旅の途中、寄り道の日々

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魔法少女「藤崎 歩」第5章「強弱」



無断転記禁止です。

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では、「魔法少女『藤崎 歩』第5章『強弱』」始まります。





『ケンカ』・『喧嘩』それは野蛮なやつらがやるもので俺には一生縁がないものだとと思っていた。

もちろん人を殴ったこともない。それに親以外の人に殴られたこともない。

この先もないと思っていた。

いや、厳密に言えば殴られたことはまだ一度もないのか。

俺は始めての『喧嘩』いやあれはそんなもんじゃなかった非現実的過ぎる『戦闘』というにふさわしいだろう。

俺は爪で刺された。そして蹴った。

初めて蹴った生物が化け物とは。

夢にも思って見なかった。

兎にも角にも俺の始めての『戦闘』は勝利で終わったらしい。

「はい、お疲れ~良かったわね~生きてて」

歩の声。俺はやっと終わったんだと実感する。

「ああ、死ぬかと思った」

これは本当だ。始め刺されたときは本当に死を意識した。

「そう、でも私がいる限り。あの程度で死ぬわけないんだけどね」

「えっ?」

死ぬわけないとはどういうことだろう。

「まぁ、いいわ」

「じゃあ、『魔方陣』書くからどけて~」

魔方陣?これまた非日常的な言葉だ。

とりあえずその場を少し離れ聞いてみた。

「なあ、歩」

「何?」

「魔方陣なんか書いてどうするつもりだ?」

「さっきも言ったじゃない、この『マンイーター』を第3の下僕にするのよ」

確かにさっきそんなことを言ってたな、こいつは。

「なるほど使役の魔法とやらには魔方陣が必要なのか」

「そうよ、魔方陣は契約書みたいなものね」

魔法にもいろいろ手順があるんだなと思った。

「ちょっとそこの水道からバケツに水汲んできてくれない?」

歩の指が指す方に水道とバケツがあった。おそらく掃除用だろう。

「ほら汲んできたぞ、水なんてなんに使うんだ?」

「魔方陣書くのに使うに決まってるじゃない、アンタ、バカ?」

「しょうがないだろ。魔方陣やら魔法なんてぜんぜん知識外のことだからな」

当たり前だ。あんなことやこんなことがなければ今でも魔法なんて信じてない。

「まぁいいわ。見てなさい」

そういうと歩は安全ピンを取り出し指をちょっと刺した。

刺し口から出た一滴の血をバケツに落とした。

「さっ、これで下準備は終わりよ」

何も変化がないように見えるが終わったらしい。

そしてバケツの水を気絶している逢沢先生の周りをぐるっと覆うように撒いた。

「そして、ここからが本番」

歩がマジメな顔になる。何かブツブツ唱えだした。

俺には到底聞き取れない。日本語なのかすらも分からない。

歩が唱え終わった瞬間のことだった。

水が動き出す。たちまち模様が出来た。

「これが魔方陣か・・・」

いよいよ本格的に現実離れしてきた。

歩が言う。

「魂に命令する、我と契約し下僕となれ!」

囲んだ場所が天まで伸びる柱の様に光る。

「はい!終了~」

どうやら終わったようだ。

「もういいわよ」

許可が出たので気絶している逢沢先生を見た。

俺は素直に驚いた。

「顔の傷が治ってる・・・」

さっきまでひどい傷だらけだったのに・・・

「まぁ、これも契約される側に対する対価ってとこかしらね」

対価?待てよ。

「なぁ、朝にお前が言ってたが下僕になったものは願いが一つ叶うんじゃなかったか?」

「そうよ。それがどうかしたの?明の場合は無理ってことも説明したわよね、それよりお前って呼ぶなって・・・」

歩が何か文句を言いたそうだが無視して言う。

「こいつの願いが『藤崎 歩を喰いたい』とかだったら困るんじゃないのか?」

もう一度、戦うなんていうのはゴメンだぞ。

「うふふ、そのことについては見てのお楽しみね」

「まぁ、アンタの考えは多分、当たってるわよ」

どうするつもりなんだろう・・・

「んっ・・・うん」

逢沢先生が目を覚ました。

「お目覚め?下僕3号」

早速の下僕呼ばわりだ。

「私があんた、みたいなお嬢ちゃんの下僕になるとわね・・・」

「でもね・・・一つだけ願いを叶えさせて」

果たして、彼女の願いとはなんだろう。

「あなたを喰べさせて頂戴!」

やっぱりだった。俺の予想は当たった。

大口を開けて逢沢先生が歩に襲い掛かる。

さて、歩はどうするのか。

「バシッ!」

ビンタした。

別に特別威力があるわけじゃない。見た目では普通の女子高生の強いビンタに見えた。

だが、逢沢先生は吹っ飛んだ。おそらく俺のさっきの蹴り以上のダメージを受けてる。

まさか、あのビンタに特別な力が掛かっていたのだろうか。いや、それなら初めから下僕など使わなくても良いはずだ。

ものすごい不思議に思ってる俺を見て察したのか歩が言う。

「ただのビンタよ!」

「バシッ!」

俺も同じようにビンタされた、痛い、だが痛いだけだ。そんな威力はない。

「これで、あれか?」

俺は吹っ飛んで又気絶した逢沢先生を指差していった。

「そうよ」

「あいつ、そんなに弱かったのか?」

そんなわけはない。

「まっさか!そんなに弱いなら下僕になんてしないわよ」

どうやら強さも関係しているらしい。

「まぁ、一言で言えばよ」

「一言で言えば?」

「弱くしたのよ」

「使役の魔法を使う魔法使いの基本としてもう一つ強化・弱化の魔法があるのよ」

まるでゲームの世界にいるような気分になった。

「だから、アンタもさっき自分の力からは考えも出来ない力と速度が出せたでしょ?」

「なるほど、そういうことか。じゃあセラの場合もか?」

「ええ、そうよ。動物の場合は人よりさらに強化できるしね」

だんだん俺も魔法使いって物について分かってきた。

「分かったぞ。要するに魔法使いって言うのは下僕を使って強化して戦うってことなんだな」

「ほぼ、違うわ。大体5%程度しかあってない」

全然、分かってなかった。

「それは使役の魔法しか使えない状態の魔法使いね。本来の下僕の役割は止めを刺すまでの高度な呪文詠唱や魔方陣を用意する時間稼ぎに過ぎないもの」

「一言で言うとね・・・」

「一言で言うと?」

「捨て駒ね」

「将棋で言うと『歩』だしチェスで言うところの『ポーン』ね」

『俺』=『歩』という数式が俺の中で成立した。

「まぁ、魔法に携わって数時間ならそのくらいの理解でいいけどね」

「それにほら、逆に言えば捨て駒がなくちゃ勝てないのよ」

今のはやつなりの慰めなのだろうか。

「さっ、もうすぐ1時間目が始まるし、クラスのやつらの処理しに行くわよ」

処理?確かにさっきはいきなりで気付かなかったが非日常な光景をクラスの人大勢に見られたんだ、その処理は必要だろう。だがどうやって?

「処理って、どうするんだ?」

「ついてくれば分かるわよ!ほら『下僕3号』あんたも来なさい!」

見事『下僕3号』となった逢沢先生を叩いて起していた。

そして俺は屋上を後にした。

ああ、なんでこんなことになったんだろう。

俺は階段を下りつつ思ってた。

ただ、後悔はして無かった。いや、する暇さえも無かった。


                    続く?




あとがき^^;

逢沢先生ことマンイーターは下僕3号となりました。

さて、クラスの人をどう処理するのでしょう。

それは次章で。

方法は歩のみが知る・・・

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