趣意書



【食べられる土と飲める水】
これが東方農苑のキャッチフレーズです。
東方農苑は敷地全体を通して自然の循環を促し、清浄で豊潤な土と水と植物で構成される世界で初めての自然農苑です。
東方農苑は相生農法によって創られます。
相生農法とは、その場をよく観察して自然が何を育てようとしているのかを感知し、自然の意思に適うよう草木や作物を植えていくので、決まった方法というものがありません。
相生農法とはマニュアルのない農法なのです。
東方農苑は都会の中にありますが、二万坪の敷地の中で土と水と植物が互いに循環の輪を保って支えあい、互いに浄化しあいながら繁栄できるよう造られます。
従ってこの地では一切の農薬、肥料、化学物質を使用せず、土と水は本当に口に入れられるまで浄化されます。
生きている大地本来の姿である、食べられる土と飲める水を甦らせるのです。

【土】
敷地内の土は田畑も含めて造成以後は決して耕転いたしません。
土の中は微生物の世界、その世界を大切にして微生物の活動を邪魔しないことが、土を良くする最上の方法だからです。
良い作物は良い土がなくては育ちません。
清浄な土とは微生物のいない土のことではありません。
微生物の住まない土は死んだ土です。
清浄な土とは微生物が沢山住む調和の取れた微生物世界を内包する土のことです。
健康な土壌1グラム中には1億以上の微生物が住むといわれています。

【水】
湖と小川の水は数箇所に配置したソーラー水車によって流動し、清浄化水路に植えた浄化力の強い水草と木炭層を通過することによって浄化されます。
東方農苑の水は決して消毒しません。
有毒な微生物が発生するのは、水中の微生物世界で調和が破れているからです。
自然の力で浄化された水は微生物のバランスが調和され、有毒な細菌の発生を許しません。
その清く豊潤な水によって淡水魚を育て田畑を潤し果物を育てます。

【木】
二つの小山と敷地の大部分には多種類の落葉樹が植えられ、落ち葉は腐葉土となって敷地全体の土を肥やします。
東方農苑の樹木は果樹も含めて基本的に剪定しません。
多種類の樹木を充分な間隔を取って混植し、剪定しないで望むままに枝を伸ばしてもらいます。
実った果実はその場で来苑者に食べていただきたいので完全に熟すまで収穫しません。
又、高所に実った果実は無理に収穫せず、落果するに任せて土を肥やします。

【草】
東方農苑では調和を乱さない限り基本的に除草しません。
多種類の草が共存することによって地中の微生物活動も活発になり、果樹や作物も健康になります。
自然に発生した草の中には必ず天からの贈り物である薬草が混じっているものです。
東方農苑の敷地内では美味しい山菜や効能絶大な薬草がいたるところに繁茂し、訪れる人々を癒します。

【従業員】
東方農苑で働く従業員に職種の区別はあっても上下の区別はありません。
農苑のコンセプトを充分理解した人たちが喜びをもって働く場所です。
草や木が黙って人間に奉仕して下さるように、当方農苑の従業員は黙って訪れる人々に奉仕します。


人間が手を加えなかった野山には、然るべき場所に然るべき草木が繁茂し、それがもっとも理に適った美しい景観を生み出しています。
古の賢人は、大地に鍬を一振りすることが実は自然破壊の第一歩であることをよく承知していて、季節々々に大地への許しを請う行事を執り行いました。
それが東アジア各地の農村に伝承される色々な祭りの本質です。
その知恵が生きていたつい七、八十年前まで、東アジアの土と水のほとんどは口に入れてもまったく無害でした。
無害どころか土と水こそ全ての生命を支える重要な柱だったのです。
しかし急激な消費文明の発達により、命の元である地球上の土と水はすっかり汚されてしまいました。
私たち人類は今自らの首を絞めつつあるのです。
私は日本人で自然と共存する知恵を祖先から学びましたが、日本の文化はそもそも中国大陸から朝鮮半島を経て学んだものです。
ですから、相生農法がこの上海の地で展開されることは大いに意義のあることだと思います。

すべての人々が自然によって生かされていることに気づき、人間存在の意味を問い直していただくこと、その願いが上海から全世界に発信されることが東方農苑造成の目的です。

                           2008年6月7日   前田愚道

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