教えない教育実践日誌

教えない教育実践日誌

やる気と強制力の話



その中で、「強制力」の話が気になっています。きっかけは強制であっても、だんだんやる気になってくる事ってあるんじゃないかというコメントをくださったのは、小雨さん。

そうなんです。実は、教師の仕事って、強制だと感じさせないで、その人に必要なことをさりげなく押し付ける事なんじゃないかと思っているところがあります。

例えば宿題。

毎年、後期のお正月休みに、フランス語を日本語に訳すという課題を出します。一斉に同じものを出すと、どうしても「宿題」という感じがするし、提出まぎわに誰かのを写す人が出てくるので、一人ずつ違うものを選んでもらうことにしています。

人気があるのが絵本。象のババールをはじめとする、有名な絵本。日本の作家のものもフランス語版を持っているので、10冊くらいをコピーします。

それから、料理のレシピ。うちのプリンターでカラーコピーをするので、写真を見ると何となく作り方も推察できて、訳しやすいし、うまく訳せたら作ってみることができるというおまけ付き。

新聞記事は、ちょっとむずかしすぎるので中級フランス語用に編集された、注のたくさんついたテキスト版を使います。

フランスの旅行案内なども、人気です。

フランスに行くたびちょこちょこ買い溜めた本をコピーして使うのですが、驚くほど頑張って訳してくれます。

中には「フランス国歌を訳してもいいですか?」なんて、ラ・マルセイエーズの訳を出してくれました。

宿題だけど「やってみたい」と思うのは、たぶん、自分たちでやりたいことを選ぶからだと思うのです。

でも実はこの方法で大事なのは、「何を選んでもいいよ」と言っているけれど、「やらない」という事を選ぶのは、なしです。

だから結局、どこかで強制しているのかも知れないのですが…大事なことは「自分で選んでもらう」「自分で決めてもらう」事かも知れません。

そして、もっと強引に強制されても、やっているうちに面白くなってくる事って、案外あるのかも知れないと思います。

毎週一回の「フランス語を書く」確認テストを導入するときは、びくびくものでした。ところが、やっているうち面白くなりましたという感想が出てきたりします。

教師の側としては、ときどき強制することも必要だと思っているのですが、それが反発にあってうまく行きそうにないときは、サッと手を引くことにしています。

この辺のさじ加減はなかなか…私は、甘い教師で、強制が下手だと自分で思っているので、私の課題はこの辺にあります。

学ぶ人のスタンスとしては、たとえ押し付けられることになったとしても、それを面白がってしまうと何かが変わるのかも知れません。これはきっかけをもらったと発想の転換をしてみれば、なんでも学ぶことができるのでしょう。

私自身、フランス語をはじめたのは、いくつか受けた大学の中で、合格通知が来たのが、出身大学のフランス語科だけだったからなのです。フランス語をやりたいわけでもなかったのですから不思議なものです。

それからかれこれ30年近く、いまだにフランス語に関わる仕事をしています。

何からでも学べる人になれたらいいなあと思うのですが…


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