDEBARAN」(現在は廃盤)からの音源もYouTubeに挙げられていた:1,2,3。この,音が頭の中を動き回るような感覚で思い出したのが,昔セガのテーマパークのジョイポリスで体験したお化け屋敷のアトラクション。お化けとして実際に着ぐるみなどが出てくるわけではなく,ただヘッドフォンをかけさせられてテーブルの前に座らされるだけなのだが,部屋を暗くされると実際の周囲の音とヘッドフォンからの音の区別が全くつかなくなってしまう。すぐ後ろに人が来て話している感覚があり,思わずヘッドフォンを取って確認してみると誰もいなかった,といったこともあった。このページによると似た様なアトラクションはまだやっているようなので,機会があればまた体験したい。この立体音響という技術,23net.tvの解説を見ると神経生理学者Hugo Zuccarelliなる人物によって開発されたようだ。この人物の理論は耳自体が何らかの音を出しているという前提で進められているなど,疑い深い私などはどうしてもトンデモ臭を感じてしまう。彼は,立体音響は単に音に関する技術にとどまらず,様々なテクノロジーを改変しあらゆる側面に害を及ぼしかねない可能性を秘めている,として,その技術を公表していない。Zuccarelliの話から,私は何となく村上春樹の長編世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドに出てくる老博士を思い出した。老博士は生物学から脳生理学・音響学・言語学・宗教学まで幅広く研究してきたが,骨から音が出ていることを発見してしまい,その研究の軍事転用を狙う組織から狙われているという設定。読んだ当時はなかなか独創的な発想だなあと思っていたが,長編が出たのは1985年であることを考えると,作者の頭にはZuccarelliのことがあったのかもしれない。Zuccarelliもアメリカ軍との関係がうわさされているようだし。ただ,耳自体が何らかの音を出しているとはにわかには信じがたいが,科学的には耳音響放射というものも確認されているようなので,あながち全くのデタラメでもないのかもしれない。いずれにしてもマッチ箱のあのリアルな上下感は他にはないものだ。立体音響で録音された音源はこのせせらぎのような自然音(サンプルを聞くと寝る前のBGMによさそう)や,ピンク・フロイドのファイナル・カットなどのように効果音として使われていることが多く,音楽の録音としては少ない。バイノーラル録音だと,ピアノに座っているグールドの位置での音が聴けるグレン・グールド/バッハ:ゴールドベルク変奏曲(1955年)の再創造などがある。やはりヘッドフォンのほうが効果が得やすいという事情があるため一般受けしないのだろうが,もっと色々な音源を聞いてみたいものだ。ヤススキィなるインディーズアーティストのオーディオホログラムなどではおもしろい音が聞けそう。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン:新製品情報進化したiPodを徹底チェック!「楽天トラベルお客さまの声」2007年1年間分の集計結果から選ばれた人気の宿
2008年02月29日
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パソコンで作業している時や食後リラックスしたい時などに音楽を聴くことが多いが,意外とトイレや風呂,そしてベッドの中などでも無性に聴きたくなることがある。一応Monitor Audioの小型スピーカー,Radius 90をベッドサイドに置いて,セレクタでメインのTANNOY Autograph miniと切り替えることができるようにしているのだが,ベッドの中ではやはりシステムの立ち上げの手間は煩わしいもの。いざ寝ようとしてベッドに入ったあとで,思い直してムクっと起き上がり,CDプレーヤーやプリ,メインアンプの電源を入れ,セレクタを切り替えて適当なCDを探しトレイに入れ,音量を調節して・・・といったことまでする気にはなかなかなれない。ベッドサイドやトイレなど,外出先以外でも気軽に音楽を聞きたい時に便利なのが,iPodなどのデジタルオーディオプレーヤー。HDDタイプなら膨大な量の音源に瞬時にアクセスできる。最近のものは良いDACを使っているのか,私のgigabeat S60Vは以前使っていたRio Karmaよりも明らかにクリアで気持ちよい音になっている。もっとも私のgigabeatのDACは,最新のUシリーズに搭載されている東芝開発の1bit DAC方式のチップではないが。また電源が専用電池なので,その点は電源コンセントから取ってくるシステムよりも音質面で有利だ。デジタルオーディオプレーヤーを聴こうとして問題となるのが,どのヘッドフォンで聴くか。音質を求めればSENNHEISER HD580などの大型ヘッドフォンも使えるが,寝ながら使うのはなかなかきつい。やはり気楽に使えるのはイヤホンだ。SONY MDR-E888なども良いが,最近ベッドサイドで多用しているのがSENNHEISER MX500。SENNHEISERらしいバランスの取れた自然な音質で,どんなジャンルのものでも気持ちよく鳴らしてくれる。現在のモデルで近いのはSENNHEISER MX51 Street イヤホンか。しかしMDR-E888やMX500などの耳に乗せるタイプのものは,装着したときに本体が耳の外に出ているので,ベッドで寝返りを打ったり横を向いたりすると本体が枕に押し付けられてしまう。そのあたりが気になるときに私が愛用しているのが,ソニーのカナル型イヤホンMDR-EX71SL。今のモデルはMDR-EX55SLあたりが近いだろう。音はドンシャリの傾向が強いが,何より装着感は抜群。耳から露出する部分が小さいのもポイント。MDR-EX71SLのような形状でもう少し音質に期待できるものを探して家電店に行くと,数年前と比べてイヤホンコーナーの充実ぶりが著しく,驚かされた。デジタルオーディオプレーヤーの定着により,イヤホンにも高級感が求められるようになってきたのだろう。とりあえず寝返りが打てそうで音質にも期待できると思ったのは,audio-technica ATH-CK7。コンパクトながら「チタン鍛造ボディ」ということでATH-CM7Tiのカナル版といった印象であり,audio-technicaらしいクリアで上品な音が楽しめるだろう。もうひとつ気になったのが,JBL Reference 220。こちらも耳の中にすっぽり納まってくれそう。JBLのカナル型イヤホンというだけで聴いてみたくなってしまうが,その期待に反することなく,音質の評価もおおむね良好のようだ。(次回に続く…)これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン:新製品情報シーン別で選ぶデザイン家電!輸入CD・DVDのザ・ショックプライス:どこよりも安く提供!
2008年01月18日
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SENNHEISER HD25-1 IIULTRASONEのDJ1 PROと同じくDJ用ヘッドフォンだが,外見から音の印象まで,かなり異なる。廉価版のHD25-SPというものもあるので注意。以下HD25=HD25-1 II。 どちらも密閉型だが,HD25のイヤーパッドはDJ1 PROのものよりかなり小さく,耳全体を覆うことは出来ない。側圧がかなり強いため遮音性は高いが,その分DJ1 PROより装着感は悪く,私の場合1時間ほどかけていると耳が痛くなってくる。特にメガネをかけているとツルの部分がはさまれて痛いので,イヤーパッドの上にメガネをかける感じになる。ただ,その密閉度の高さの割には装着感は良いほうだと思う。また側圧は,ティッシュの箱などにかけておくことである程度調整できるだろう。 DJ1 PROのコードは左から出ていたが,こちらは右出し。コード長は1.5m。プラグは3.5mmステレオミニだが標準プラグへの変換プラグが付属する。2本のヘッドバンドはこのようにかなり開く。またDJ用のため片方のイヤーパッドを跳ね上げることができる構造になっている。構造はシンプルだが全体的にかなり頑丈なつくりになっており,少々手荒く扱っても大丈夫な印象。音は,DJ1 PROよりは「DJ用ヘッドフォン」と聞いて想像される音に近いだろう。低音の量は明らかにDJ1 PROよりも豊か。ただし,うるさすぎて他の音が聴きづらいということは全くなく,例えばFantastic Plastic Machineなどのハウスミュージックでも節操のある低音が心地良い。解像度も十分。Rei Harakamiの電子音もきれい。Jon Spencer Blues ExplosionやHerbie HancockのHead Huntersなど,やはりベースの存在感のある音楽にはよく合う。thee michelle gun elephantやPride & Gloryなどの激しめの音も低音過多に陥ることなく,バランスよく鳴らしてくれる。中でも今回色々聴いてみて特によかったのが,Presidents of the United States of AmericaのFreaked Out and Small。彼らの抜けの良い低音の魅力が存分に出ていた。低音以外の表現も悪くはないが,やはりクラシックやイージーリスニングなどではたいていHD25の良さが十分発揮されない。ただジョン・海山・ネプチューンのマリンバや押尾コータローのアコースティックギターなど,高音から低音までダイナミックに出ている音は気持ちよく聴くことができた。テクノやヘヴィなロックを楽しみたいときだけでなく,色々な音楽を低音に重点を置いて聴きなおしてみたいときにも幅広く活躍してくれるヘッドフォンだ。SENNHEISER HD25-1 IIはこちらこれまでにレビューした機器・CD一覧はこちらハイエンドヘッドホン特集:Joshin web【楽天ブックス】DVD全商品26%OFFキャンペーン中【楽天トラベル】11月の3連休に泊まれる宿
2007年11月04日
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KOSS SportaProは開放型の耳のせ型ヘッドフォン。写真のようにネックバンド型に変形させることもできるし折りたたむと結構コンパクトになる。この間とりあげたゼンハイザー PX100と同様イヤーパッドは安っぽいスポンジだが,装着感は悪くない。ただ可変型のため,すぐに形が変わってしまい,装着時にややわずらわしく感じる。その点ではPX100のほうが装着しやすい。PX100と同じ耳のせ型だが,音の傾向はかなり異なる。PX100には安いながらも原音を忠実に再現しようとする姿勢が見えるが,SportaProは原音を忠実に再現することよりも楽しく聞かせることを第一にチューニングがなされているように感じる。KOSSといえば以前その特異な低音表現と装着感の悪さが話題になり改造が流行した耳栓型,The Plugが思い出される。SportaProの低音の強調はThe Plugほどひどくはないが,どちらかといえばその系統の音といえる。解像度もそれなりだ。そのためクラシックやアコースティックなジャズには向かないが,ロックやポップスは気持ちのよい音で鳴らしてくれる。屋内で聴くよりも外で散歩しながらといった状況では最適なヘッドフォンの1つだろう。ただ音漏れはするので電車などでは使えない。特に乾いたアメリカンロックなどは時にとても魅力的な音を出してくれる。ロックを聴くのに最適なヘッドフォンとしてSENNHEISER HD25を買ったが,軽めのロックなど曲によってはSportaProのほうがしっくりくることも多い。ヘッドフォンでロックを聴くといえば,独特の暖かみのあるロックを聴かせてくれるというGRADO RS-1や,せめてGRADO SR325Iあたりもいつか聴いてみたいのだが・・・。KOSS SportaProはこちらこれまでにレビューした機器・CD一覧はこちらiPodだけじゃ物足りない!音楽プレーヤー&ヘッドホン特集【楽天市場】高音質CD:車屋本店【楽天トラベル】ANA楽パック(航空券+宿泊)ダイナミックパッケージで自由自在
2007年09月11日
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ゼンハイザー PX100今年の夏は夜でも蒸し暑い日が多く,クーラーで余程冷やしていないとヘッドフォンを使うにはつらい状況だったが,そんな中一番活躍したヘッドフォンはこれだった。ヘッドフォンで良い音を聴きたければやはりスタックスになるが,冬場ならまだしも,この時期にはなかなかかぶる気にはなれない。しかし夜など,どうしてもスピーカーで音を出しにくいことがある。そんなときにそれなりの音質と手軽な装着感を持ったPX100は重宝する。その形状から想像される以上の音は期待できないが,そこはさすがゼンハイザー,5000円台という値段以上の価値は十分にある上質な音がする。とにかくその軽さと耳のせ型特有の使い勝手の良さがありがたい。イヤーパッドは安っぽいスポンジだが,長時間つけていても疲れない。インナーイヤー型ヘッドフォンもこの時期に重宝するつけやすさを持っているが,PX100は耳に当てるだけな分,装着時の気軽さはさらに上だ。開放型で側圧も強くなくイヤーパッドが耳に当たっているだけなため,HD580などとは比べることもできない音だが,意外と低音も出ており,どんな音楽でもそれなりに鳴らしてくれる。映画鑑賞などで長時間装着しなければならないときなどにも役に立つだろう。コード長が1.4mと短めなので,私はヘッドホン延長コードを併用している。それなりに音が漏れるので,電車の中などでは密閉型のPX200が良いだろう。ゼンハイザー PX100はこちらこれまでにレビューした機器・CD一覧はこちらこだわりのオーディオアイテムヘッドホン:新製品情報【楽天トラベル】ANA楽パック(航空券+宿泊)ダイナミックパッケージで自由自在
2007年09月02日
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オンキヨー USBワイヤレスヘッドフォン MHP-UW1ヘッドフォンを使っていて,イヤーパッドとともに煩わしいのがコードだ。ちょっと動いて物を取ることができなかったり,椅子の脚で誤って踏んでしまい断線してしまったり,何かとストレスの元になる。そこでワイヤレスヘッドフォンが欲しくなってくる。一昔前のものは赤外線による送信が主流で,音質以前に角度を変えるとすぐノイズが入ったりしてあまり使い物にならなかったが,最近は無線LANと同じ2.4GHz帯のデジタル伝送のものが増え,音質もかなりよくなった。主にPCからの音声をワイヤレスで聞くためのものを探していた私にぴったりだったのが,ONKYOのMHP-UW1。これの一番の特長は,写真のように無線の送信部がUSB専用であることだ。つまりCDプレイヤーやテレビの音声などを直接聞くことはできない。しかしその分PCとの親和性は抜群で,USB端子に差し込むだけで特別なドライバは必要なく使え,PCでは新しいサウンドドライバとして機能する。この段階ではDA変換は行わず,デジタルのデータをそのままヘッドフォンに送っているだけだ。ヘッドフォン本体は全体的に安っぽい作りで,イヤーパッドも硬めの材質。装着感はあまりよくない。右のハウジングに電源スイッチとボリュームがついている。ボリュームが手元で微調整できるのはありがたい。左には電源の単3電池2本を入れる。ニッケル水素電池2本とUSB端子から給電する充電器が付属する。手に持つと,ヘッドバンド部が軽量なぶん電池や基盤が入ったハウジング部が重く感じるが,装着すると違和感はそれほど感じない。電波は10m程度は届く。届かなくなると急に音が消え,アナログ伝送のように徐々に雑音が入ることはない。少し場所を変えたり部屋を移動してもコードを意識しなくて良いというのは,ちょっと劇的とも言える快適さだ。ヘッドフォン本体でDA変換を行っていたりハウジング部がチープな作りだったりと,集中して音楽を聴くには物足りないヘッドフォンだろう。しかしPCで気楽にBGMを流したりDVDを見たりするにはMHP-UW1は最適なヘッドフォンの1つと言える。送信チャンネルを8チャンネルまで設定できたり再生時間も6時間と比較的長かったりと,完成度は高い。何よりコードフリーを手軽に体験できるところが魅力。他のワイヤレスヘッドフォンを探す!レビューした機器・CD一覧はこちら
2007年08月06日
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SAMSON S-CLASS Series 4ch ヘッドフォンアンプ S-ampいったんヘッドフォンに凝りだすと,比較的安価にそのバリエーションが楽しめることもあり,その数はどんどん増えていくことになる。そしてヘッドフォンをCDプレーヤーやヘッドフォンアンプのヘッドフォン端子にとっかえひっかえ挿しこんで,その音を聴き比べることになる。(そして家の者からは白い目で見られるようになる…。)そこで気になるのが,ヘッドフォンプラグと端子の劣化だ。いったん取り付けると外すことの少ないピンプラグなどと比べると,その抜き差しの頻度はずば抜けて高い。メーカー側もそれなりの対策をしているだろうとはいえ,何となく気持ち悪い。ラインセレクタやスピーカーセレクタはLUXMANの比較的高品質なものでも安価に手に入れることができるので,ヘッドフォンもこのように切り替えられるものはないか探した。しかし,技術的には容易なはずなのだが,どうも需要がないらしく,製品化されたものは見つけることができなかった。自作できる方は簡単に作ってしまうのだろうが,私にはとても無理…。そこで安価なヘッドフォンアンプ,S-ampを購入することに。これは内部に増幅回路を持つが,妙な味付けなどせず素直な音を出すという評判だった。私はSA-15S1やDX71 mkIIのヘッドフォンアンプの音が気に入っていたので,興味はありつつも,単体のヘッドフォンアンプを新たに買うつもりはなかったのだが,これはヘッドフォン端子が4つもありセレクターとして使えそうだと思った。値段の割りに作りはかなりしっかりしており,ボディの青い光沢がなかなかキレイ。ちなみに「SAMSON」と聞くとほとんどの人は韓国のサムスン電子(SAMSUNG)を連想すると思うが,SAMSONはアメリカの音響機器メーカーでSAMSUNGとは何の関係もない(まぎらわしい…)。大きさはインテリマウスオプティカルより少し大きい程度。しかし結構な重さがありゴム製のしっかりした足がついているので,ヘッドフォンを4本つなげてもぐらつく心配はない。電源は付属のACアダプターからとる。ボリューム調節はヘッドフォンごとにできる。難点はボリュームがヘッドフォン部の向かい側にあるため,慣れるまでややボリューム調節がしづらいこと。また電源ボタンがないので,通電しっぱなしが嫌ならコンセントを抜くなどする必要がある。それと,CDプレーヤーなど音源部とつなぐヘッドフォンケーブルが付属しないので,先端がそれぞれ6.3mmステレオオスのケーブル(楽器店などにある)が別途必要になる。音は評判どおり素直な印象で,妙な味付けなどは感じない。ただCDプレーヤーやDACのヘッドフォン端子に直に挿すときに比べると,やや音が痩せるような感じはあるが,十分許容できるレベル。少なくとも各々のヘッドフォンの特徴は十分に残してくれるので,特に異なるインピーダンスのヘッドフォンを同じ音量ですばやく切り替えて聴き比べたいような時などには重宝する。しかしオーディオテクニカあたりが純粋なヘッドフォンセレクターを出してくれないかなあ。ヘッドフォンをたくさん持っている人はけっこういそうだから,少しは需要もあると思うんだが。レビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン&スピーカー購入ガイド:機能,タイプ別にチェック!快適な音楽生活を体感しよう|こだわりのオーディオアイテム:スピーカー、アンプ、ヘッドホンなど迫力のサラウンドを味わえる商品が勢揃い!|注目アイテムピックアップ!カナル型イヤホン&音楽プレーヤー特集
2007年08月03日
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ULTRASONE ウルトラゾーン DJ1 PRO世界的に著名なプロDJの協力の元に開発したという密閉型ヘッドフォン,DJ1 PRO。販売店のホームページには実際に使用しているDJによるレビューが並んでいる。電磁波を90%以上抑えるという「ULE」技術搭載。またヘッドフォンの宿命,脳内定位を抑えるというULTRASONEおなじみのS-Logicも搭載。しかし私はこれらに魅力を感じてDJ1 PROを選んだわけではなかった。私のような不器用がまさかDJプレイをしようというわけではないし,経験上「だれそれも愛用してます!」という類の宣伝はあまり信用しないことにしている。電磁波云々も四六時中着けるわけではないので気にしないし,脳内定位が気になるならスピーカーを使うのでS-Logicにもあまり興味がない。選んだ大きな理由は,膨大な比較レビューのあるHe&Biのヘッドホンサイトさんをはじめ色々なところで,打ち込み系の表現が得意なヘッドフォンとして名前が挙がっていたからだ。ヘッドフォンをいくつか試していると,解像度など総合的な面ではスタックスなどに及ばないものの,この音を聞くにはこのヘッドフォンが一番しっくりくる,という経験をする。He&Biさんのところの「曲別HP探索」では曲ごとに最適なヘッドフォンを挙げられていて興味深い。打ち込み系の音は割合安いヘッドフォンでもそれなりの音が出るものだが,数あるDJ用ヘッドフォンの中でもこの名前を良く聞くのは何かあるのだろうと思い,試聴もせずに購入。(こういった海外のヘッドフォンは試聴が困難なのが難点…)大型のイヤーパッドが耳をすっぽり覆うので,装着感はなかなか良い。DJが長時間着けても不快にならないよう工夫がなされているのだろう。ただオーディオテクニカの高級ヘッドフォンよりは劣るといったレビューもある。耳の大きい私は,オーディオテクニカのヘッドフォンはイヤーパッドの内側に耳が当たることが多く敬遠しがちだが。このあたりは各人の耳の形や感覚により異なるだろう。ロゴデザインは地味な私にはあまり合わない(笑)。別に外で使うわけではないので問題ないが。商品ページにあるように,交換イヤパッドやボリューム付きコード(通常のものと交換して用いる)など付属品も充実している。それで音だが,DJ用ということでブリブリ出る低音を予想したが,意外と上質な低音が出る。音場はS-Logicのためかなんとなく操作されている印象は受けるが,打ち込み系には一般に好感の持てる結果になる。シンセの響きはこのヘッドフォン特有の美しさを持っており,レイ・ハラカミなどのエレクトロニカには最適だ。一方,テクノやハウスなどはもっと低音が出たほうが気持ちいいと感じる場合もある。張りのあるボーカルも良いので,打ち込み主体の最近のロックやポップなどにもよく合い,私にとっては活躍する場面が多いヘッドフォンだ。なおULTRASONEにはDJ1というヘッドフォンもありまぎらわしい。私は未聴だがDJ1のほうが7000円ほど安価であり検討する価値はある。この方が両者の詳しい比較記事を書いておられる。これまでにレビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン:新製品情報ボーナスフェア2008! 【DJ機材専門店 PowerDJ's】【楽天トラベル】夏休み特集2008
2007年07月29日
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ノイズキャンセリングヘッドホンのBOSE QuietComfort 2は,あまり使う機会は多くないが,私にとってなくてはならない存在だ。主に屋外で使用するので,専用のハードケースに入れて持ち歩く。肩にかけるバンドも付属する(私は使わないのでなくしてしまったが…)。ケース裏には説明書等が入るポケットがある。(写真はクリックで拡大します)イヤーカップは折りたたんで収納できる。ハードケースにはイヤーカップを固定する突起がある。私は主に飛行機で移動するときにこれを使うが,そのときにありがたいのが変換プラグ。これで機内のあの聴診器のような,すぐに耳が痛くなるヘッドホンを使わずに,映画や音楽を楽しむことができる。黒いポーチはマジックテープでハードケース内にくっつく。ヘッドアーム部に「Engineered in USA. Assembled in China.」とある。全体的にしっかりした作りだが,プラスティックの本体は4万円のヘッドフォンとしてはややチープに感じられる。しかしこのヘッドフォンで何よりすばらしいのは,その抜群の装着感の良さである。構造の妙もあるのだろうが,この肉厚のイヤーパッドが耳に心地良くフィットし,メガネのツルが挟まって痛くなることもない。ノイズキャンセリングの電源スイッチは右ハウジングにあり,これをONにしないと音は出ない。ノイズキャンセリングのためだけに使用できるよう,プラグは着脱式になっている。そのプラグ部にキャンセリングの感度を調整するスイッチがついており,ポータブル機やPCなどと接続するときは「HI」に,ホームビデオや航空機内のソースを使用するときは「LO」に設定するように指示がある。電源は単4電池1本で,連続使用で約35時間もつ。電池があるぶん右がやや重いはずだが,それはほとんど意識することはない。見た目よりはずっと丈夫で壊れたことはないが,電池の取り出し部やプラグ部などもう少し高級感があってもよいのに,とは思う。しかし2003年の登場時はそのノイズキャンセリング能力の高さで他を圧倒していた。またその装着感は,私の所有するヘッドホンの中でもっとも良いと感じる。音質としては,ノイズキャンセリングでない4万円台の他の高音質なヘッドホンと比べることはできないが,どのジャンルでも気持ちよく鳴らしてくれる。やはりネックは値段だろうが,私は飛行機のビジネスクラスにこれなしで乗るよりは,エコノミークラスでもこれを着けて乗るほうを選ぶ。ただ,扱っているのは直販サイトか直営店だけだ(もっとも,最近ではAppleストアなどでも販売されているようだ。下のあきさんのコメント参照)。SONY MDR-NC60 \15,540~2003年に出ていれば必ず選んでいたであろうヘッドホンがこのMDR-NC60。私は触ったことがないが,さすが国産,このあたりのレビューを見る限り装着感はQuietComfort2にひけをとらない出来のようだ(もっともSONYでもMDR-CD900STはひどい掛け心地だが…)。また「MDR-NC60はテレビのボリュームを下げるように、自然な感じでノイズを全体的に軽減する」というノイズキャンセリングの特性も,QuietComfort2に近いものを感じる。QuietComfort2はノイズをゼロにしようとするのではなく,飛行機の轟音の中でも自然に音楽を聞こえ易くしてくれる感じなのだ。これでこの値段なのだから,BOSE QuietComfort2の地位も危ういといえるだろう。また,今ならコンパクトで軽くなった「QuietComfort3」もある。こちらでは海外の旅行者向けに,1日350円でレンタルできるようだ。頻繁に使うことのない人には賢い選択かもしれない。試聴目的で借りるのも良さそう。レビューした機器・CD一覧はこちらヘッドホン&スピーカー購入ガイド:機能,タイプ別にチェック!快適な音楽生活を体感しよう|こだわりのオーディオアイテム:スピーカー、アンプ、ヘッドホンなど迫力のサラウンドを味わえる商品が勢揃い!|注目アイテムピックアップ!カナル型イヤホン&音楽プレーヤー特集
2007年07月18日
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SONY インナーヘッドホンNUDE MDR-E888LPHD580やスタックスなどのオーバーヘッド型のヘッドホンは,確かに音は良いのだが,この時期はとにかく蒸れる。よってどうしてもスピーカーで聴くことが多くなる。しかし,いくらニアフィールドリスニングとはいえ,夜間などは騒音になっていないか気になり,あまり大きな音は出しづらいものだ。そんな時に便利なのがイヤホン。今カナル型のイヤホンが人気だ。耳に詰め込む密閉型で遮音性が高く,その分音質的に有利である。おすすめはこのあたりで,左から,独特な形で話題になったSONY MDR-EX90SL,プロミュージシャンがよく使っているというSHURE E5c,補聴器メーカーが開発し昔から大変評価の高いEtymotic Research ER-4S,STAXの出したSR-003(ドライバーが別途必要)。私はSR-003しか所持していないが,さすがにSR-007などとは比べられないものの,サイズを超えた解像度の高い音を体験できる。安いカナル型イヤホンを探す!しかしこのカナル型は耳栓のように耳に詰め込む必要があるため,装着がどうしても煩わしくなる。一方,もっと気楽に使えるのがインナーイヤー型ヘッドホンだ。ポータブルオーディオなどを買うと大抵付属品としてついてくるタイプのヘッドホンである。音質はある程度妥協せざるを得ないが,何よりサッと使えて煩わしくないのがうれしい。このタイプで私が長年愛用しているのが,冒頭のMDR-E888LPだ。SONYのインナーイヤー型の最上位として10年以上生産され続けているヘッドホン。しかし6000円程度で買える。振動板としてバイオセルロースというナタデココに似た植物性繊維を用いているのがユニーク。開発者は食べたらしい。そういえばこの間NHKのサラリーマンNEOには社員の耳型を取るために奔走するSONYのヘッドホン開発者が出ていたが,ヘッドホンの開発も大変なんですね(笑)。音は最初はかなりドンシャリだが,リンク先にもあるようにエージングでかなり変化し,使い続けるとバランスの良い音になる。ポータブルオーディオにも良いが,高音質のCDプレイヤーやDACにつなぐとそのポテンシャルに驚かされる。型番MDR-E888LPのLPとはLong Plugのことだが,これはコード長40cmでリモコン使用前提のMDR-E888SPに比べて長いというだけで,LPでもコード長は1.2mしかなく,オーバーヘッド型のコード長に慣れた私には短く感じる。そこで,私はやむなくSONY ヘッドホン延長コード1.0m RK-G111S-Bを使っている。音質の劣化は避けられないが,もともと利便性を優先してこれを選択している以上仕方ない。あくまでインナーイヤーでMDR-E888LPとは違った音質を楽しみたいならaudio-technica ATH-CM700TIがおすすめ。私は前のモデルのATH-CM7Tiを使っているが,MDR-E888LPとは傾向の異なる,クリアで美しい高音が聴ける。ただし装着感は,私にはMDR-E888LPのほうがしっくりくる。ハウジングにチタンを用いていることが売りだが,そのため重さや硬さが気になることがある。しかしATH-CM700TIになって軽量・スリムになり装着感が向上したということである。私は未聴だが,2000円以下と格安ながら音質が良いと評判のPhilips SBC-HE580。この価格帯でもいろいろと個性があり,選ぶ楽しみがある。ただインナーイヤー型は基本的に音が漏れるので,電車の中などでの使用には不向きである。安いインナーイヤー型イヤホンを探す!レビューした機器・CD一覧はこちら
2007年06月30日
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ヘッドホンのシステムに30万かける,というのは,ほとんどの人にとっては信じがたい所業だろう。しかし,スタックスの中堅システムを聴けば「この音で中堅なのか・・・」と驚いてしまう。まして私のようにヘッドホンからスピーカーにまで手を拡げ,ひょんなことから完全にドライブされたオリジナル・ノーチラスの圧倒的な音と,これまた圧倒的な値段に打ちのめされてしまうと,「30万で最高峰が手に入るヘッドホンって,いいなぁ・・・」などとつい考えてしまうのだ。音についてだが,まず低音の量に驚く。HD25などのノリの良い低音とは明らかに異なる,響きの良いホールでのチェロのコンサートで聴ける心地よい低音と言えば良いか。真空管のドライバーということもあり弦楽器の響きはSRS-3030と比べてもさらに美しさを増している。なおリンク先はSRM-007tAだが私は旧型のSRM-007t所有。もちろん万能というわけではない。クラブ系などは大抵HD25やDJ1 PROなどのほうが気持ちよく聴ける。(SR-007でもおもしろいけれど。)また,少し重い。私は1時間ほどで首が痛くなる。だが,音源や環境によってそれぞれに向き不向きがあるのは仕方ない。例えオリジナル・ノーチラスであっても万能ではない。(だいたいアンプが8個も必要なんて,電源入れるだけで大変だ。)それでも,このシステムにしか出せない音というものはある。是非一度その音を体験してほしい。こちらに試聴できる店一覧がある。レビューした機器・CD一覧はこちら
2007年06月17日
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高音質ヘッドホンを考えるとき,スタックスを避けては通れない。ヘッドホンのメインストリームであるダイナミック型ではなくコンデンサ型(静電型)のヘッドフォンを頑なに追求してきたスタックス。しばしば「ヘッドホンの最高峰」と言われるため刺激的な音を想像している方には,もしかしたら拍子抜けするほどに「つまらない音」に聞こえるかもしれない。このシステムは特に「中庸」の音と表現されることが多い。しかし音源(特にクラシック)によっては,ダイナミック型ではなかなか体験できない空気感のようなものを感じさせることがしばしばある。接続に関しては少し注意が必要だ。コンデンサ型ヘッドホンはヘッドホン端子に直接つなぐことはできず,必ずライン出力から専用のドライバを経由しなければならない。なお,リンク先のSRS-3050Aは私の所有するClassic SysytemII(SRS-3030)がモデルチェンジしたものだが,ドライバーがよりバランスの取れたものに変更され,さらに高い評価を受けているようだ。レビューした機器・CD一覧はこちら
2007年06月17日
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オーディオに興味を持つきっかけとなった,思い出深いヘッドホン。それまではMDR-CD900STで音楽を聴いていたが,それに比べてまず装着感が良さ,自然で広い音場と,刺激的でなく心地よい音質に感動した。これとM-AUDIO Audiophile USBは,パソコンの利便性とピュアオーディオの高音質の両立の可能性を私に感じさせてくれた。同じユニットを用いているヘッドホンにSENNHEISERのフラッグシップだったHD600があるが,現在ではHD650が新たなフラッグシップとなっている。レビューリンク:ヘッドホン ナビさいたまAudioHeadphones Kingdomヘッドホン紹介ページ(HD600のレビュー)レビューした機器・CD一覧はこちら
2007年06月17日
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