桜 色

桜 色

点と点で生まれる

別段なにかがあったというわけではなかったと思う

だけど私達は出会ってしまった

それが運命ならば私はそれを憎みすらする

あなたは知っていたのね

私達を待つ運命を

道化を演じて木の陰に隠れるような日々を

あなたの手のぬくもりが私を包んでくれた

独りだった私を包んでくれた




独りの寂しさを私は知っていた。

幼いころに事故で両親を亡くして親戚を家を転々として

私はどこでも独りだった。

家でも独り、

学校へ行ってもすぐに転校してしまうので友達は出来ずに独り、

だから私はどこの町でも私だけの場所を探しては

独り、そこにいた。

だからこそ自分でもわからないように探していたのかもしれない。

あなたがくれたそのぬくもり。

幼いころに両親を事故で失った

なんて小説の中にいそうな悲劇の子を演じることは辛かった。

どこにいっても同情の目で見られた。

だけどあなたの目は違っていた。

それはいくつ目の町だっけ

もう忘れたけど私はその時が大事だった。

その時が全てだったかもしれない。



信じてもいいの

私は去り際に尋ねてみた。

好きにすれば

体が瞬間硬直して汗が噴き出しそうだった。

やられた。



そのころの話少しだけ聞いてください

もう時間が無いので短めに話します

宙に浮く体はやけに高揚した感じで離別した気がした。

ふわふわと浮いているような気がした。


その去り際よりも前、出会ったところから話します


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