自然の狩人

自然の狩人

『真理子』(11)



違いが生じるのであろうか? 母はお腹の中で子を育てる

出産の瞬間に母性が目覚めると言われている

小さな肉の塊のような赤子を抱いた時 子どもを守り養育

する決意が増すのだろう

ミルクを与え 排泄の処理を続ける幼子は 脆く力なき

存在だろう、その育児の延長に子どもの自我の芽生えと

生育が急速に起こっている 力、弱気子どもの保護と

情愛、 何時までも子どもは弱い存在として

保護の対象、愛情を注ぐ対象として持続し続けるのだろう

一方子どもは 自我の発達と身体の成長と共に、個別の生命体

そう、人格を持つた人間に成長し続けているのだ

そして、社会やシステムに組込まれる以前の 精鋭的な

魂は 身体と心に刺激を与え続けるのかも知れない

見るもの聞くものの、急激に砂地に水が吸い込まれるように

それは又『社会の』多数の人間が作り上げた それ相応の

価値観で『洗脳』するのかも 若き命は『何故』を抱えて

何故に答えを得ないまま、いいや放棄してーー 

子殺しや親殺しが頻繁に起こる現象は 人間の連鎖を断ち切る

人間の本質をも変えてしまう現象なのかも知れないーー

ーーー

武は殆ど、家に帰らない 家族が武の一件から絆が強く

なつたようにも感じられたが

一方 共に暮らしていた武のいない、家庭は 夏の終わりの

秋風のようだ 真理子は武の部屋の前に立つと

武が死んで、いなくなったわけでもないのに 武の姿を

想い浮かべた 武の横柄な口の聞き方とそれでも真理子を

気にかけてくれた事を。 鎌田に行つて無事に気に入られて

良き父親になれたらと

心に思うのだった。

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