イスラエル(ユダヤ)料理
イスラエルという国について、何も知らないという人はあまりいないでしょうが、それでは何を知っているか、と考えてみると、たいして知らないということに気が付きます。
今回料理をしてくださったリンダ・ダートナーさんは、よくカナダ人に「ユダヤ人と知り合いになったのは初めてです」といわれるそうです。でも、彼女はいつも、「そんなことはないですよ、ユダヤ人は、むやみに自分の出身を言わないだけで、けっこうたくさんいるものです」、と答えるそうです。
出身を言わないのは、なにも言いたくないわけではなく、言いようがない人が多いからだそうです。一口にユダヤ人と言っても、世界中に散らばっていた人達が、現在でも続々と移民してきており、そのために多くの人種と習慣が入り交じり、大変にバラエティに富んでいます。彼らを一つに結び付けているのは宗教で、それ以外は「何でもあり」。特に最近は出身地や習慣による隔たりがなくなってきているとのことです。
リンダさんはイスラエル生まれのカナダ人で、7歳から高校卒業までをカナダですごし、大学はテルアビブ、そして結婚後、親元のカナダにもどってきました。
お母さんが東欧系のユダヤ人(アシュケナジック)で、お父さんがスペイン・アフリカ系のユダヤ人(セファルディック)なので、両方の伝統を受け継いでいます。人種的には東欧からトルコまで、いろいろ混ざっているそうです。一族が集まるとき、みんなが話せる言語の数はいちいち数えてなんかいられないほど、とのこと。共通語として、英語とヘブル語が使われるそうです。
宗教的にはあまり厳格ではない、「普通のイスラエル人」なので、ここでも材料はマーケットで普通に買えるものばかりを使っています。本来ならば、コシェールといって、ラビ(祭司)の監督のもとに、宗教的に禁止されたものを使わずに作ったという証明のある物しか使えないのだそうです。また、乳製品と肉をいっしょに料理せず、鍋まで別にするのが本当だそうです。
ブレカス Bourekas
冷凍のパイシートがあれば、あっけないほど簡単です。買い求めるときは、パイ皿の形になっているのではなく、かたまり(またはシート)のものを求めるよう注意してください。イスラエルでは、ブレカス専門のファストフードのチェーンがあって、中身もチーズのほかに、ほうれん草などいろいろあるそうです。元来セファルディックの料理ですが、今ではどこでも、おもてなしには欠かせないものとなってしまったほどポピュラーな一品。
【材料】
冷凍パイシート 1箱 (約400g)
卵1個
ほぐしたフェタチーズ 50g(1/4カップ)
カッテージチーズ 80g(1/3カップ)
【作り方】
1. 冷凍パイシートを半分に切って、麺棒で一辺が30cmの正方形にのばし、9等分しておく。(1枚10cm四方)
2. ボールに卵を割りいれ、軽くほぐす。チーズを2種類とも入れてよく混ぜる。
3. オーブンを200℃(400°F)に温めておく。
4. パイシートを手のひらに取り、フィリングを小匙1杯程載せて、三角になるように二つ折りする。必要ならば水を少しぬって、へりを指で押さえて閉じる。この時なるべく空気が入らないようにする。
5. 残りのパイシートも同じようにして、全部で18個作り、天パンにブレカスを並べる。間隔はあまり開けなくてもよい。
6. 200℃のオーブンで20分から25分焼く。うっすらと焼き色がついたら出来上がり。
イスラエル風サラダ Israeli Vegetable Salad
これも、とても簡単でシンプルな一品。それだけに食卓に登場する回数も多いそうです。料理は簡単で美味しいのにこしたことはありません。なぜかレタスが入らない、というのが特徴といえば、特徴かもしれません。
【材料】
きゅうり200g
トマト2-3個
緑ピーマン1個(日本のならば2-3個)
赤ピーマン1個
レモン半個
オリーブオイル 大さじ3
パセリか、ディルウィードか、万能ねぎ(グリーンオニオン)少々
【作り方】
1. きゅうりとトマトとピーマンは1.5cm角の賽の目に切る。分量は好みで変えてかまわない。ガラスのサラダボールに入れる。
2. レモンを絞り、オリーブオイルと混ぜて野菜にかける。
3. パセリかディルウィードか万能ねぎを刻んでふりかける。
ヨーグルトチーズ Labaneh
どうしてこういう味になるのか不思議な一品。種もしかけもありません。ただ、ヨーグルトを選ぶとき、原料のところを見て、ゼラチンの入っていないものを選んでください。日本で買えるブルガリアヨーグルトのような、バルカンスタイルのものが適しています。
【材料】プレーンヨーグルト500g
【作り方】
ボールに漉し器を置いて中に布巾を敷き、ヨーグルトを入れる。覆いをかけて8時間(一晩)室温で置いておく。冷蔵庫に入れておくと、マイルドな味のものが出来る。
煮込み卵 Huevos Haminados
基本的には長時間ゆでた卵、というものです。けれども、卵の白身はうっすらと茶色く変色し、独特の風味があります。スペイン語風の名前がついている、セファルディックの料理。安息日に料理をしないため、前日に仕込んでおいて食べるまで保温しておくという料理法です。ここでは、より確実に色をつけるため、タマネギの皮を使うやり方を紹介します。
【材料】
タマネギの皮6個分(カップに3-4杯)
卵 大8個 ひび割れのないもの
塩 小さじ1
水 2リットル
オリーブオイルかサラダオイル 大さじ2
黒こしょう 小さじ半分
【作り方】
卵が一段に入る鍋に、タマネギの皮の半量を敷き、卵をのせる。残りの材料を入れて沸騰させ、蓋をして、ごくごく弱火で6時間、または一晩保温する。
この四品で朝食か昼食になります。それではBeteavon(ベタヴォン)!(ヘブル語でボンアペティ!)