そよ風のように☆

そよ風のように☆

君に恋した夏(2、出会い)



ジリジリとアスファルトを焦がす。
40度を超える酷暑に日本中が襲われていた。
おまけに、光化学スモッグという何だか聞きなれない現象も発生している。

連日晴れた昼間は、発生してるらしく今日もニュースで警告が出されていた。

だが、今日も塾通いだ。
外に出るなというが、俺だって出たくて出てる訳ではない。
受験生にとって、光化学スモッグなんて関係ないのだ。
それに、塾だと家と違い冷房が寒いくらいきいている。
勉強勉強と、うるさい母親がいないのが何よりも俺を塾に向わせるのだった。
お互いイライラせずにすむ。


    ★☆★☆


「竹中、今日暇?」

振り返ると、鈴木悠一が俺に声をかけてきた。同時に彼の愛用のサムライの香がした。

俺の一つ前の席というだけで、今まで話をした事はなかった。

タイプも俺とかなり違う。鈴木は、いつもクラスの中心でムードメーカー。
そのうえ、勉強にスポーツに万能ときている。もちろん、ルックスも男の俺が言うのもなんだが、いわゆるイケメンの部類だ。俺はというと対照的で一人で居る方が楽だし、勉強もそこそこ、スポーツは普通以下、どこでもいる普通というレッテルを貼られるだろう。全く違う世界で生きてる気がする。

そんな鈴木が俺に声をかけてきたのが、意外だった。
「今日、コンパやるんだけど、一人行けなくなってね。竹中いるだけでいいから、出てくれないか?」

何故俺なのか知らないが、正直言ってこの暑さの中でコンパなんかやる気がしない。
「悪いけど、今日は用事あるから」
考えるより、先に出た言葉だった。
無論、用事などないが。今日でなければ一緒に行ったかもしれないな。
彼の表情を観ずに答えたから、どんな表情で聞いてたかしらないけど、別に困ってる様子でもなかった。

鈴木と別れて、塾の門くぐった。
後で気付いたが、鈴木は俺を引き立て役に選んだだけじゃないか、と。
まぁ、どうでもいい話だが。




足取りはゆっくり駅へと向っていた。いつもなら、徒歩10分ほどで代々木につくはずだった。まとわりつく暑さが余計に疲れと苛立ちを加速させていった。汗で白のT-シャツは背中にくっついていた。
目の端で、コンビニをとらえていた。
少し涼もうと方向転換した時、女が俺の顔を覗いて

「ねぇ。デートしない?」
先程通った時には気付かなかった。

暑さでとうとう幻覚まで見えてきたのかと一瞬思った。

まるで猫のようなパッチリとした目が俺の姿を映す。
整った顔立ちにショートカットがよく似合っていて、
ぞくりとした。
このときの気持ちを何と表せばいいのかわからないが、
目の前の女から目が離せなくなっていた。

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: