NOVELS 3枚目



 そうこうしている間に携帯会社のほうから電話がきて機種変もできる状態になったため、その新しい機種のほうへと操作を始める笑次。ものの数分で機種変の作業も済んでしまうので、もうちょっと話したいと思っていた彼としては少々もの足りなさを感じていたけども、まあこうして話もできたことだしと思って、機種変作業を完了させ、瞳のほうに「これで終わりだから~もうすぐに使えるよ~」と言って手渡し、「値段は機種変だからあんまりまけれないけど、ごめんね。この値段だよ。」と電卓に表示させ瞳に見せた。「機種変だから値段は下がらないのはわかってるから~どうもありがと。」と言って瞳はお金を笑次に渡した。「じゃあね~また電話するから~あっメールのほうがいいのかぁ~」と告げて瞳は店を出ていった。

 こうして何年かぶりの再会はひょんなところから始まった。笑次はなんかうれしい気分になり、にやけているとそこに哲也が接客を終えてやってきた。「おい。さっきの君が携帯やってた人なかなかいい感じだったなあ~」と哲也は切り出した。「うん。あの人ね、俺の高校の同級生で好きだった人でもあったんだ~」笑次はそう言うと、書類の整理をし始めた。しかし、よく見てみると笑次ぐらいの20代後半の女の人は大半は結婚して名字が変わっているんじゃないのかなと思ったが、瞳は名字もそのままだった。(まあいっか~)と契約書類をファイルにつづっておいた。哲也は「よ~今日呑みにいくよな~」と先ほどの約束を思い出したように、誘ってきたので「いいよ~行こう~」ということで、閉店後の予定はこれで決まった。彼らのだいたいこういった時のスケジュールは7時半ぐらいから居酒屋でほろ酔い気分になった後、カラオケのパターンが暗黙の了解となっていた。

 そして、店も閉店の時間となり、精算を済ませ足早に二人は居酒屋へと向かった。丁度この日は定休日の前の日ということもあり、今日はけっこう呑もうかなと二人とも思っていた。ただ笑次はあの瞳のことを少し考えていたこともあり、このことを少し哲也に話そうかなという考えも持っていたようだ。居酒屋へ着くとまあほどほどの人がいるようで、サラリーマンやらOL風の人達、あとは大学生だろうか。まあいろいろ話すにはいい感じの店内であった。この二人、どっちかというと笑次のほうが酒に強く、哲也はつきあい程度。呑むものも笑次は日本酒やらビールやらなんでもいけるのにたいして、哲也は軽いものが主流であるらしい。

 よく、こういったところでは定番の「とりあえず生中…」二人ともそう言っていた。


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