たゆたひ

たゆたひ

世界は美しくなんかない


時雨沢恵一著(電撃文庫)

『世界は美しくなんかない』
初めて読むと、この言葉には衝撃を受けると思います。

キノの旅は、キノをヒロインとし、彼女を主に、ある時はキノの師匠、ある時は知り合いが様々な国を訪れるお話。
もちろん、一つとして同じ国はなく、一人として同じ人はいない。

1つ1つのお話は、そんな、様々な人の持つ独自の『世界』を垣間見ているような気になれます。

人の生き方に正解がないように、人の思想に正解はなく、限りはなく、そして、それ故に美しくなんかない。
でも、また、そんなところが美しくて、人が人をひきつける理由なんじゃないか、と、そういうことなんじゃないでしょうか。

と、まぁ、分かったような口ぶりですが、やっぱり、人が一番理解できないのって、自分のことや、他人のこと、つまるところ、『人』のことですし。



キノの旅は、巻数も多いですし、1冊が短編集のようなものなので、話数でいうと、結構な数があると思います。
でも、その話は全て、一話完結。また、時間軸がバラバラに1巻につまっていることから分かるように、どの巻のどの話から読んでも、数ある話の中、1話だけ読んでも理解できる、楽しめる。
そういうところも、この本の魅力なんじゃないでしょうか。

時間軸にとらえどころがないのは、混乱するんじゃないか、とお思いの方、そんなことは決してないですし、また、時間軸がバラバラであるが故に、キノの師匠が旅をしていた時の話も楽しむことができます。

いく先々で出会う、少しおかしくてそれ故に愛しい、そんな人々とキノの出会いのお話。
キノと、その相棒エルメスとの他愛ない会話、少し理不尽で天上天下唯我独尊な師匠とその弟子の旅、そしてそんな師匠を少し受け継いでしまった、キノの多少無理のある行動、etc

魅力が盛りだくさんで、常に笑いを誘い、それでいて涙も忘れない。
そんな魅力的な旅を、どうぞ皆様も。

ってワケで、キノの旅の書評(というか、感想)でした。



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