俺とユーロとC.D.と・・・(何

素直な想いを・・・



そっと目を開けた先に見えたのは、燦々とした太陽の光。
ふわふわとした布団からそっと私は起きる・・・ハズだった。
しかしその光を遮るように、怪物のような巨体の影と
怒声が突如として鳴り響き・・・

『早く起きなさいっ!!』

・・・あ、そういえば今日も学校・・・だなんて平和な事を
考えていながら、そっと私は時計に目を向けた。

『・・・え・・・』

ジャスト8時!見事ながらに0分0秒!・・・と言う暇もなく
私は跳ねるように起き上がった。
流石にこんな時間に起きるのはこれまででも非常に珍しい事態であり、
今の私には衝撃的すぎて、認めたくもないような事実だった。

『や、やばっ!!なんで起こしてくれないのよ~っ!?』

私はお母さんに多少不満を漏らしながらも、急ピッチで着替えを始めた。
段階的にここら辺は慣れている為か、当たり前のように済ます事が出来たけど・・・

『何度も声かけたのに、アンタが全く起きないからよっ!』

怪物のような巨体を揺らし、母は火を噴くように答える。
もっと早く起きてればこんな事にはならなかったハズなのにぃ・・・
と、何となく後悔してしまう。

『行ってきまぁす!!』

私はそう言うと、風のような勢いで家を飛び出した。
本来ここまでのスピードで学校まで向かうのはかなり珍しいが、
そこで突如として私の頭に思い浮かぶモノがあった。

『そ、そうだっ!近道!』

私が学校へと行くまでの道は、大きく分けて二ルート存在する。
一つは安全性と道幅の広さを重視した、俗に言う「通学路」。
もう一つは非常に短時間で学校にまで行ける近道。でも、かなり
起伏に富んでいて、それに狭く険しい。
ただ今の残り時間から考えると、今回だけは流石に近道を使うしか
ないだろうと私は思った。勿論、私は近道へと向かっていった。

『で、でも、ここ初めて通るんだよね・・・』

恐々としながらも、私は頑張らなくちゃと自らにムチ打ち
非常に険しく狭い近道を、一歩一歩地道に進んでいった。
何とか安心出来たかな・・・と思った瞬間・・・


『きゃぁ!!!』


足を滑らせ、私は尻もちを着いてしまった。
しっかり踏みしめるように歩いていたから、足への
負担は尚更大きいモノがあった。

『あいたぁ・・・』

そう言ってはみたものの、いざ自分の手足を確認してみると、そんなに
ダメージは受けていなかった。というよりは、下に何か地面とは違う
感触が・・・と思った瞬間、私は即座に気付いた。

『・・・っ!』

し、下に誰かいる・・・!何で気付かなかったのか、そんな私が
恥ずかしくて仕方ない。でも、そうとも考えていられないので
とりあえず急いで身を退いた。

『きゃぁ!!ごごご、御免なさいっ!』

私が急いでそう言った時、目の前にいたのは私よりちょっと背が小さい
感じの男の子だった。凛とした瞳で、私をじっと見つめている。

『いや、別にいいけど・・・早くしないと、学校に遅刻するよ?』

そう言うと、男の子は笑って、そのまんま行ってしまった。

『ぁ、待って!』

言った時間が遅かったようで、男の子は待ってくれなかった。
そこまでして急いでいたのか、あるいは・・・なんて私のような状況を
つい考えてしまった。方向的にはやはり学校であった為、
ここら辺の子なのかも?・・・なんて思ったりもした。

「誰なんだろ、あの子・・・」

そう思いながら、私も急いで学校へと向かった。
幸い、遅刻にはならずに済んだ。
もうちょっと遅くても良かったかも?なんて思った位、近道が
かなり早い道である事を、私は改めて実感した。

とりあえず自分のクラスへと向かい、教科書等の準備を一通り済ます。

『おはよ~』

何気ない朝の挨拶を友達に。
すると友達は、突如として私に話しかけてきた。

『あ、おはよ~!ねぇねぇ、聞いた?
すっごくかわいい男の子が、1年に転校してきたって話!』

・・・何かあまり興味の沸かない話題ではあったけど、
朝の男の子だったら・・・なんてさり気ない期待を胸に
私はその男の子がいると言う1年の教室へ行ってみた。
ただ、全体を見渡した限り明らかに男の子は見当たらない。

「なんだぁ・・・折角、お礼を言おうと思ったのに・・・」

ちょっぴりガッカリしながら、私が教室から戻ろうとした瞬間・・・

『何か用でも?』

『ぇ・・・!』

『無いなら、そこどいてくれないかな?』

何と、朝に助けられた男の子だったのだ。
流石にここまで偶然に偶然が重なるとは、私さえも予想だにしない状況だった。

『ぁの・・・わ、私、朝に助けてもらった・・・』

ちょっぴり小声で言う。何となくこういう事情で言うのが
恥ずかしいから、なのかもしれないが。

『・・・?』

分からなさそうな顔をしている男の子。
覚えていてくれれば・・・と、私は心の底で思った。
ちょっとした不安が、私の心を襲った。

『あっ!朝の・・・・えっと・・・ちょっと重かった人!』

男の子はそう言った。かなりの爆弾発言だ。正直言って。

「は、はぁ!?私って、そんな覚えられ方してたのぉ~!?」

脳天直撃とも言える程の強い衝撃が、私を貫いた。
一番気にしていた部分を、よりによってこんな子にまでそのイメージで
覚えられてしまうのかと思うと、雷撃が下る程の勢いで私の頭が
打ち抜かれたような気分にまでなった。
・・と言っても、実質短時間だし、ちょっと落ち込んだだけ、だけどね。

すると、男の子は

『嘘うそ!冗談だよぉ~・・・、本当は、ちょっとかわいい人だなって思ったw』

「えぇ~!?可愛いなんて・・・
ってか、何でそんなに素直に言う事が出来るの?」

私は、少し照れた。言われる事自体にこれまでにない
「何か」を感じたのかもしれない。
そうこうしている内に、学校のチャイムが鳴ってしまった。

『早く教室戻ったらどう?』

男の子は、笑いながら私にそう言った。
私は言われるがままに教室へ戻り、そして授業が始まった。


――昼休み――


災難なのか何なのか、私は昨日宿題をやり忘れていたようで
先生に叱られた上、昼休みに残ってやるハメになってしまった。
ま、仕方ないかな・・・なんて思ってもいたんだけどね。

『お~い!』

『ん?』

朝の男の子だ。朝の僅かな時間と比べて、今見ると
本当に凛としていて、しっかりした目が印象的だ。

『どうしたの?』

『これ・・・。』

そう言って男の子が差し出したのは、私のハンカチだった。
チャイムが鳴って急いでた時、落としちゃったんだっけ・・・って
改めてあの時の状況を目に浮かばせ、初めて事実と証拠が一致した。

『落ちてたよ?』

『ありがと。』

私はそう言って、受け取ったハンカチをそっとポケットの中に
しまい込んだ。このまま男の子は帰っちゃうかと思っていた私だが、
その予想を裏切り、男の子は一向として帰ろうとしない。
私は黙々と宿題をやり続けている。男の子は何故か私ばかりを見ている。

静寂の時が、場に暫く流れる。

『かわいぃ・・・』

男の子がそっと呟いた。

「えぇ!?」

思わず心の底で叫んでしてしまった。いきなり何々だ、と。
突如として放ったその一言に、私は動揺を隠せなかった。

『一所懸命なところ、かわいぃ・・・』

男の子はそう言った。あまりの一言にモノも言えなくなった。
「何言い出すのよいきなりぃ~!」と訴えたい程だった。
「年下のクセにっ!」とも思ってしまったが、
そこには正直な男の子の一言に、ちょっぴり照れてる自分がいた。


『好き・・・かも。』


私の方を向いて、男の子は真剣に言った。
その目は更に輝きを増し、私を素直に、でも可愛げに見つめている。
ちょっぴり恥ずかしがりながら、の一言ではあったが
笑う事さえも出来なかった。その仕草と言動に、私は
男の子に惹き付けられているような感じになっていた。

突如として言われた一言に動揺を隠せない私。
恥ずかしがりながらも、素直な気持ちを伝えた男の子。

静かに、時が流れる。
まるで山中にある小川のように、せんせんと
時間が過ぎていく・・・

『お昼休み、終わっちゃったね・・・。またね☆』

男の子はそう言うと、微笑んで教室から出て行った。
私はまだやり残した宿題を置いておき、男の子を追いかけた。

伝えたい事があるからこそ、私は追いかけたいと思ったのかもしれない。
さっき言われた言葉が、どれ程までに私の胸を強く打ったか・・・

『待って!』

私は呼び止めた。幸い、何とか追いついた。
そっと振り向く男の子。勿論、目はいつもの輝きのまま、私を見つめている。
ちょっとドキドキしてはいたけど、私は正直に話し始めた。
それがどうであれ、男の子の言った言葉に対する答えであれば・・・と思いながら。

『私・・好きかどうかなんて分からないけど・・でも・・・』

言っている間でも、胸の鼓動が次第に早くなっていく事を私は実感した。
でも、男の子だって言ってくれたんだから・・・と、私はハッキリと
話す事が出来た。

『いいよ。』

男の子は笑っていた。

『ぇ?』

『実は・・自分でも分からないんだよね、好きか嫌いか、だなんて。』

男の子は照れ笑いしながらも、しっかりと自分の気持ちを話してくれた。
ただ、ちょっぴり私はビックリしてしまった。
自分でも分からない・・・?そんな年頃なのかなと思ってもしまった。

『でもさ・・やっぱ気持ちだけは伝えなきゃ駄目じゃん?』

私は、改めて男の子を「すごい」と思った。
どんな時であろうと、ここまで正直で素朴な男の子をこれまでに見ただろうか。
私は改めて自分の耳を疑ってしまったが、その言葉は「真実」そのものだった。

『好きになるまでに、どんなに時間がかかってもいい。』

男の子はそう言った。
一瞬、私の胸がキュンとした感触を受けた。
分からないハズの何かが、打ち解けていく感じがした。
初めて体感する・・でもちょっぴり甘い、しっとりした後味を持つ
「恋」の味だった。


『だから・・・いつかでいいから、振り向いてね♪』


男の子は、私に満面の笑顔を見せ、こう言っていた・・・


笑顔が似合う、素朴で正直で、可愛げのある男の子。
自分よりも年下ではあるけれども、いつしか好きになれるかな・・・?

いや・・・きっと、なれるよね。


こんなに素敵な、男の子なんだから・・・




うあぁ・・・原作と比べると激しくアレな部分多しf(^^;
因みに元ネタは*☆チョコ☆*さんの小説・第七章なんですけども・・・
出来るだけ元の良さが出るようにしたハズなんですが、結果として
アレンジが手抜きに見えるような部分満載になっちゃいましたorz
本当は2時間半もかかったのに・・・個人的に大好きだったのに・・・
やっぱり僕って才能なんかに恵まれてないんだぁぁぁぁぁぁ・・orz

2006年4月21日製作

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