シングルな子育て♪

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母へ







私は母とはずっと仲が悪かった。
私も母もものすごく気が強くてわがままなので合わないんだと思っていた。
小さい頃からどこか子供より自分中心な感じに思えた。
自分の服はたくさん持っていて買い捲るくせにわたしには全然買ってくれない・・・ほとんどが兄貴のおさがりだった。
子供は新しいモノが大好き。
女の子はおませなのでヒラヒラとしたスカートが大好き。
兄貴のおさがりを着ることがとてもはずかしくて悲しく思えた。
上履きや体操服なんかもお下がりだと悲しくなってしまう。
今でこそ節約してお兄さんやお姉さんのお下がりを使いまわす家庭が増えているかもしれないけど、あの頃はまだバブルがはじける前で景気の良い時代。
おさがりを使ってるお友達はほとんど居なくてお裁縫セットなんかも新しいものを注文用紙に書いているクラスメイトをうらやましく眺めていた。
私が幼稚園から小学校くらいの時はリカちゃん人形なんかが流行っていた。
ほとんどの女の子が持っていて母にどうしても欲しいんだと頼んでも『そのうちね。』と片付けられてしまう。
兄貴は親戚中で初孫だったのでおばあちゃんにはとてもかわいがられていた。
おもちゃなんてかなり買ってもらっていた。
でもそのおもちゃも勝手に使うと怒られる。

なぜか母に遊んでもらった記憶がほとんどない。
よく絵本を読んでもらったり、人形で一緒に遊んだり公園で遊んだり・・・
よく聞く風景を思い出せない。
母はわたしが4歳の頃から仕事をしていた。
特に土曜、日曜、祭日は忙しく働いていた。
いつもイライラして怒っていたように思える。
私は喘息持ちで身体が弱かったが具合が悪く泣いていると兄貴にうるさいと殴られた。
母は仕事から帰ってくると『また具合が悪いの?!』と怒っていた。
夜中に吐いたりすると叩かれたりもした。
小学校で具合が悪くなって先生が母に向かいに来るように言うと『仕事があるので行けません。』と言うと先生はものすごく母に激怒したのを覚えている。
そんな会話を横で聞いていて悲しくて泣いていた。
わたしなんて産まれて来なきゃ良かったんだ・・・。
いつしかそう思うようになっていた。

はっきり言って家族が嫌いだった。
だた一緒に住んでいるだけでまとまりの無い家族・・・。
みんなが自己中心で勝手に生活している。
私は親に要求するものがなくなっていった。
求めるものがない・・・。
そして居場所がない。

親が自分中心に考えているなら私もそうしよう。
自分が楽しむことだけを考えていこう。

中学に入ってからやりたい放題やってきた。
親とは戦いの日々だった。
顔を見合わせれば喧嘩ばっかりだった。
母が泣いたりすると胸がスッとするとさえ思った。
私が悲しかった思いを少しは味わえばいいんだ。

もちろん母とはどんどんすれ違い話なんてまったくできる状態じゃなかった。
私が自分で自立するまで母を嫌っていた。
自分で自立するようになると母にも生活があり母として妻として大変だったんだなと思えるようになってきた。


結婚すると自分の人生にあきらめが出てくるのか私もかなり穏やかになってきた。
母に多少の事を言われてもイライラしなくなってきた。

自分に子供が産まれた今となっては母にとても感謝している。
小さい頃身体が弱くて随分嫌な思いをしてきたけど世の中には身体の不自由な人がたくさんいる。
そんな人たちに比べれば私はとても幸せだ。
目も見えるし耳も聞こえる好きなように歩くことも出来るし自由に恋もできる。
人間普通に暮らせることが一番幸せなのだ。
欲を言えばもう少し美人に産まれれば言うこと無いのだが自分の人生にそれなりに満足しているので善しとしよう。

今は母とはとても仲良しだ。
私が妊娠してからグッと距離が縮んだように思える。
私の息子がそうさせてくれた様に思う。

里帰り出産で実家で過ごしていた時はとても楽しかった。
毎日母と買い物に行ったり洗濯をしたり犬と遊んだりゲームをしたり・・・
小さい頃遊べなかった分を取り戻したかのようだった。
母が私の体を気遣ってくれたので楽しくとてもらくをして過ごすことができた。

23歳で子供を産んだ母はまだ若くて生活がとても大変だったのだろう。
自分が親になって初めて母の気持ちが分かるような気がした。
母にも息子にも本とに感謝したい。
息子のおかげで私は母になることが出来たし親の気持ちがわかるようになった。
息子が産まれてきてくれたから母や父に孫を抱かせることが出来たのだ。
お父さんお母さん私を生み育ててくれてありがとう。
息子よ、産まれてきてくれてありがとう。
その他夫や夫の母や親族の方々にも色々心配して頂いてありがたく思っています。


里帰りで4ヶ月近くも一緒に過ごしたこと、私の宝ものです。
ここ15年ほどまったく話したことのなかった父ともたくさんお話することができました。
自宅に帰ってきて息子と二人でいると寂しくて涙が出ました。

これからも身体に気をつけて長生きしてください。

またいつか一緒に暮らせる日がくるといいね。



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