桜梅桃李

桜梅桃李

「理想の華を散らせてはならぬ。」

若き君よ、理想の華を散らせてはならぬ。
生あるかぎり「もう、これまでだ」などと言うな。
少しくらいの苦労で「人間とは、世間とは、こんなものだ」などと言うな。
君が純粋であればあるだけ、誤解と攻撃が、山とのしかかることもある。
心に合わない仕事をしなければならないこともある。
しかし、意のままにならないからこそ、修行なのだ。
そこで奮闘してこそ、
「苦を転じて楽となし、敗北を転じて勝利となす」痛快さも味わえるのだ。
安穏は魂を殺し、順調は魂を殺し、自己満足は魂を殺す。
心から血を流したことのない人間が、どれほど、つまらないか。
どん底を見たことのない人生が、どれほど味気ないか。
つまずき、立ち上がるたびに、本当の人生を学べるのだ。
耐えて生きている人の心もわかるのだ。
踏んだり、蹴られたりしなければ、精神がふやけてしまう。
強い人間は、不幸さえも楽しんでいけるのだ。

桜の花は、実は、若い青春の開花ではないのだという。
花が咲くのは「一年の最後の宴」なのだという。
花を散らした後、桜は次の年の「花芽」をつくり始め、夏には、ほぼできている。そして秋を越え、冬を耐え、春を待って、それまでの一年の努力を、
最後に、にっこりと咲かせるのである。

人も、一生の最後に花咲けばよい。途中は全部、準備にすぎない。
最後に花咲けば、一生は幸福。
最後の数年が「心の花の宴」なら、人生劇は勝利。



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