たゆたひ

たゆたひ

ストーカー被害




「ぁ、やぁっ!!」
「かーわいー、ラブちゃん」
咄嗟にあげた反抗の声に、目の前の男は、くつくつと、それはもう楽しそうに笑ってみせた。普段垣間見る非道さからも窺がえるが、正真正銘のサディスト。ヘタな抵抗は相手を煽るだけだろう。まぁ、そんなもの。目の前の男だけに留まらず、他の男をあげても、だいたいに当てはまることだろうが。

「ぁあっ、ちょ、やめてょ!そんなの入らないから!っやぁ!」
とはいえ。条件反射のように口をついて出る声は、抑えられるものでもない。
「だーいじょうぶだって」
予想通り、私の反応に目の前の男はますます、笑みを深くした。

「あぁぁぁっ!!」
「うっし!俺の勝利!」
「っー!もうっ!どうして、あそこで必殺技なんて出すのよ!」
目の前に映る画面、女の操っていた、2Pのキャラが死んでいる。

「やー、ラブちゃんったら、防御弱いよねー」
「アンタのフェイントがうますぎるの!絶対、入らないって思ったのに!」
「クリティカルヒットだったもんねー」
男はニヤニヤとして、女の肩に腕を回すが、ぺち、とその手を払われた。

「負けたらバツゲームがルールでしょ」
「明日も仕事なんだから、早く寝たいの!そうでなくても、何が悲しくて、こんな夜中に格ゲーなんて……」
「んじゃ、明日の仕事は先延ばしにしてー」
「あのね?」
女がじろり、と男を睨み上げる。

「別に、うるさい上司がいるわけでないし、どっかの組織に所属してるわけじゃないし。好きなときに仕事して、好きなときに、それをサボる。それが、俺らのスタイルだしょー?」
「私、予定を変えるの、きらいなの」

「知らなーい。どっちかっつーと、俺がラブちゃんの上司だし。それにー、ラブちゃんのあぁいう声聞くと、もう止まんないから」
「……あぁいう声?」
「知らないの?ラブちゃん、格ゲーに集中すると、すっごい喘ぎ声だすのに」
「そんなもの、出した覚えないわよ!?」

「えー無意識だったんだ?誘ってるのかと思ってた」
「っ!だから、アンタは毎日毎日、私の家に押しかけて、格ゲーばっかりさせてたのねっ!?」
「あ、バレちゃった?」
男は邪気のない笑顔(その実、言葉には邪気が篭もりまくりだが)で微笑む。

「っ!私、自分の武術に遠まわしに文句言われてるのかと思って!」
「えーそんなこと、ないない。ラブちゃんのケンカ、すーっごく痺れるって!」
「だって、アンタが防御ができないとか言うから!」
「やー、実際、全然そつないから大丈夫だって」
軽快な笑い声をあげて、男が笑う。

「っー!!もう!さいってい!!」
「えー、ちょっと待ってよ。俺、ラブちゃんに嫌われたら生きてけないー。俺、悩みすぎてハゲちゃうよー」
「その前に私の悩みを解消してちょうだい!」

「え、何々?気に入らない人間が居たら殺すけど?」
女の言葉に、男は目を輝かせる。
「私の悩みは、ストーカー被害よ!」
「ぇ、マジで!?あー、だから、最近、住む場所コロコロしてたんだ?」
「アンタ、2日とあけず、私の家に来てたけどね」
「え、別に隠してたわけじゃないんでしょ?」
「私の能力全てを使って隠してたはずだけど」
「え、そーなの?ごめん、察してあげられなくて。そこそこ、探すの苦労したよ!」
今更言い直しても、無駄だ。ヘタな言い訳よりタチが悪い。

「で、俺は誰を殺せばいいの?ストーカーって誰?」
男の言葉に、女は、それはもう、きれいな笑顔で笑う。

「あんたよ。アンタ。今すぐ自殺してちょうだい!」
そして、きっ、と男をにらみつけたかと思うと、ばしっ、と足に吊っていた銃を男に向かって投げつけた。




ーーーーーーー
えー。とりあえず、すんません。
期待してくださった方、今回はこういうノリで。。。
いや、一回だけやってみたかったんです、最初のノリ!!
許してください。。。

次から、普通のに戻すんで。いつもどおりの、ちょっとダークな話をもってきますんでー(ぇ
お目汚しすんません。さっさと、次の短編書いてアップします。土下座。


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